ドワーフ
「女の子に変装する必要なんてどこにあるの?僕はサムを助けるためメルダ屋敷に行くつもりだから、この領土から出ることはないだろう。なら、ずっとそれまで変装してないといけないことになる。服装を変えるだけでいいんじゃない?女にならなくても、服の色を変えるだけでもいいと思うけど」
アルアは女の子のふりなんてしたいとは思わなかった。
「大人の男と男の子の旅人なんてたくさんいる。用心することは大切なのはわかるけど、親子のふりをする方がうまくいきそうじゃない?」
二人はビステルの森の奥へと進んで行った。
「アルアがそう思うなら、それでいこう。親子か、いい考えだ」
森の奥の少し開けた場所に足を踏み入れると、ドワーフが出てきた。水色の服を着た鎌ドワーフ、緑色の服は短剣ドワーフ、桃色は魔ドワーフ、黄色は鞭ドワーフだ。ナタクは4人のドワーフに話しかけた。
「この子の服が欲しいんだが、もらえるかな。色は緑にして欲しいんだが、お願いしてもいいかな」
するとドワーフたちは、集まって話し合いを始めた。
「ドワーフに頼めば、欲しいものをもらえるの?知らなかった」
アルアはナタクの顔を見た。ナタクは得意気に頷いた。
「いいわよ、条件は私たちを一撃にすること。できたら宝箱の中に緑の服が入っているわ」
鞭ドワーフの言葉が終わると戦いが始まった。
「私に、いやお父さんに任せなさい」
ナタクはドワーフたちの動きをじっと見た。4人はじっとしていない。そこらを動き回り鎌、短剣、鞭と魔の杖からのプチファイアーで攻撃してきた。ぐるぐる同じところを回りながら走る者、前と後ろに動き続ける者、飛び上がってばかりいる者、蛇のようにくねくね動いている者。ナタクはドワーフたちの左側に身を動かした。ナタクが槍を右脇にかまえた。腰を少し落とし、ドワーフたちに狙いを定めた。
「今だ、貫通突き!」
ナタクは4人のドワーフが一列になる瞬間を待っていたのだ。ドワーフたちは消えた。