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ep1 ゾラ

 僕の体はグロテスクだ。


 人類が転生技術を確立し、魂の器は生身の体から人工の体へと変遷した。

 そんな中で、血も涙も流す僕は、どれほど奇妙で生生しいことか。

 人工の体は完璧だ。

 食事は必要はなく、知識はデータさえあれば脳にインストールできる。姿形は思うがままだから、肌の色やそばかすのことで、自分の体にコンプレックスを持つこともない。心が男の子でも、女の子の体を持つことだってできる。

 それらを維持するためには、毎日数時間はパーフルオロカーボンに浸からないといけないが、それを睡眠だと思えば楽なことだ。スリープポッドで設定すれば、好きな夢を見ながら眠りにつけるのだから、人々はそれを厭ったことはない。

 生身の僕はベッドで眠るけど。

 ベッドでは、スリープポッドのように自由自在に夢を見られるわけではないけれど、ときおり不思議な夢を見る。

 例えば、真っ白な髪の少女がこちらを振り返って何かを呟いている夢。背景は聖堂のように見えるが、白い光が眩しすぎてよくわからない。僕が少女に話しかけると、少女は答えるように唇を開く。けれど、大きな声で何人もの子供たちが気味の悪い讃美歌を歌っているせいで何も聞こえない。讃美歌は何度も何度も繰り返され、そして目が覚める。

 この夢を見たときは、全身にびっしょりと汗をかき、ショックで体の震えが止まらなくて、しばらくはベッドの上から動けなくなってしまう。

 生身の僕が見る夢は、やっぱり生生しいらしい。

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