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陰謀

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 「は?冒険者の養成学校ですか?」


 「そうだ」




 提案してきたのは、元の世界での学校の校長だ。

 朝食を食べ終えると、みんなを集めて言ったのが―


 「2ヶ月間、冒険者の養成学校へと行ってもらう」


 との言葉だった。

 なんでも、国王と決めたことらしく、戦ってくれる人を増やすためという思惑を持ちながら勧めてきたらしい。

 それだけだと、こちらも了承はしない。

 校長にとっては、一人でも死んだら自分の評判に関わるため、そこらへんは考えているだろう。


 「その代わり、装備一式を新調させてもらえる。好きなのを選べるみたいだから、ちゃんと選んできなさい」


 (条件が軽すぎる……、それに)


 「ねえねえ」


 肩をたたいて、そう後ろからささやかれる。

 振り向かなくてもわかる。


 「おかしいよね?あれ、絶対何か掴まされてるよ」


 「そういうことは言うな」


 頭にチョップをいれ、燈華を黙らせておき、考える。

 まあ、正論ではあるのだ。

 あの、内心からの喜びを隠すような下種な笑顔、あの豚……もとい、校長ならあり得ない話ではない。

 まあ、学校に行くだけでは危険もないだろうから、今回は何も言わない。


 「調べないとは言ってないけどな……」


 「えっ、何?」


 「何でもない」


 俺の呟きに反応した、燈華をスルーしてどうしてやろうかと、考え出した。




 「今度のお茶会で聞いてみますわ」


 「お願いします」


 「いえいえ、こちらこそいつも親切にしていただいていますから。シヅルさんの頼みでしたら、引き受けますわ。他言もしませんし、させませんからご安心くださいませ」


 「ありがとうございます」


 「ふふ、いつもこちらからお礼を言っているので、逆に言われるとむず痒いですわ。言われなれてますけど、シヅルさんに言われると……、こう胸のあたりが温かいです」


 「はあ、うれしく思っていただけているなら、嬉しいです。では、他の人にも聞かなくちゃいけないので」


 「はい。いい報告を期待していてくださいませ」


 そう言って、何回も顔を合わせたり、手伝ったりして、この頃やっと普通に会話できるようになったお嬢様と別れる。

 次は、メイドさん達の話を聞くことにする。

 ハスミンではない。ハスミンたちは普通のメイドともまた違うのだ。


 来たのは、調理場だ。

 この世界のメイドさんは、家事スキル、従者スキルと言われているいくつかのスキルを一定以上にしないとなれないらしい。

 そのため、調理場で料理を作るのも、シェフではなく料理が得意で料理スキルや調理スキル、はては包丁スキルなどが得意なメイドさんばかりなのだ。


 執事は、従者スキルと、武器スキルか魔法スキルに分類されるスキルを一定以上にするのが条件らしい。

 そのため、そう簡単になれるものではなく、冒険者にあこがれる人が多いのもそこが原因らしい。


 「あれ?勇者様じゃないですか?また、お手伝いしに来てくれたんですか?」


 今の言葉通り、料理は好きだったため何回かお手伝いに来ていたのだ。

 その際に、あちらの世界のメニューなどを、教えているうちに普通に話せるようになり、親密な関係となっている。


 「いや、メイドさんたちに聞きたいことがあるんだけど」


 うちの校長のことを話し、気になっていることを聞いてみる。


 「うーん、勇者様の所のあのぶ―、偉い人ね……。私は知らないね」


 この調理場で一番偉い恰幅がよく、威厳を感じるメイドさんの、料理長がそう答える。

 ほかのメイドさんを見渡しても、芳しくない。

 さすが、でかい高校の校長だけあって、優秀な狸のようだ。


 「こっちの情報網で聞いてみるよ。3日もあればわかるだろうから、待ってな」


 「よろしくお願いします」


 「礼はいいよ。それで、今日はどうするんだい?」


 「お手伝いしますよ」


 「はは、いつも助かるよ。あと、あのチーズケーキなんだけどさ」


 その後、料理の話をしながら手際よく、調理していく。

 この調理場の、メイドさんの技術はとても高い。

 俺より歳が低そうなのに、めちゃくちゃ凄いメイドさんがいる。


 名前はセリーナ・エアハート、男爵家の娘らしい。

 最初会った時に、凄いねと褒めたら睨まれて以来近づけていないが。

 いや、マジで怖かった。

 それでなくても、かわいい子だったから緊張やばいのに、睨まれて心臓が止まるかと思った。


 なんでも料理が小さいころから好きで、毎日やっていたみたいで、料理長よりも腕は上なんだとか。

 ただ、料理には厳しく、というか厳しすぎるため、一時期料理長になったときに調理場のメイドの半数を帰らせたという実績を持つ。

 そのため、今の料理長に代わり、自分は調理に専念しているというのを、最初は言った時に声をかけてきたメイドさんに聞いた。


 そして、彼女が見た目は14歳くらいだが、実は24歳だということもその時に聞いた。

 起こった理由がわかり、すぐに謝った。

 一応、お許しはもらったのだが、不安でいっぱいだ。

 いつあの、包丁さばきの餌食にされてしまうか、近くで調理するときは戦々恐々としている。




 「僕のほうでも聞いてみますね」


 「ありがとう、ハロルド君」


 「いえ、いつもはこ知らが助けられていますから。当然です。では、そうですね……明後日にご報告できると思います」


 「わかった。それじゃ」


 燈華の専属執事ということから、仲良くなったハロルド君にも相談し、部屋へと戻った。


 部屋には、ハスミンが待っていた。


 「お疲れ様です」


 「うん、あといつもありがとうね」


 さっき入れたばかりのように思える、紅茶を啜りそう言う。

 ハスミンもどのこととは聞かずに理解し、一礼する。


 「何か、わかりました?」


 「まださっぱり、さすがだね。まあ、他の人にも聞いてもらってるから、3日後には判明するとは思う」


 「それで、どうするんですか?」


 「まあ、まずはこのまま校長にいろいろ決められると危ない。だから、ひとまず柳川(やながわ)先生に今の校長の役をお願いしようと思ってる」


 「柳川様というと、あの厳しそうな女性ですか?」


 「そう、俺らのクラス担任で、学年主任だった人で、厳格な人だよ。まあ、その分駆け引きは得意そうではないけど、そこは養護教諭の氷野(ひの)先生に任せることになると思う」


 「氷野様ですか?」


 あの先生は、表向きとても柔和そうで、優しい。

 そう、感じさせているだけだけど。

 本性をしているのは、俺だけだが。


 「まあ、昔からの知り合いだからね」


 「…昔からとは?」


 「母さんの親友なんだ。俺が生まれた時から知ってるし」


 「…………」


 「ん?ハスミン、どうしたの。急に黙って」


 「あ、いえ。なんでもないです」


 「そう?」


 「はい。それで、その氷野様に任せて大丈夫なんですか?」


 「むしろ、俺より手ごわいからね。口で勝ったことないし」


 「それは、期待できますね」


 その後は、話を変えて最近の趣味などを話しながら、二人で紅茶を飲み、菓子を食べた。

前より長いです

これからもこれ以上くらいの文字数書いていきたい

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