アルア むかつく こいつらなんで仮面なんてつけてるんだ
(何とかして逃げなければ。下に降ろしてもらう方法は。。。)
だが、アルアは何もいい考えが出てこなかった。
〈池からモンスターでもあがってこないかなぁ。火の技を使うモンスターだったら最高。運よくロープが燃えれば下に降りられる。そんなにうまい話はないだろうな)
アルアは池を眺めながら、どうにもならないことを悔しく思った。
(僕は生きている。この命を無駄にしたくない。ただ逃げるだけでいたら、きっと後悔する)
「あいつら大丈夫か。ナタクって男、始末したのか、強いんだろう?」
「そうらしいな。遅いとこみると手こずってるんじゃない」
「こっちがやられてるかもしれん。見てくる」
二人の話が聞こえた。そのうちの一人が草を掻き分けて、アルアが捕まった場所へと戻っていった。後姿から見ると大柄の男だ。残った男がアルアを見上げた。
「お前、なんで捕まったんだ?」
(この男は何も知らないのか。襲撃に参加していないのか)
「なぜ捕まえたんだ?」
「りくやに言われたからさ。何か悪いことでもやらかしたのか」
「何もしてない」
男は疑わしげにアルアを見た。
「何もしてないのに捕まるわけないだろう。正直に言わないと叩きのめすぞ。さあ、何をしたんだ」
「本当に何もしてないんだ。君はモスルーシのことを知らないのか」
「知らないね。そこで何があったんだ?」
男は木の根元に座った。
「街が襲撃されて、みんな殺されたんだ。生き残って逃げた僕を兵隊が追いかけてきた」
「なぜ殺されたんだ?」
「それは僕が知りたいよ。誰がそうさせたんだ?」
アルアは男が話をまるで世間話でも聞いているように思えた。驚きも何もないのだ。
(もしこの男の町が襲撃されたら、同じように自分には関係ないことのように思うんだろうか。自分がわけもわからずに追いかけられたなら、怒りを覚えないんだろうか)
「誰がなんて俺にわかるわけねえだろ。りくやが捕まえてこいって言うから、お前を連れてきただけだ。俺には関係ないね」
アルアはこの男と話しているとイライラしてきた。
「おい、こっちだ」
男が叫んだ。アルアの耳に足音が聞こえた。やはり仮面をつけた男が現れた。
「他にはいないのか」
「3人はナタクとか言う男の担当だ。遅いからコースが見に行ってるよ」
今、現れた男はアルアを見上げた。
「降ろしてやれよ」
「りくやが起こっても知らないぜ。お前が降ろしたって言うからな」
木にくくりつけられたロープが解かれ、アルアは地上に座った。手は後ろに縛られたままだが、吊るされているより動ける、逃げるチャンスがきっとあると思った。
「なぜ、顔を隠しているの?」
とっさに出た言葉にアルアは言わなければ良かったと思った。相手を怒らせてしまうんじゃないかと感じた。




