6話になります
今回の投稿を持ってこのタイトルは最後になります。
最後は中途半端かなと思うかもしれませんが、そういうものなのでご了承ください。
途中から、元管理者の少女視点になります。
眩い光から目を開けるとそこは見慣れた教室だった。そして、聞こえてくる朝の予冷。
教室内に誰もいないということを除いて、普段の朝と変わらない。何か忘れている気がするうえに口からお茶のにおいがするが、忘れるということはきっと大事なことではないし、お茶のにおいは歯磨きの磨き残しだろう。
「うん。そうしておこう。その方がいい気がする。」
自分に言い聞かせるように声を出した。そして、体を後ろにのけぞらせ、一応クラスプレートを確認する。けれど、そこには見慣れたプレートしかかかっていない。
「新たな嫌がらせとかな。」
とりあえず、普段通りに席に着く。当たり前だが視界が広い。それなのに、誰もいないことに不思議と違和感はなかった。
「全員、席につい。」
先生が声を出しながら教室の中に入ってきたが、僕一人しかいない教室内を見るとすぐに教室の外に出て行き、ドアから顔だけだした。
「確認してくるからそのまま待機。」
先生は、そういって急いできた道を戻っているようだった。
「今日は学級閉鎖かな。」
その日、学級どころか学校の全授業が半日で終わり高校生になって初めて集団下校を体験した。
そして、一クラスの2人以外の生徒が集団で行方不明になって新聞などを賑わうことになった。
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「なにこれ、どうなってるの。」
「どうってそこに映っている子が世界を壊してるだけじゃない。見てわかるでしょ。」
私は、宙に浮かぶ巨大な丸い水晶のような物を通して地上が壊れていくのを見ているこの世界の管理者と名乗っていただろう女性の独り言に答えた。
まとわりついていた残り香を頼りに別の世界にまで来たけれど、映像を見る限り、この世界はきっと助からない。
考えれば助けることができる可能性があるにもかかわらず、直感でそう思った。
「誰よ貴女。」
いらだちを隠しきれてない声に私は若干あきれた。だって、管理者に直接会いに来る人なんて管理者か、目の前の女性のように管理者に近い立場の人しかいないのにそれに気づいていないなんて。
それに気づかないほど追い詰められているともいえるか。
「初めまして、異世界の管理者さん。別世界で元世界の管理者をしていた者よ。」
何者か問われて答えたのに呆けた顔をされた。どうやら、他の世界の管理者が自分の管理している世界にくれることを知らなかったようだ。
私は、前任者から早い段階でそれを聞いたのだが、目の前の女性はどうやら違うようだ。
一律に、一言一句、同じことを教わっているわけではないので、誤差が出るのは当たり前。だけど、目の前の女性からは違和感を感じる。
「よくわからないって顔してるけど、管理者って条件がそろえばほかの世界に干渉できるのよ。前任者に聞いてないの。それとも、前任者に聞く前にその権利でも奪った。」
目の前の女性は一度口を開き私の言葉を否定するように見えたが、図星だったのかその言葉は出てこなかった。
ちなみに、干渉できる条件は、異世界の管理者がよその世界から無理やり人を召喚したや、世界と世界の境界に穴が開いている場合その穴を補強する名目で、そして、ほかの世界が壊れてなくなる寸前にその世界へ救援もしくは管理者を罰するために渡ることができる。
「否定しないということは、どちらかが、それとも両方があたりかしら。」
「そんなのでよく管理者を名乗ってるわね。自称女神さん。」
からかうように言った後、雰囲気を変えるため一息吐き、真剣な顔をしてヒントを一つ。
「自称女神ってまさか。」
「いない。いない。ここにもいない。」
自称女神さんは、先ほど見ていた丸い水晶に目を向けると必死に彼を探し始めた。
なんて、無駄な努力を。
「彼なら帰ったわよ。」
私がそういうと、自称女神さんは目を見開き今までにないほど驚いた表情をしていた。
「本当に何も知らないのね。」
私はつぶやくように言った。
