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第百六十五話 パルムに戻ってきたが無双できない


「オレは帰ってきたぞ」


 パルムの門の前で両手を突き上げて叫ぶ、貴也。


 いま、アスカと優紀は先にギルドに挨拶に行っていていない。

 だから、こんなことをやってみた。

 二人がいたらとてもできなかったが、なんか旅の開放感で羽目を外すみたいな感じだろう。


 だが


「貴也? こんなところでなに叫んでるだか?」


 そこには小首を傾げているカインが立っていた。

 何でこいつはこのタイミングで出てくるかなぁ、と思いつつも貴也はそんなことをおくびにも出さない。

 彼は何事もなかったように振り返ると鷹揚に応える。


「やあ、そこにいるのはカインじゃないか。懐かしい」


 そういいながらハグをしようとするがさっと身体ごとかわされた。


「照れ隠しのつもりかしゎんねぇけど慣れんことはしんほうがいいべよ」


 見下しような視線でそう言われて貴也はイラッと来たが、ここはグッと堪える。

 カインなんか侮らえては沽券にかかわるのだ。

 だから


「なんだと! カインがツッコミを。貴様さてはカインの偽物だな」


「なして!」


 カインが目を見開いて驚いている。

 うん。これがいつものカインだ。


 カインに突っ込まれた時はどうしようかと思ったが、畳みかける様にボケて主導権を奪ってやった。

 これで良し、と謎の満足感を抱きながら貴也は拳を握っていた。


 閑話休題


「それにしてもカインがどうしてこんな時間に? いつもなら畑にいる時間じゃないのか?」


「え? いきなり世間話に戻るだか!」


 困惑しているカインを横目にしながら貴也は村の中に入って行く。

 カインは慌てて貴也についてきた。

 カインに対してはどこまでも自由な貴也である。


「今日、収穫した野菜をルイズに届けに行くんだ」


 しばらく歩いて貴也の隣に並んだカインが答えてくれる。

 どこまでも律儀な男である。

 そして、その返答を聞いた貴也は少し頭をひねっていた。


 いまの時間は10時過ぎくらい。

 昼食の仕込みには少し遅いだろう。


 そうなるとディナー用かな? 


 既に忘れた方がいるかもしれないがルイズは貴也が以前、働いていたレストランのオナー兼シェフだ。

 彼女は公爵家の料理長の娘で本人もかなり優秀な料理人である。

 そして、この店はこんな辺鄙な村にあるとは思えない超高級店だ。

 だから、ディナーは結構高価なのである。

 だから、夜の部のお客は滅多にいないはずなのだが……


「なんだ。今日はお偉いさんでも来てるのか? それだと隣の宿屋に泊まろうと思ってたけど止めた方が良いかなあ」


 ビジネスで偉い人との関りが多かったため、別に対応に困るわけではない。

 しかし、出来れば偉い人には関わりたくないのが本音だ。

 だって疲れるんだもん。


 と言う訳で今夜の宿について悩みながらチラチラとカインの方を見ていると、彼が大きな溜め息を吐いていた。


「泊めて欲しんなら、泊めて欲しいって素直に言ったらいいだっぺ」


「流石、カインだ」


 満足そうに頷きながらカインの肩をバシンバシンと強めに叩く貴也。

 そんな貴也に苦笑いを向けるカインだった。

いつもお読みいただきありがとうございます。

今回は懐かしのメンバーの登場です。

というか、ルイズやマリアさんのことすっかり忘れていた(;^_^A

話はまだまだ続きますのでこれからもよろしくお願いします。

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