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第百八十五話 魔王の回想を聞くが無双できない 前編

長らくお待たせして申し訳ございません。

連載を再開します。


「ここまでが記録が残っている話だ。ここからは我の憶測と体験になる」


 なんでもあの施設の状況は一時間ごとに他の研究施設に送られていたそうだ。

 だから、事故が起こる22分前までの状況は克明に残っている。


 だが、それ以降に何が起こったかはわかっていない。

 反物質に関する研究が全世界で禁止になったこともあるが、250年経ったいまでもあの時何が起こったのか判明していないのだ。


 魔王は深く息を吸い込んだ。

 過去の忌まわしい出来事を思い出すために。


「我はあの時既にこの城に住んでいた。だから、ああの異変に最初に気付けたのだろう。我はすぐに当時のトパーズホーンに連絡を取って――」


 魔王は表情を隠して淡々と話し始めた。




 ルビーアイはトパーズホーンを直ぐに呼び出し現地に飛んだ。

 現地は騒然としており、施設から逃げ出そうと車が次々と吐き出されていた。


 ルビーアイはその光景を呆然と見ながらもトパーズホーンに応援を連れてくるように頼み一人現地に残る。


 そして、炉に向かっている途中でそれは起こった。


 幾重にも張られた電磁シールドが崩壊したのだ。

 シールドは目に見えるものではない。

 破壊された音もするはずがない。


 だけど、魔王は確かに聞いたのだ。

 破滅の音を


 魔王はその全魔力を使って防御壁を張り、飛び出してこようとするエネルギーを閉じ込めた。


 当時、最大の魔力を保有していたのは魔王ルビーアイだろう。

 魔力保有量だけならあの超魔王すら凌駕するほどだ。

 悠久の時の中でエネルギーを魔力に変換し続けているのは伊達ではない。


 だが、問題は出力だった。


 膨大な魔力は持っているが使える魔法は大魔王には及ばない。

 そう、この事故のエネルギー量は既にルビーアイが抑えられるレベルを超えていたのだ。


 だが、諦める訳にはいかない。

 既に爆発的なエネルギーはこの国を消滅させるくらいに膨れ上がっている。


 そして、魔王の張った防御壁は徐々に後退していった。

 そのエネルギーの渦は炉を飲み込み、それを糧にして膨れ上がっていく。


 対消滅は加速度的に進んでいく。

 既に投入された反物質は使いつくされているはずなのにその反応は収束されない。


 最悪の想像が頭を過った。


 憶測でしかないがエネルギーが反物質に変換されていたのだろう。

 そして、どういう条件なのかわからないが反物質の生成速度が物質の生成速度を上回っている。

 対消滅でエネルギーとなりそのエネルギーが反物質に戻る。

 そして、反物質は炉にある物質と反応しエネルギーへと変わる。

 そして、エネルギーはまた反物質へと変化していくのだ。


 反物質の生成速度が物質の生成速度を上回っている内はエネルギーが増大し続ける。


 もしかすると、爆発を抑えるために防御壁を張ったのは失敗だったかもしれない。

 あのまま爆発させていれば反物質は全て消費されこのような膨大なエネルギーを生んでいなかったかもしれない。


 そんな後悔が頭に浮かぶ。

 だが、直ぐに首を振って否定した。


 あの時、既に爆発のエネルギーはこの国を飲みこむレベルだった。

 抑え込むしかなかったのだ。

 そう思い直し防御壁の維持に努める。


 だが


 ルビーアイは額から汗を拭きだしていた。

 その汗が目に入って染みるがそれを拭く余裕すらない。

 過剰な魔法の連続使用で頭痛が酷い。

 指の毛細血管が破裂したのか血がにじんでいる。

 いや手の指だけではない全身にその兆候が見られている。


 もう限界だ。


 五分、いや、三分持たないかもしれない。


 ルビーアイはそれでも防御壁を張り続けた。

 もう逃げるタイミングは完全に逸していたのだ。


「ここまでよく持ち堪えられたな」


 ルビーアイの自戒の呟きが漏れる。

 そして、防御壁が――


「待たせたな!」


「遅い!」


 防御壁の崩壊が止まった。

 忌々しい相手だが、この時ほど心強く思ったことはない。


 彼の背後には緑色の巨体を持ったドラゴンが鎮座していた。

本当に申し訳ありませんでした。

折角の再開もしばらくは魔王の回想が続きます。

主役の貴也は当分出てきません。


今後も不定期になるかもしれませんが出来るだけ週一ペースは守っていきたいと思っています。

どうか見捨てないでください。m(__)m

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