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授業の始まり

遅れました

車の免許取りに行ってました

いやー、焦りました

行こうと思ってた前日に勉強しようと思ったんですが、眠くて眠ったら次の日になってまして

朝早くから電車に乗って試験会場まで行ってと

まあ、受かりました

お金ないんで、車は買えませんけどね……

バイト頑張ります

 「朝ですよー!」


 ハスミンの声が聞こえ、目が覚める。

 朝日は……窓がないので入ってこない。

 まったく時間間隔がズレて困る。

 まあ、愚痴ってないで起きるか。


 とりあえず、布団を畳む。

 ていうか、畳まないと場所がない。

 とても切実な問題なのです。


 今日から本格的にこの学園での生活が始まるのだ。

 もうダンジョンに行き冒険者として活動したが、何か新しいことを教わることが出来るかもしれない。

 最初は不満もあり、仕方なくといった感じだったが、考えてみると意外と楽しみになっていた。


 朝はいつもあまり変わらない。

 今日も今日とて燈華が話しかけてきて、その相手で多少疲れたくらいだ。

 朝食を終え、歩いて数秒の所にある学園へと足を踏み入れる。


 クラスは事前にハスミンから伝えられている。

 いつも思うのだが、いったいいつの間に話をしているのか。

 聞いても、いつものごとくあの言葉で片付けられるのだろうが。


 「それにしてもFねぇ……」


 この学校は、成績でクラスが決まる。

 そして、Fというのは一番下のクラスだ。

 城では扱いが同じである、奏太はEらしい。

 どんだけ嫌われてんだよ、俺。


 教室や廊下というのはあまり変わらないらしい。

 あ、嘘言った。

 床これ大理石だわ。

 やはり、資本の違いは出ているらしい。


 Fクラスの扉を開ける。

 ここは、一番上のSクラスも、俺がしばらく入るFクラスも変わらないらしい。

 違うのは、やる気と熱心さ、実力だと、ハスミンが言っていた。

 どこからその情報を得たのかは謎だ。


 しかし、入ったはいいが席がわからない。

 普通、転校生と言ったら、教師に言われて教室に入り、自己紹介、席を決められ、質問攻めというのが王道だろうに、クラスだけ言われても困る。

 これが自由席だというならいいが、元の高校と同じく机と椅子がいくつもおかれている。

 総数40程だ。40分の1の確立をあてるとか、自信ない。




 そう思ってた時がありました。


 「おい、新人早く座れ」


 「いや、席わからないんですけど……」


 「そんなもん自由だ、自由」


 まあ、それは理解した。

 しかし、しかしだ―


 「結構休み多いんですね」


 「は?何言ってるんだ?これで全員だが?」


 詩鶴は周りを見渡す。

 いや、後ろを振り返るというべきだろうか?

