第百七十八話 武器への転用方法を考えてみるが無双できない
「オレは可能性についていってるだけだ。だから、試しに実験してみて確かめる。そして、あのプレートは確かに魔力を生み出したんだ」
貴也の話に優紀は目を輝かせていた。
「それでそれが武器になるの」
「そんな簡単な話の訳ないだろ?」
「なあんだ」
貴也の言葉に露骨にがっかりして見せる優紀に頭が来たので蹴飛ばしておいた。
それでも収まりのつかない貴也は。
「まあ、直ぐに利用できる方法はあるがな。魔剣にあのプレートを付けてあのプレートを熱すればいい」
「すごいじゃん。それなら魔力がない人でも魔物と戦えるね」
「まあな。でも、大きさも重量もかなりの物になるから身体強化の使えない人には扱えないだろうな」
「ダメじゃん。身体強化使えるなら自分で武器に魔力を込めることくらいできるでしょ。そっちの方が簡単じゃない」
「まあ、その通りなんだがね」
貴也が認めると優紀が
「もう貴也はすぐに小難しいことを考えて偉そうにするんだから」
「あのなあ。これは今できる現実的なことを言ってるだけで他にも方法はいくらでもある」
「例えば? 本当にあるの?」
こちらを挑発するような目で見てくる。
今回はやけに突っかかってくるなあと思いながらも優紀なんかに言い負かされてばかりはいられない。
「簡単に思いつくのはプレートを弾丸に加工して銃で打ち出す。打ち出される時に発する火薬の熱で銃弾は魔力を生み出す。また、敵にあたるまでの間に空気との摩擦でさらに熱せられる。それでも魔力が足りなければ銃の中にある内に温めておけばいい」
「え?」
「あと人間が使用するから取り回しが難しいだけで自動車の先端にさっき言った武器を取り付けて突貫すればいい。車で跳ねても魔物には効果はないが剣に当たれば車の質量と加速度が加味されて大ダメージだ」
「え? え?」
「それなら先端につけるのは魔剣じゃなくてもいいな。盾に魔力を込めることは出来るのだから一枚の板をフロントに取り付けてそこにあのプレートを取り付ければ自動車で特大のシールドバッシュが出来ないか?」
「た、貴也? 分かった。分かったから。どう、どう、どう」
おっといけないどうやら考えている間に思考が暴走しかけていたようだ。
そんな貴也のことをアスカと優紀は怯えながら見ている。
そして、魔王は
「やはり君はこの世界の為に殺して置いた方が良いのかもしれないなあ」
なんだか、とても不吉なことを言っている。
ねえ、冗談ですよね。