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第五十三話 もう一つの課題を投げかけるが無双できない


「それと問題はもう一つあるんです」


 バルトの意識を戻すための一言だった。

 それは狙い通りの効果を発揮してバルトはこちらに気を向ける。

 今度はどんなことが聞けるのかと目がキラキラを通り越してギラギラしていた。

 なんだか、ちょっと怖い。


「それは何ですか?」


 バルトは待っていられないと身を乗り出している。

 そんな彼を宥めながら貴也は自分が最も求めているか課題を明かした。


「先ほども話しましたけど、オレが戦う上で最も問題になるのは魔力容量です。それを解決しなくては何ともならない」


 これは嘘偽りのない事実だ。

 現在、身体強化魔法で身体能力の低さはある程度改善された。

 魔法で強化すればCランクの魔物とも対等に戦えるだろう。


 ただし、魔法容量があれば


 残念なことに魔力を帯びない武器ではCランク以上の魔物に致命傷を負わすことが出来ない。

 F、Eは身体能力が圧倒的ならば蹂躙できる。

 Dランクは時間をかけて手数に任せれば倒すことは出来るだろう。


 だが、Cランク以上の魔力防御の前には魔力を帯びない攻撃はかすり傷を負わせるのが精々なのだ。


 それを知っているバルトは唖然としながら


「まさか、魔力バッテリーを作るつもりですか?」


「そうです。最終目的はそこです」


「無理です。この世界の人間がそんなことを考えなかったと思いますか? 現在でも研究されていますが成功した例はありません」


「そうですね。だから、我々がその初めてになるんですよ」


「無茶な。魔力は生きているものにしか貯めることはできません。それは長年の研究でわかってきたことです。現在、魔力を保持できるのは魔石だけ。ですが、魔石は長年かかって魔物が余剰魔力を蓄積して出来たもの。それに新しい魔力を注ぎ込むことは出来ません」


「そうですね。現在の魔石は使い捨ての電池のようなものです。ですが、なんで魔力を注ぎ込むことは出来ないのですか? 魔石は意思を込めて魔力を流せば、それを呼び水にして中の魔力が出てくる。そして、止めようという意思を込めて魔力を流せば、その流出が止まる。それはなぜですか?」


「まだ、理論は解明されてません。出来るからと出来るとしか言えませんね」


「では、貯めることも不可能とは言えないんじゃないですか?」


「でも、出すときと同じように魔力を込めても無駄ですよ」


「ええ、わかってます。長年、同じ魔力を与えられ続けらえた魔石ですからそう簡単に魔力を込めることは出来ないでしょう。そう他人の魔力とは相性が悪いかもしれませんね」


 その言葉を聞いてバルトは戦慄していた。

 そこに貴也は畳みかける。


「魔石を作った魔物と同じ魔力を流すことが出来たらどうなるんですかね」


 この時、貴也の浮かべた笑みを後年バルトは悪魔のようだったと語っている。

 そんな微笑みを向けられながら、バルトは何とか言葉を絞り出した。


「貴也さんはわたしの研究の目的を知っていたのですか?」


 震える声で聴いてくるバルトに対して貴也は首を振る。


「いいえ、あなたが研究所を追放された理由と自分の仮説を照らし合わせて予想しただけです。いま確信に変わりましたけどね」


「かまをかけたんですか?」


「そうとって貰って構いませんよ。ただ、オレとあなたの目的は一致しているということです」


 貴也の言葉を聞いてバルトは目を瞑った。

 そして、しばらくそうしていると、徐に目を向け貴也を見詰める。


「世界が変わりますよ?」


「世界が変わりますか」


 貴也はほくそ笑んでいた。

 自分の望みのために世界の根本が変わってしまうことに恐怖はある。

 でも、それはどのような科学技術でも同じことだ。


 ダイナマイトを作ったノーベルの苦悩は理解出来る。

 でも、科学者はそれを乗り越え、いや好奇心、探求心に抗えず先を目指すのだ。

 それに科学は使う人によって悪魔にも天使にもなるもの。

 発明者に責任を求めるようなものではないのだ。


 貴也は自分の信条を話す。

 すると、バルトは納得してくれたのか表情が一転していた。

 いままで貴也のことをスポンサーの一人くらいにしか認識していなかったバルトの意識が変わったようだ。

 貴也を見る目が同じ罪を背負う同志を見る目になっている。


 だが、貴也はそんなバルトにもう一つ爆弾を投げかける。


「ただ、単純に魔石は使いませんよ。魔力の再充填が可能でも魔石では容量が少なすぎます。大型の魔石を使えば今度は重さと大きさが問題になります」


「でも、魔力を溜められる物は現在。魔石以外に発見されていません」


「そうですね。一から素材を探すのは困難と言うより奇跡に近いでしょう。なんの足がかりも無ければね」


「何か当てがあるんですか?」


 バルトは息をのんでいた。

 しばらく、間を取る貴也。

 重い沈黙が流れる。


 そして、貴也ははっきりと言った。


「エネルギーキューブですよ」


 それを聞いてバルトは思考の世界に旅立っていった。



祝一万PV。

投稿開始から4か月ちょっと。

長いような短いような時間ですが何とか達成しました。

いままで、読んでいただいた、皆さん。

大変ありがとうございました。


って、なんか最終回みたいな挨拶になってしまいましたが

まだまだ続くのでこれからもよろしくお願いしいます。


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