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第百七十七話 初代公爵の決断を聞くが無双できない

「そこまで気付いていたのか?」


「いいえ、いまのは鎌をかけただけです。話の流れから元々は魔王様の物じゃないかと思っただけですよ」


「そうか、これは一本取られたな。ただ、あれは我とタイタニウム公二人で作り上げたものだがな。あははははは」


 そう言って笑い出す、魔王。

 ひとしきり魔王が笑うのを待って貴也は話を続ける。


「ということは初代はわたしと同じ志を持って諦めたということですか」


「そうだ。あれはあの時代には早すぎる技術だった。当時は世界情勢が今ほど安定していなかったからな。魔力のない者も気軽に魔物を討伐できるようになったら混乱はよりひどいものになっただろう」


「そうですか」


 貴也はそう言って考える。

 だが、それを優紀が邪魔してきた。


「ねえ、結局、あのプレートは何に使うものなの」


 優紀は頬を膨らませて怒っている。

 そう言えば話が逸れてしまっていた。

 貴也は頭を掻きながら話し出す。


「あれの使い道は本来逆にあるんだ」


「逆?」


「そう。あれは魔力を流して熱を発する物じゃなくて元々は熱を集めて魔力を生み出すものなんだ」


 貴也の話にアスカと優紀は驚いていた。


「そんなことが出来るの!」


「できるんだよ。この件はまだオレとバルトしか知らないがな」


「あんな鉄板がそんなとんでもない物だったなんて」


「まあな。普通の人はあのプレートを魔剣なんかと同じような物と思ってたんだろうな」


「違うの?」


 優紀が首を傾げている。


「詳しく話してもお前には理解できないだろうから簡単に説明するぞ」


 そう前置きして貴也は魔剣のメカニズムについて話し始めた。


「魔剣というのは魔力回路を組み込んだ武具なんだ。回路に魔力を流し込むと決められた魔法が発動する」


「それって通常の魔導具も同じですよね」


「そういう事。だが、あのプレートには魔力回路が刻まれてなかった」


「そう言えばあの鉄板。何の模様もなかったわね」


「でも外観では見えないように魔力回路を仕込むことも可能なんじゃないですか?」


 アスカのもっともな質問に貴也は満足げに頷く。


「確かに可能だ。だが、どうしても隠せないものがある」


「それは?」


「魔力の波動だ。探知に優れたものは魔力を感知できる。さらにその能力を突き詰めると魔法が発動するときに発せられる波動を感じることが出来る。これは体内で魔力が物理現象に変換するときに起こるものと言われており――」


「貴也、話が長いし、難しい」

 

 そうだった。こいつは優紀だった。

 貴也は苦笑しながら


「まあ。つまりは魔法をかけるのと一緒で魔導具に魔力を流せば同じように波動が漏れる訳だ」


「ああ、それなら感じたことがある。もう素直にそう言えばいいのに」


 こいつ……


 貴也はムカついたので頭をひとつ小突いておいた。

 頭を抱える優紀を横目に貴也は大きな溜め息を吐く。

 そして、話を戻すことにした。


「ここで問題が一つ。あのプレートに魔力を流した時に波動が全く発生しなかったんだ」


「そんな事あり得るんですか?」


「あるんだからしょうがないだろ?」


 アスカの疑問に貴也は肩を竦めて答える。

 それをバカにされたと思ったのかアスカがムッとしていた。

 貴也はそれをたしなめる様に


「別にアスカをからかっている訳じゃない。実験結果を言っただけだ。はっきり言ってオレ達にもあれがどういう物かわかっていない。ただ言えるのは魔力を流すと熱を発する。ただ、どのような魔法も使われた形跡が無いということだ」


「だから、あのプレート自体が魔力を熱に変える性質があるんじゃないかと考えたわけ?」


「優紀の癖に勘が良いな、その通りだ」


 優紀は「癖は余計よ!」と怒っていたが褒められて嬉しかったのかホクホク顔だ。

 それに対してアスカが


「でも、それが熱を加えれば魔力が流れることにはならないんじゃない」


「うん、そうだよ」


 あっけらかんと認める、貴也を目を点にしてアスカが見ている。

 そんなアスカの反応を楽しみながら


「オレは可能性についていってるだけだ。だから、試しに実験してみて確かめる。そして、あのプレートは確かに魔力を生み出したんだ」

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