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閑話 教えてアル先生 初代国王と公爵の伝説3

「「「教えて、アル先生。ドンドン、パフパフ!!」」」


「これ毎回やるんですか?」


「お約束ですからね」


「お約束って!」


「お約束は大事なんだよ?」


 なんでそんなことがわからないのか不思議そうな顔をしていると、アルが肩を竦めていた。

 なんだかバカにされたみたいで腹が立ったのでチョップをしておく。

 このコーナーのツッコみはチョップ一択なのだ。


「もう痛いですよ」


 涙目のアルを無視して貴也は話の先を促す。

 アルは盛大に溜息を吐きつつ語りだした。


「前回はルビーアイが止めを刺し損ねたところまででしたね。それでは――」




 止めを刺し損ねたルビーアイは奴が魔王の欠片を三つ手に入れたことを捜索隊に伝えた。

 その事実はすぐさま各国に伝達され、全世界を震撼させた。

 大魔王の脅威は伝説としていくつも残っている。

 そして、今代の大魔王は危険な存在であるのはその行動で証明されているのだ。


 捜索の手はあっという間に増え、魔族や人類どころかエルフ、ドワーフ、獣人族も参加し、奴の行方を追った。

 しかし、未だ奴の存在は掴めない。

 今頃は覚醒し大魔王になっているだろう。


 ルビーアイは奴にこれ以上力を与えないためにもその姿を消した。

 そして、大魔王の危険度から捜索隊は縮小され、現在は残された魔王の欠片の防衛に当たっている。


 現在、所在が分かっているのはルビーアイ、オパールテイル、そしてサファイアネイルの三つ。


 ルビーアイは姿を消した。

 魔王オパールテイルは残された魔族が一丸となって守っている。

 問題はサファイアネイルだ。


 サファイアネイルは人間の国家で最古最大の国 サフィーネ帝国が所有している。

 建国当初に魔王を討伐し、それを封印。

 代々の皇帝が責任を持って保管しているらしい。


 それを守るのは人類最強の騎士団。

 それと失われた技術で作られた魔導結界だった。


 サファイアネイルが仕舞われている宝物庫には何重も結界を張られており、その結界に入れるのは皇帝の血を継ぐ者だけ。

 だから、守りは盤石に思われていた。


 そう裏切りものが出るまでは……


 大魔王とルビーアイが姿を消して三か月後にことは起こった。

 サフィーネ帝国 第三皇子がこともあろうに大魔王と手を組んだのだ。

 第三皇子はどうしても皇帝になりたかったのだ。

 そこを大魔王に付け込まれた。


 大魔王がその姿を現したのは既に覚醒した後だった。

 彼は第三皇子を伴い瞬く間に騎士団を壊滅させた。

 そして、結界まで彼を導く。

 結界は失われた技術が使われており流石の大魔王でも壊すことも侵入することも出来なかった。

 だから、皇子を誑かした。


 サファイアネイルを持ってきたら帝国どころかこの世界の半分をくれてやると。


 皇子は誘惑に負け、結界からサファイアネイルを持ち出してきた。

 そして、呆気なく殺された。


 残る魔王の欠片はあと三つ。


 世界の全戦力を持ってオパールテイルを守ろうと種族を越えて猛者たちが集った。

 しかし、これも時期が悪かった。

 オパールテイルはルビーアイと違って不老不死ではなかった。

 既に老齢に達していて死期が迫っていたのだ。


 オパールテイルは決断しなくてはならなかった。


 魔王の欠片を次代に引き継ぐか?

 それとも運を天に任せて転生させるか?


 オパールテイルは迷った。

 この場にダイアモンドハートやルビーアイがいれば彼らに譲り渡しただろう。

 だが、一方は故人であり、もう一方は行方不明である。

 決められず月日は経っていった。


 そして、一年後。

 大魔王はやって来た。


 厳重な守りなどお構いなしに大魔王はオパールテイルの寝室に転移してきたのだ。

 もちろん、魔王の寝室には魔法を阻害する結界が幾重にも張られていた。

 だが、すでにトパーズホーンの能力を存分に引き出すことに成功していた大魔王の前には無意味だった。


「オパールテイルを貰いに来たぞ」


 ニヤリと口角を上げる大魔王。

 それにオパールテイルは目を閉じたまま返事さえしなかった。

 大魔王はつまらなそうに息を吐くと手刀を振り下ろしてオパールテイルを奪おうとした。


 だが、


「なに!」


 既にオパールテイルはそこにはなかった。

 彼の魔王は返事をしなかったのではなく既に死んでいたのだ。


 憤り暴れまわる大魔王。

 駆け付けてきた騎士や戦士たちを倒しながら、オパールテイルの行方を知るものを探す。


 そして


「転生させただと……」


 オパールテイルの決断は転生だった。

 受け継がせても、隠しても決して守り切れないと考えたオパールテイルは運を天に任せたのだ。


 そして、魔国オパールテイルはこの世界から跡形もなく消滅した。

 文字通りに



「「「…………」」」


「えっと、大魔王が凄まじく強いのはわかったんだけど、なんでこの世界は存在してるの?」


「それは英雄たちが超魔王になった大魔王を倒すからですよ」


「まあ、そうなんだけどこんな化け物どうやって人が倒すのか信じられないんだけど」


「そうですね。話している僕も盛り過ぎじゃない? って思う時がありましたけど、戦いの跡地とか残ってて話が大げさではないことを裏付けているんですよね」


 はあ、と盛大に溜息を吐く、アル。


「まあ、いいや。それで初代達はまだ出てこないの?」


「これからです。魔国オパールテイルが消滅した頃に冒険者として頭角を現してきたんです」


「じゃあ、そろそろ時間だからその話は次回だね」


「えええ、折角、いい所じゃないですか」


「何言ってるんだ。いいところで『つづく』が出るのがお約束だろう?」


「そのお約束っていうのは何なんですか! スッゴイ便利な言葉ですね!」


「まあ、それがお約束ってものだろう」


 ふっとニヒルに笑う貴也はちっともダンディーではなかった。

 と言う訳でお話は次回に続く。



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