冒険者の学校
すいません
忘れてました
短いです
みんなからの報告を統合してみると、やはり校長のあの甘い交渉には裏があった。
「それじゃ、あの校長がこちらの世界での酒池肉林の為にしぃちゃん達を売ったってこと?」
しぃちゃんというのは氷野先生の俺の呼び方だ。
「まあ、いろいろ適当にまとめ過ぎですけど、そうなりますね」
「氷野先生、公私の区別はつけてください」
「もう、学校じゃないんですからいいじゃないですか柳川先生」
「はあ……」
柳川先生のため息に、俺も同情する。
昔からの仲だからなのだが、いつも悩まされている。
だから、もっと言ってやってください柳川先生。
「それで、どうするのしぃちゃん」
氷野先生の目がすぅっと細められ、こちらを見てくる。
これはあれだ。悪いことを考えている時の顔だ。
「まあ、まずは校長には重要な案件から離れてもらおうかなぁって思ってる」
「それは、面白そうだね。ふふふ」
二人して、これからのことに思いを馳せて笑いあう。
慢心ではなく、余裕だ。何事も余裕が大事だしね。
もうその為の用意もできている。
「いや、しぃちゃんも悪い人だね」
「いやいや、ラファ姉には負けるよ。ははは」
「お前ら二人とも変わらんよ……」
柳川先生の呟きは二人に聞こえることはなかった。
「それで、何しに来たのですかな?氷野先生」
「どうぞこれを」
校長が渡された物を受け取る。
そこには、この世界のお金や嗜好品を受け取る校長の写真があった。
「写真!?それにこれは?」
「見覚えはあるでしょう?あなたがやったことなんですし」
「何のことかね?」
さっきの驚きがなかったかのように、白々しくもそう答える。
「まあ、認めるかはどうでもいいです。もう、このように」
そう言って見せたのは、校長の決定権のはく奪の署名だった。
「もう決まっているので。ああ、この国の王たちにも伝えていますので。では」
「あ、おい!」
校長の呼ぶ声を無視して部屋を出る。
その後怒鳴る声も聞こえたが、そのまま歩き続けた。
「ふふ、さようなら。さって、しぃちゃんの所に行こうかな」
それから数日、無事校長の排斥も済んだ。
しかし、決めてしまったことはやらねばと、冒険者の養成学校への準備をしていた。
「シヅル、足りない物はないですか?」
「大丈夫だよ」
「うぅ、心配です。こちらだと、訓練中も一緒にいれますが、あちらだと部屋での待機ですからね」
「少し寂しくなるね」
「はい。……こっそりなら大丈夫ですかね?」
「だめじゃないですかね」
翌日、案内人に従って城を出て、少し歩くとこれまた城みたいな建物が見えてきた。
「あれが、冒険者の養成学校『アタナ』です」
学校にしてはでかすぎではないだろうか?