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第七十二話 いざ決闘! まで行かなくて無双できない

修正 決闘の概略の部分の改行を変更 16/11/23

「それで決闘ですが、あなた達バカには任せておけませんのでわたしがルールを決めます」


 そう言い切るとアル達から不満の声が上がる。


「貴也さん。さっきからバカバカ言わないでくださいよ。それにルールは申し込まれた方が決めるのが原則なんですよ」


「そうじゃ。そこの若造がバカと言われるのは仕方がないにしても妾のような知性と美貌を兼ね備えた者をバカと呼ぶのは許容できぬぞ。魔王として正当に扱うがよい」


「はい、はい。わかりましたよ。魔王様。貴方様の振る舞いがあんまりだったので魔王でいらっしゃったことをすっかり忘れておりました。以後、気を付けさせていただきます」


 貴也が肩を竦めてそういうと、グヌヌと魔王が唸りだした。

 本当にこいつは魔王なのだろうか? 

 と疑問が湧いてくる。


「それでは魔王様。アレックス様がルールを決めるように言っておりますがいかがいたしますか? そのような雑事は魔王様のような高貴な方がやられるようなことではないと愚考します。僭越ながらわたくしめにお任せいただければ幸いです」


「うん。そうか。良きに計らえ」


 丁寧な口調? (貴也は皮肉のつもりだったのだが)が聞いたのか、魔王は嬉しそうに横柄に頷いてくる。

 こいつ、こんなにちょろくて国政とか大丈夫なのだろうか? 

 余程、優秀な部下がいるのだろうな。

 とその部下の人にいたく同情しながらアルにも確認を取る。


 先程、文句をつけたからか幾分、不満顔であったがアルも了承した。


 と言う訳でどうするかだ。

 しばし、顎に手を当てて考える、貴也。


 決闘のルールと言うのはなかなか難しい。

 本当は将棋やチェス、カードゲームなどでお茶を濁したいところだが、この好戦的な戦闘民族どもは納得しないだろう。

 ならば、いかに大怪我をさせず、それでいて双方にしこりを残さない程度に戦闘をさせないといけない。

 この双方にしこりを残さないように戦わせるというのがなかなか難しい。

 これが両者の力が拮抗している分なら簡単だが、実力の差は歴然なのだ。

 ちゃんとハンデをつけなければ勝負にならない。

 しかし、ハンデをつけすぎると間違いなく魔王から不満が出る。


 魔力の使用禁止は言質を取れているがそれだけで勝負になるだろうか?

 いや、この際、アルが完膚なきまでに負ければいいのか。

 ただ、命に関わることや、後遺症の残るような大怪我を追うのは勘弁してもらいたい。

 その辺のさじ加減をどうするか……。


 そんなことを一分足らずでまとめた貴也は自分で言うのもなんだがなかなか優秀だろう。


 と言う訳で


「ルール発表~~~!」


「どんどん、パフパフ」


 ノリよく、優紀が合の手をいれてくれた。

 貴也は優紀とハイタッチをする。


 取り残された二人はこのノリについてこれなかったみたいで呆然としている。

 どうやら、盛大に外してしまったようだ。

 貴也はゴホンと咳払いをして何事も無かったかのように話し出した。


「ルールなのだが――」


 決闘の概要をまとめる。


 一、期日 明日の午後一時開始。開始時間に遅れた場合、いかなる理由があろう

   と負けとする。

 二、審判は優紀が務める。勇者の判定は絶対とし異論は挟ませない。

 三、勝負の判定は相手が負けを認めること。

   気絶やケガで戦闘の続行が不可能と審判が判断した場合とする。

 四、武器は基本木製の物を使用し、打突部には布などを巻くこと。

 五、魔王は魔力の使用を禁止。

   故意に魔力を使用した場合は審判の判断で反則負け。

   故意でない場合は貴也がカウントを開始。

   十カウント以内に魔力を止めなければその時点で反則負けとする。

 六、相手を死亡させたり、魔法や魔導具で治療不可能な重度の後遺症が残る

   ケガを負わせたりした場合はケガを負わせた側の負けとする。

   この場合、ペナルティーとして今後、優紀との接触を一切禁止する。

 以上


 簡単だがこんなところだ。

 貴也としてはもう少し細かいところまで決めたいのだが、実質何でもありの戦闘で細かなルールを決めても守れない。

 それに、こいつらに覚えきれるとは思えなかった。


 それでも当事者たちは


「使い慣れない木剣では実力が出し切れません。それに魔王相手に木剣ではダメージが与えられないんじゃあいですか?」


「条件は魔王も一緒だ。それにダメージだが、魔王はオレの拳骨を受けて痛がっていただろう。無防備の状態ならこいつにも相応のダメージを与えられる。それにお前は魔法が使えるんだ。いくらでも手はあると思うぞ」

