寮【百花繚乱】〜寮食〜
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310号室の5人で、寮の夕飯を食べるために、1階の食堂へ向かった。
食堂内では、既に数名の生徒が夕飯を食べていた。
「あっ。サクラ〜こっちこっち!」
……なんでアイリスがここにいるんだ?
アイリスの方を見ると、アイリスの他に、カトレア、ボタン、ウメ、初めて見る女の子一人いた。
「おう。何でアイリス達がここに居るの?」
「女性の部屋は、この寮の10階なのよ。」
俺の言葉にアイリスは、笑いながら答えた。
「ネルフィラ先生からは、男子を10階に入れないことや、お風呂を覗かれないように気をつけてとかの話があったわ。」
「強くなるために来ている、女性達のお風呂なんて覗いたら、身の危険だな。」
カトレアの言葉に、俺は苦笑いしながら答えた。
「私は、サクラくんみたいな子なら、覗かれてもいいアルよ。」
ボタンが、いきなり抱きついて来た。
「ちょ、ちょっと!」
俺は顔を赤くして、あたふたした。
……柔らかいものが二つ当たってます!
「ちょっと! サクラから離れなさい!」
「そうよ! 破廉恥だわ!」
「……はわわわ。」
「いいぞいいぞ!」
アイリス、カトレア、ウメ、残りの一人が、ボタンに突っ込んだ。
アイリスとカトレアが、無理矢理、ボタンを俺から引き剥がした。
……なんて攻撃だ。
今までで、上位に入る攻撃だった。
「「……サ、ク、ラ!」」
アイリスとカトレアの背後に、竜と虎のようなものが見える!?
俺はその場で二人に土下座して謝った!
……俺、悪いことしたっけ?
「あはははは。アイリスとカトレアはサクラくんが好きなんアルね。」
ボタンの発言に、アイリスとカトレアの二人が顔を真っ赤にして、顔から煙が上がっていた。
サクラは土下座中のため、床しか目に入っていなかった。
「からかうのは、このくらいにして、みんなでご飯食べながら自己紹介でもするアルよ。」
ボタンに遊ばれた俺は、釈然としなかったが、皆んなで食事をすることにした。
男性陣の自己紹介を終え、女性陣の自己紹介の番になった。
「私は、サクラの姉のアイリスです。歳は19。倭国とグラナダ王国の暮らしが長いです。」
「私は、カトレア15歳よ。グラナダ王国キャトレイ辺境伯の長女ですわ。サクラとアイリスとは、10年近い付き合いよ。」
「私は、ボタン=エイ、17歳アルよ。秦国第1王女アル。」
……なん、だと!? ボタンって王女だったのか!
「……私は、ウメ=エイ、15歳です。秦国第2王女です。」
……マジか。
アイリス、カトレア、ボタン、ウメと自己紹介を終えて、最後の一人となった。
「この流れの最後って、酷くない!? 私は庶民よ! 名前は、アカンサス、15歳。ミノア王国出身。鍛冶が得意なんだ。」
アカンサスは、紫のショーカットに、ピンク色の瞳をした、小柄な女性だ。
「凄いメンバーッス! 王子一人、王女二人、辺境伯令嬢一人。凄すぎッス!」
リンドウが俺の横で興奮していた。
「なんか場違いな感じだな。」
ストックも緊張していた。
「この場所では、肩書きなんて関係ないよ。普通に接してくれ。」
デイジーがみんなを見回して言葉を発し、カトレア、ボタン、ウメが同意した。
「みんな〜。しっかり食べてる〜?
俺たちに、寮母のペチュニアさんが声を掛けてきた。
「凄く美味しいですぅ。」
これまで殆ど会話に参加していなかったか、クローバーが、口に夕飯が沢山入っているまま答えた。
「……クローバー。食べてばっかだぞ。」
俺の言葉を聞いても、クローバーの夕飯は止まらず、みんながクローバーの食べっぷりに、気持ち悪くなったのだった。
アカンサス→ギリシャの国花
6月10日の誕生花
花言葉は、芸術、技巧




