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第二十八話 領都へと旅立とうとするが無双できない


「痛う」


 目が覚めると頭痛が酷かった。


「昨日呑み過ぎたみたいだな」


 貴也は重い頭を抱えながら一階のリビングに降りていく。

 リビングにはすでにカインとアルがテーブルに着いていた。


「おはよう。その様子だとやっぱり二日酔いだべか」


 カインが苦笑しながらフロス入りの水を出してくれる。

 アルはその横で潰れていた。

 どうやらアルも二日酔いらしい。

 まあ、あれだけ飲まされれば当然だろう。

 ていうか、一緒に飲んでいたカインが平気なのが信じられない。

 そんな目で見ていると


「鍛え方が違うだ」


 と言って力こぶを作っていた。

 もう呆れるしかない。


 貴也はフロス水を一気に飲み干す。

 相変わらず刺激的な味だ。

 フロス効果で大分ましになったが、午前中は使い物になりそうにない。


 まあ、領主命令ということで昨日付でルイズの店を辞めることになったのだが、仕事が貴也抜きで仕事が回るか少し心配だった。

 だが、いつまでもそんなことを考えていても仕方がない。

 貴也は旅立つために身支度を始める。


 こちらの世界にきて三か月弱。

 何も買っていないような気がしていたが、意外と自分の持ち物が増えていることに貴也は不思議な気持ちを味わっていた。


 午前中一杯かけて貴也は荷物の整理を行った。

 領都へは着替えとギルドカード、財布に携帯電話くらいで十分だ。

 あとの物は落ち着いたら送ってもらうことにする。

 捨ててもいいようなものばかりだが、なんだかそんな気にはならなかった。

 

 カインの話では領都へは車で二、三日の距離らしい。

 この世界の車には乗ったことがないので少し楽しみである。

 この村と領都へは週一で定期便が出ているのでそれに乗っていく予定だ。

 定期便は明日の朝市に出発である。

 わざと乗り遅れて一週間出発を遅らそうかとも思ったがそういうわけにもいかないだろう。

 出発を遅らせれば遅らせただけ行くのが億劫になるのはわかりきっている。


 なんらかんらと言ってこの村の住み心地は良かったのだ。

 本人には言わないがカインやマリア、ルイズにライン。

 いい人ばかりだった。

 この年になって友人と呼べる人間が出来るとは思ってなかった。

 そんなことを考えていると頬が熱くなってきた。


 貴也は喉が渇いたのでリビングへ。


 するとそこには


「ああ、貴也さん。準備は出来てますか?」


 二日酔いが収まったのか笑顔でアルが。

 だが、貴也の意識はラインとその横に立つ男に向かっていた。


 黒いモーニングを颯爽と着こなす老紳士。

 柔和な笑顔をしているが、にじみ出るオーラだけでこの人がただ者ではないというのが分かる。

 その証拠にその横に立つラインが直立不動で真っ青になっていた。


「誠に勝手ながら家の中で待たせて頂いていました。わたくしはタイタニウム公爵家、執事長、クロードと申します。以後、お見知りおきを」


 笑顔の奥でギラリと光る眼を貴也は見逃さなかった。


 どうやら、今度の領都行きはタダでは済みそうもないと貴也は覚悟するのだった。




夏風邪をひいてしまいました。

その所為もあって2章の準備があまり進んでいません。

このまま進めながらまとめていくことも考えていたのですが

やはり準備期間を設けさせて頂くことにしました。

折角、PVが伸びてきたのに残念です。

申し訳ありませんが次回更新は8月8日になります。

誤字脱字報告、感想など頂けたら幸いです。

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