「世界を渡るのは必然であってはいけない。例外を除いて偶然でなければならない。そして、世界を渡った者には選択肢を与えなくてはならない。貴方も知っていると思うけど理、管理者規則の一つね。あと、最後の選択肢を与えるは、正確には世界を渡れることを知っている人に限りって前につくと。」
「そんなことどうでもいい。元とはいえ同じ管理者なんでしょならこれ何とかしなさいよ。」
私は、自称女神さんが何も知らないと勝手に結論を出し、言い聞かせるように言った。
けれど、自称女神さんにはそんなことどうでもよかったようだ。
こうしている間にも自称女神さんの世界は壊れているのだから仕方ないといえばそうなのだが、こういう事態になったのは自称女神さん自身のせいのはずなのになんで私が怒られるという状況になっている不思議。
きっとこの自称女神さんなら例外、管理者が目を離したすきによその世界から召喚によって人がさらわれる、を気づかなそうだ。むしろ、それを知ったら面白がりわざと目を離しそうな気がする。本来なら汚点でしかならないのに。
「管理権限と干渉権もらえればできるけど、貴女、干渉権って知らないでしょ。」
「管理世界に対する強制命令権。普段、観測、観察、傍観、しかできない管理者が唯一世界に直接干渉するためにパスワードを使うの。本来なら管理者を引き継ぐついでによっぽどのことが起こった場合の対処法としてパスワードを聞いてるはずなのだけれど、それ持っていないでしょ。」
「強制命令権。パスワード。なにそれ。そんなの知らない。あいつ何も言ってなかった。」
案の定、自称女神さんは干渉権のことを知らなからった。
あいつというのは、多分、前任者のことだろう。その人もきっとこうなることを予測して何も教えなかったのかもしれない。
だから、自称女神さんは自称の域を出ることはないのだけれど、前任者はどうして自称女神さんを後任として選ぼうとしたのか不思議だ。
「ならどうしようもないわね。この世界はあきらめなさい。」
「なんで。なんでよ。やっと手に入れたのにあきらめなきゃいけないのよ。」
何でと聞かれても自業自得としか答えることができない。けれど、それを言ってしまうとさらに逆上するだろう。そうなると正直めんどくさい。
「そもそも根源に暴虐があるのに覚醒を持たせるからこんなことになるのよ。そこに聖剣創造をつけてるからなおさら手におえない。」
「根源、暴虐。なにそれ。」
「根源、人が生まれながらにして持っている根本的な要素。そして、それは決して開けることができない奥底に眠っていてよっぽどのことがない限り開く頃がない。ある意味で人を人として形付ける基礎って私は教わった。まあ、もっとも根源はすべてが破壊するようなものではないから今回は運が悪かったとしか言いようがないわね。」
「異世界行くときの特典に覚醒がありそれを暴虐の根源を持つ子が手にいれた。そして、運悪く覚醒で根源までこじ開けた。そして、もう一つの特典聖剣創造と合わさって次々に新しい武器を作れ聖剣の効果で肉体強化、体力回復のおまけつき。何もなくなっても破壊するだろうね。」
「そんなどうして。」
どうしてと言われてもそれを選択したのは自称女神さんなのだから仕方がない。
さて、一通り説明したしもういいかな。
「別世界の元管理者六花の名のもとに貴方の管理権限のすべてをはく奪し、貴方を白き空間に幽閉することを宣言します。なお、その時間は貴女の管理世界の生命の分とします。」
私が言い終えると同時に自称女神さんの足元に幾重にも折り重なった幾何学模様が現れた。
「なにを。」
そして、自称女神さんが何かを言い終わる前にかの地へと自称女神さんを運んで行った。
「何もない空間で自分のしたことを反省しなさい。さようなら、自称女神さん。」
誰もいなくなった空間で私はそこにはいない自称女神さんに向かって言うと管理権限を使いこの世界を終わらせるため、そして、ほかの世界に影響を与えないために世界と世界の境界の補強にいそしむのでした。
読んでくださりありがとうございます。
そして、最後までお付き合いいただきありがとうございました。
もし興味がわきましたらほかの作品も読んでいただければ幸いです。