モリノミ仮面の男たち
ナタクが突き出した槍の先に、宝箱があった。緑のコケの生えた箱で、中に短剣ドワーフが着ていたのと同じ緑の服と頭巾、靴が入っていた。アルアはすぐに服を着替えた。脱いだ服はリュックに入れ、靴は森の中に投げ捨てた。
「似合っているよ」
ナタクがそう言うとアルアは照れくさそうに笑った。
二人は森を抜け、岩肌に挟まれた道をポルートへと進んだ。
辺りは明るくなり、足元がしっかりと見えるようになった。乾いた岩を見つけて、座って休むことにした。アルアはなぜ自分がここにいるのかと考え始めた。あの恐ろしい出来事から逃げ出したかっただけのように思え、本当にサムに会いたいのか、会ってどうしたいのか、はっきりとした考えが見つからない。どこか暮らせる場所が見つかれば、それだけでいいのかもしれない。そう考えるうちに、どっと疲れを感じ、ぼんやり空を眺めた。
「どうした、疲れたのか。寝てないから仕方ないな」
ナタクが心配そうにアルアに声をかけた。
「僕、これからどこで暮らせばいいんだろう。住むところ見つかるかなぁ」
空に浮かぶ雲がゆっくりと流れていた。
「心配するな。きっと見つかるもんだ。アルアは弱いままではないだろう。昨日より強くなっているじゃないか。これからもっと強くなっていく。いろんな経験をして、大きくなれば向こうから声をかけてくるさ」
「助けてくれてありがとう。ナタクさんがいなかったら、僕はあいつらに捕まって殺されていたかもしれない」
ナタクはアルアの肩に手をのせ、にっこりを微笑んだ。
「さぁ、この岩場を抜ければすぐにポルートの入口だ。行こう」
二人が歩き始めて、上り坂にさしかかった時、何かが上から落ちてきた。それは二人の上に被さり、動きを封じ込めた。広く大きな網だ。二人が歩いて来た方から、彫刻柱の顔のような茶色のお面をつけた人たちが走って来ていた。
仮面をつけているのは男たちのようだった。3人がナタクに槍を突きつけた。他の二人がアルアを押さえつけ、網をめくり外に連れ出した。
ナタクが叫んだ。
「どうするつもりだ」
アルアは不安と怖さで声も出なかった。アルアは後ろ手に縛られ、二人の男たちに挟まれ歩かされた。後ろをちらりと見ると、ナタクはまだ槍を突きつけられたままだった。




