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第百九十二話 襲撃者は自分の涙に動揺するが無双できない

明日、更新出来そうにないので一日早く更新します。

更新が安定しなくてすみません。


 魔王の首に刃が閃いた。

 だが


「なぜだ。なぜ腕が止まる」


 その剣は首の皮一枚を斬っただけで止まっている。

 魔王の首には赤い線が一筋生まれていた。

 そこから一滴の血が滴り落ちる。

 魔王はそのことを気にすることなく美少女を見詰めていた。


 少女は剣をひき、その場から後退る。


「貴様。何か怪しげな術でも使ったのか! 抵抗のそぶりも見せないのは何かの策なのか」


 少女は警戒しながら魔王を睨んでいる。

 そして、その身体に魔力が渦巻き始めた。


 どういう術かはわからないが身体の制御を奪われたのを警戒して、魔法で攻撃することにしたようだ。

 その少女が持つ有り余る魔力が魔法を発動していないのに物理的な圧力を生んでいる。

 その衝撃は魔王の寝室にある調度品を吹き飛ばし、バサバサとカーテンを暴れさせている。

 窓ガラスが割れ、ドアが吹き飛んでいた。


 魔王はそんな少女を見詰めたまま声を発する。


「わたくしがあなたに危害を加えることはありません。我が主の魂を受け継ぎし方よ」


 その発言に少女は激した。


「また、魂か! この生命はわたしのものだ。使命や運命などもうまっぴらだ。わたしは龍玉や魔王の欠片を集めてこの世界の神となる。そして、この世界を再生するのだ」

「それはパールライト。最後の魔王の欠片もお持ちなのですか」


 魔王の視線に彼女は右手を隠す。

 だが、直ぐに思い直した。


「流石は世界最古の生物。この魔王の欠片の存在を知っているとはな。魔王の欠片を生み出した時にいたというのは本当のようだな」

「はい。あの方、いや邪神をわたしは封印出来てしまった。その贖罪としてわたしはこのルビーアイを持つことにしたのです」

「ふん。ならそのルビーアイわたしが受け取ろう」

「それがあなたの本意ならわたしは差し出しましょう。しかし、それは本当にあなたの願いなのですか?」

「なに?」


 少女は眉間に皺を寄せている。

 魔王の言っていることの意味がわからなかったのだ。

 だが


「あなたのその涙。それはどういう意味ですか?」


 少女は左手で頬を触る。

 そこには熱いなにかがあった。


「なんでわたしが泣いているのだ」


 少女はそのことに動揺していた。

 左手にある涙の痕跡を呆然と見ている。


「パールライトに侵されていますね。強い意志が無ければ邪神の怨念に取り込まれる。教会は今まで意思なき少女を器にパールライトを守り続けてきた。ですが、貴方は白様の魂を持って生まれてしまった為に意思をなくす秘術が効かなかったのでしょう。だから――」

「うるさい。うるさい。うるさい!!!!」


 魔王の言葉を少女は金切り声を上げて塞ぐ。

 少女は髪を振り乱して取り乱していた。

 そこに優紀たちが駆け込んでくる。


「魔王! 無事か!」

「その少女が賊ですか」


 二人が剣を向けるのを見て魔王が飛び出した。


「この方に剣を向けることは許さん!」


 その行動に何が起こっているのか分からずに優紀とアスカは固まっている。

 その時だった。


「グフオ」


 くぐもった声を上げて魔王が血を吐いた。

 そして、その胸からは


「あれ? あれれれ」


 少女は血塗れになった手を見て動揺している。

 魔王は胸に剣を生やしたまま膝を付いた。


「貴様!!!!」


 優紀が剣を振り上げて少女との間合いを詰める。

 既に一刀の距離だ。

 あとは振り下ろすだけ。


 そこに魔王は割って入った。

 胸を剣で貫かれているのにどこにそんな力があるのか。

 魔王は優紀を裏拳で殴り飛ばす。

 優紀は壁まで吹っ飛ばされて背中から激突していた。


「なんで」


 完全に不意打ちだった為に受け身も取れずに壁に激突した優紀はかなりのダメージを負っているようですぐには立ち上がれそうもない。

 何とか顔を上げたが咳き込んでいる。


 そこにやっと貴也が現れた。

 動揺していた少女は貴也を見ると泣きじゃくりながらも窓から逃げ出した。

 貴也は少女を追おうとしたがすぐに諦め、魔王に駆け寄るのだった。


いつもお読みいただきありがとうございます

これからもよろしくお願いします。

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