リンドウの決意
オイラは、リンドウッス。
倭国の田舎に生まれた村人ッス。
オイラが初めてサクラと出会ったのは、入学試験の日になるッス。
サクラを見た時に、あの時の子に似ていると思ったんス。
髪の色も瞳の色も全然違うけど、どこか、そう雰囲気が似ていたんだと思うッス。
あの子と出会った頃のオイラの自慢は、倭国のお城で兵隊長をしている父ッス。
オイラが王都の城にいる父に会いに行った日、大人達に混じって、訓練を受けているあの子が目に留まったッス。
オイラと同じくらいの子供なのに、大人達に混じって訓練をしていて驚いたッス。
大人でも根を上げている人が多い中、あの子は、楽しそうに訓練していた。
武器も使えて、魔法も使えて、こんな凄い子がいたことに驚いて、父に、「あの子誰なの?」って聞いたら、「倭国の王子様だよ。」と教えてくれたッス。
オイラは、王子様ってこんな訓練しないんだろうなって、勝手なことを思っていたッス。
あの子を見ていて、オイラもやってやろうって思えたッス。
あの子と出会ってから、オイラの日常は変わったッス。
オイラもあの子、いや、王子様みたいに強くなりたいと思ったッス。
いつか、父のような立派な兵になって、王子様と一緒に戦いたいと思い、沢山修行したッス。
いつか王子様と会ったら、オイラが王子様に憧れて修行した話をしようと思っていたッス。
……それから、魔人による倭国襲撃が起きたッス。
魔人により、国王様と王妃様が殺され、王都の多くの人が殺されたッス。
そして、王子様も死んだと言われているッス。
遺体が見つかった訳じゃないけど、どんなに探しても見つからなかったそうッス。
倭国が襲撃された時のオイラは、まだ小さな子供だったッス。
……兵隊長として、父も竜と戦い、戦死してしまったッス。
オイラは、父の代わりに母を守ると決めたッス。
母を守るために、オイラは毎日修行したッス。
そんなある日、イザナギ様のお声が聞こえて来たッス。
オイラは、母を守るための力と父を殺した魔人を倒すための力が欲しいと願ったッス。
イザナギ様は、オイラの声を聞き届け、天逆鉾を授けてくれたッス。
天逆鉾は、とても輝かしく見え、槍の矛先が普通の槍よりかなり大きい作りだったッス。
オイラは、天逆鉾を手に持ち、沢山修行して、多くの魔物と戦って来たッス。
そんなオイラに、母は、「私のことは気にせず、学校へ行って、友達を作りなさい。」と言ってくれたッス。
オイラは、学校へ行くことも、友達もいらないと母に言ったけど、「母離れしなさい!」って怒られて、聞いては貰えなかったッス。
でも、母のお陰で、サクラ、デイジー、ストック、クローバーって言うルームメイトや綺麗な女の子達に出会えたッス。
王子様は、いなくなったッスけど、ここでみんなと一緒に強くなって、父のように倭国を守れるようになるッス。