 そういうと、アルは感心し魔王はバツの悪い顔をしていた。

 そんな中、おずおずと優紀が手を上げる。


「はい。優紀君」


「貴也、わたし審判なんてしたことないよ」


「う~ん。でも、オレじゃ公平じゃないし、それに魔王やアルの動きを目で追える自信がないんだよなあ。別に難しく考える必要はないんじゃないか。お前はこれ以上やったら死にそうだと思うタイミングで止めに入ってくれればいい。あと、魔王が魔力を故意に使った判定だな。お前の判定なら魔王も納得するだろう。なあ、魔王」


「うむ。ルールを破るような真似など妾は魔王の名に懸けて絶対にしないから優紀は気にする必要はない。優紀は妾がやり過ぎてこの若造を殺してしまわぬように注意してくれればよい」


「やる前から、勝った気でいるのか」


「そんなもの当然じゃろ。妾は魔王だぞ」


 いきり立つアルと踏ん反り返る魔王。

 貴也は溜息を吐きながら二人を引き離す。


「おし、これで双方文句はないな。それでは」


「ちょっと待て」


 そこで魔王から物言いが入った。

 こいつがルールに口出すとは思ってなかったので不思議に思っていると。


「殺してしまったときのペナルティーはどうにかならんのか? ユウキに一生会えなくなるのは辛いぞ」


「だったら、殺さなければいい。お前ならそれぐらいの手加減できるだろ?」


「無茶を言うな。貴様はアリ相手に殺さないように手加減して勝てと言って勝てるのか?」


 貴也は少し考える。

 確かにギブアップを宣言したくてもできないアリを上手く気絶させて勝つのは難しいかもしれない。

 この場合、いかにうまくアルに「参った」と言わせるかだが、ここまで意地になっているアルを降参させるのは難しいだろう。


 う~んと唸った末に考えた結論。


「お前は回復魔法を使えるんだよな?」


「貴様は魔王をなんだと思っているんだ。固有魔法や開発されたばかりの新魔法、秘匿魔法以外ならほぼ全て使えるぞ。蘇生魔法だってお手の物だ」


 それを聞いて貴也は安心する。

 ちなみに蘇生魔法だが、死んだものを誰でも生き返らせるわけではない。

 病死や寿命の者には効果がない。

 それにケガで死んでも、その直後しか効果がない。

 その有効時間は長くて三分。

 魔王なら死後十分くらいなら大丈夫かもしれない。

 それもケガの具合で大きく変わる。

 損傷率が激しいと蘇生の可能性が落ちるし、失った部位が戻らないこともある。


 と言う訳で貴也の提案。


「なら、相手に対する回復魔法の使用だけ認める」


 そう言われてみんなが首を傾げていた。


「わかんない? 回復魔法をかけながら戦えばいいんだよ。痛めつけて死にそうになったら回復させて、また痛めつける。死んじゃったら、蘇生して痛めつける。まあm降参するまで何度か死んでも復活するならいいよな。いかにアルでも何度も殺されれば降参するだろうし。まあ、蘇生に失敗したら魔王は負けだからあんまり殺すのはお勧めしないけどね」


 それって拷問よりひどくねってことを真顔で言う貴也も頭のネジが飛んでいるのかもしれない。

 本人に自覚はないが十分貴也も変人なのだ。


 みんなが怯え慄いているのに気付かない貴也は「これでいいのだ」と結論づけて解散を宣言した。


水曜日の更新が出来なくてすみませんでした。

今後も水曜日の更新はどうなるかわかりません。

月金は死守するつもりなのでこれからもよろしくお願いします。

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