 最後列に座る5人。

 あとは空席だ。


 「何のために机こんなにおいてるんだよ……」


 とりあえず最前列の真ん中に座っておく。

 やる気があるという意思表示だ。


 「よし。では、授業を始める。教科書の125ページを開け」


 持ってきていた教科書を開く。

 授業を聞くが正直初耳な情報は何一つない。

 階層を進むごとに強くなるのも、5階層ごとにモンスターの種類が変わるのも体験済みだからだ。

 楽しみを夢想していたのだが、1日目にしてそれが砕け散った。


 「これで、授業は終わりだ。次は、戦闘訓練だ。ほかのクラスも一緒だから。頑張れよ」


 この先生も結構適当だ。

 生徒だけでなく、教師もやる気がない。

 まあ、生徒は全くやる気を感じないから、そうなるのも仕方ないのかもしれない。

 後ろで寝ている5人を見てそう、一人納得しておく。


 まあ、放っておいていいだろう。

 やる気のないやつの相手をするほど大変なことはない。

 まあ、有り余ってるやつはそれ以上に疲れるが。






 始まる前ギリギリで戦闘訓練が行われる外の修練場と呼ばれているところに着いた。

 場所も、どうすればいいかもわからなかったので、5人に聞いたのだが適当な返答しかもらえず、やむなく奏太に聞こうと隣のクラスに行ったのだが―


 「おーい、奏太。場所わからんから教えてー」


 目の前には、肌色の楽園があった。

 まあ、普通にEクラスの女子たちが着替えてたみたいで、その後めちゃくちゃ追いかけられてのだ。

 謝って、殴られて、教えてもらって、殴られて、着替えて、移動したらこんなに遅くなってしまったのだ。

 いまだに、Eクラスの女子からの視線が痛い。


 「詩鶴君大丈夫?」


 奏太が心配して聞いてくる。

 こいつは優しいのだ。

 自分はいじめられていたのに、こうやって人を気遣える。

 最近は城での訓練で体も引き締まってきて、徐々にイケメンに……。

 しかし、奏太はほかのイケメンとは別だ。睨んだりは絶対にしない。


 「正直、体よりも心が痛い」


 「あはは……。すごい罵倒だったね」


 「いや、俺が悪いよ。だけど、もうちょっと加減してほしい」


 「あとは、ドアノックだね」


 「覚えておくよ」


 二人で笑いあう。

 Eクラスも奏太だけしか、勇者組はいなかったらしい。

 燈華はAクラスだったらしい。

 イケメンはSクラスで、お嬢様たちの注目の的なのが、視線の先の女子の集団を見てわかる。


 「それでは、戦闘訓練を始める。Fクラスの奴がいるのは、初めてだな」


 やる気どんだけないんだよと心で突っ込みを入れる。

 教師の言葉に一人ぽつんと、Eクラスの横に座る俺に視線が集まる。

 まるで、珍獣になった気分だ。

 扱いは近いものがあるのだろうが。


 「まあ、勇者なのだろう?それに、戦闘が得意だとも。Fなのは貴族たちに嫌われてらしいな」


 なんで知ってるんだよ。

 ていうか、それをここで話していいのかよ。

 隣にいるEクラスの女子なんて、めっちゃ驚いてるよ。


 「あの騎士団長に勝ったんだろ?」


 その言葉に周りがざわつく。

 ここはあれか?「狼狽えるなっ!」とか行っちゃう場面か?いや、違うか。


 「まあ、相手が3割しか力出してないみたいでしたので」


 「ふはは、そうか。短剣が得意なのだろう?」


 いや、一番苦手ですよ。

 しかも授業なのにこんな話してていいんですか?


 「大丈夫だぞ。君はあちらでは不遇な扱いを受けてるみたいだからな。ここくらいは扱いがよくなってもいいかと思ってな。妹も世話になってるようだしな」


 「妹ですか?」


 「ああ、ハスミンがね」


 あー、そう言われればどこか似てるような気もする。

 さっきもナチュラルに心読んできたし。

 あれか?お家のスキルとかそんな奴なの?


 「君には、Sクラスのあの子の相手をしてくれ」


 指さした先にいたのは気にもたれかかる少女だ。

 もしかしてあれか?中二病か?

 剣を二本左右にぶら下げて、腕を組んで、少しうつむいた感じで、気にもたれかかる。

 すごい中二くさいです。


 「ヘーゼル・ルイスさんと言って、あの騎士団長と同じ武のルイスと言われる貴族でね。学生では相手にならなかったんだ」


 まさかの、騎士団長の素性がわかってしまった。


 「先生、あの愚兄と一緒にしないでもらいたい」


 すごい、中二感です。

 やばい、マジでそうかもしれない。


 「しかし、我家でも、最弱の愚兄を倒すだけの力はあるようだしな」


 おおう、我~の中でも最弱を異世界で聞けて感激だ。

 しかも、言うだけはある。あの騎士団長とはくらべものにならないくらい強い。

 そう、気配が伝えてくるのだ。


 「それじゃ、あっちのほうでやってていいよ」


 ちょっ!?適当じゃない。

 扱いよくしてくれる話どこ行ったの?すごく適当だよ!?


 「おい、早くしろ」


 「……はい」


 まあ、久しぶりの強敵だ。

 楽しめそうではある。

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