第百八十一話 計画が振り出しに戻って無双できない
遅れまして申し訳ございません。
体調がなかなか戻らず仕事も忙しい為、不定期になる恐れもありますが、出来るだけ月曜日に更新していくつもりです。
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「エネルギーキューブを作ったのは我だからだ」
衝撃発言に貴也は言葉を失った。
しばらく、呆然としていたが我に返った貴也が魔王に問いただす。
「それはどういうことですか?」
「言葉通りだ。エネルギーキューブは我が発明し、製造、販売している」
「そんな世界中にあるエネルギーキューブを全部。あなたが?」
「そうだ。あれは我にしか作ることが出来んからな」
「それはどういうことですか?」
貴也が尋ねると、魔王は思案するように表情を伺ってくる。
そして、一つ頷くと語りだした。
「エネルギーキューブの原料は我の分体。つまり、そこにいるスラリンの同胞達だ。我が眷属にはエネルギーを魔力に変える習性がある。通常はその魔力を大気中に放出するのだが、ある程度身体にため込むことも可能だ。そして、もう一つ。蓄えた魔力をエネルギーに戻すこともできる」
「そんな! エネルギーキューブがスライムだったなんて!」
優紀やアスカは驚愕していた。
テンペストの話を聞いて、もしかしてと考えていた貴也でさえ驚きを隠せなかった。
そんな貴也達の反応を楽しそうに魔王は見ている。
そして
「で、どうする?」
挑発するような魔王の言葉に貴也は
「協力してもらえませんか? エネルギーキューブ……いや、スライムたちを利用できればこの世界から魔物を駆逐することが出来る。もっと平和な世界を作ることが出来るはずです」
「平和……それは誰に取っての平和かね?」
「それは――」
貴也はハッと息を飲む。
貴也が気付いたことに魔王は満足したようだ。
「我は神の眷属を自負している。だから、我はこの世界に住むすべての者を等しく愛しているのだ。人も魔物もな」
予想した通りの答えに貴也は呻く。
だが、ここで引き下がってはいられない。
「ですが、魔物の脅威に人は晒されています。弱い人を助けようとは思いませんか?」
「だからだ。いままで十分に手を貸してきたつもりだ。人は十分強くなった。魔物に蹂躙され、人が絶えるようなことはもう起こらないだろう。それよりも」
そう言って魔王は黙り込む。
貴也はジッと彼を見ていた。
そして、彼は重い口を開く。
「人はこの世界を滅ぼしかねない。我はそれを一度見ているからな」
「もしかして」
「そうじゃ、お前がこの世界に来る原因を作ったあの忌まわしい事故じゃ」
絞り出すような声の中に凄まじい怒りが混じっているのを貴也は感じていた。
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