模擬戦状況
試合に勝った者は、ネモフィラ先生に試合結果を伝えるよう言われたので、俺はネモフィラ先生の所へ向かった。
「サクラ、勝ちました。」
俺がストックに勝利し、ネモフィラ先生に試合結果を報告した。
「凄い試合でしたね。他の試合結果で対戦相手が決まるので、後で伝えますね。」
ネモフィラ先生から褒められ、2回戦の相手が決まったら伝えると説明された。
「サクラお疲れ様。」
俺がネモフィラ先生に報告を終えると、アイリスが近づいて声を掛けて来た。
「アイリスも終わってたんだね。どうだった?」
アイリスは、俺と同じで1回目に試合をした20人に含まれていたため、試合結果を尋ねた。
「うん。勝てたよ。」
アイリスは、笑顔を浮かべてピースサインをした。
俺が試合会場に目を向けると、10個の試合会場では、ルームメイトのデイジーが試合中だった。
デイジーが銀色に輝く弓の弦を引く動きをすると、その手に矢が現れた。
……どういう魔法なんだ?
それより、あの弓からは、草薙剣と同じ感じがするな。
デイジーが次々と矢を放ち、相手を攻撃するが、相手は体捌きや剣、魔法で上手く防いでいた。
「はぁっ!」
デイジーが引いた手を離し、放った矢が相手の剣の持っていない方の腕に命中した。
……さっきまでの矢と速度が全然違うな。
野球とかも、ゆっくりな球の後に単調に放って、油断を誘っていたのか。
「ぐぁ! くそったれーー!近づけばこっちのもんだ!」
相手は、デイジーに駆け寄り剣を振った。
あれじゃデイジーは、弓を使えないな。
スカッ!
「あれれ?」
……デイジーの体が透けている。
「“蜃気楼”だよ。“爆発矢”」
デイジーは、少し離れた場所に現れ、具現化させた矢に雷属性を付与して、雷によって爆発する矢を放った。
ドガァァン!
「うわぁぁ!」
デイジーの放った矢は、相手に当たると同時に爆発し、相手を場外に吹き飛ばした。
「弓使いがそんな簡単に、相手に近づかれる訳無いでしょ。」
デイジーは、相手に捨て台詞を吐き、ネモフィラ先生に試合結果を伝えに向かった。
……デイジーは、立ち回りが上手いな。
魔法があるから、遠距離武器の使用者があまりいないから貴重だな。
……他のクラスメイトの試合も少しずつ見てみたが、俺と戦ったストック程の実力者は見当たらなかった。
2回目の10試合も終わり、3回目の10試合の選手20人が会場に上がり、その中に、クローバーとアカンサスの姿を見つけた。
……クローバーの相手は、アカンサスか。
……クロ対アカ……黒対赤。
「「“ブロッサム”」」
クローバーとアカンサスが同時に、ネペンテスから武器を取り出した。
クローバーが取り出したのは、大きさのある楕円形のカイトシールド。
アカンサスが取り出したのは、アカの身長ほどある大きなハンマー。
「盾って珍しいな。アカンサスは、あんな巨大ハンマー使えるのか?」
「はぁーー!」
アカンサスは、巨大ハンマーを軽々と振り回し、クローバー目掛けて、横からスイングした。
ガアアアァァァァァン!
……すっげぇーー威力だな。
「ん!」
クローバーは、腰を落として、しっかりと盾を構えてハンマーを防ぎきっていた。
「“重力による破壊”!」
アカンサスは、後ろに引いたハンマーの重さを軽くして、一気に上に振り上げ、振り下ろしの途中でハンマーの重さを増やして威力を上げた。
「“衝撃吸収”」
クローバーは、盾を顔の斜め前に持っていき、アカンサスの攻撃の衝撃を吸収して防いだ。
「え!? 嘘!」
アカンサスは、自分の攻撃が完璧に防がれると思っていなかったため、隙が生じた。
「“風突撃”」
クローバーは、盾を左肩の方に寄せ、体と盾に風を纏い、突撃した。
「きゃ!」
アカンサスは、油断していたためガードも出来ずに場外に突き飛ばされた。
……アカンサスは、もっと集中が必要だな。
クローバーは、体の割に動きが俊敏だったな。
「ごめんよ。大丈夫だったかい?」
クローバーは、アカンサスに頭を下げた。
「いたたたた。……大丈夫よ。私が油断したのが悪いんだから、謝らなくていいよ。」
アカンサスは立ち上がり、クローバーに笑顔を向けた。
4回目の試合会場には、カトレアとリンドウが向かい合っていた。
後1話バトルシーンが続いて、休憩時間です。




