第百六十話 魔王からの手紙を読んでみるが無双できない
第五章突入です。
いよいよこのぐうたら作品も佳境に迫ってまいりました。
ここからは怒涛の勢いで物語が進展していくはず!
本当か?
「魔王ルビーアイ……」
予想外の大物からの手紙に貴也は呆然していた。
はっきり言って魔王に目をつけられるようなことをした覚えはない。
ってあるか。えっと、あいつ。
スゲエ残念な奴だったけど――
名前忘れた。
って覚えてるよ。
トパーズホーン。
でも、貴也が関わったことのある魔王は本当にあいつだけだ。
それにルビーアイとトパーズホーンに交流があるなんて聞いたことがない。
もし、交流があったにしても今更、文句を言ってくるだろうか?
もしかしてただの執事が残念な奴だといっても自分と同じ魔王を倒したことに憤慨してるとか?
いやいやそれこそルビーアイの為人とは異なる。
まあ、貴也の知識なんて噂話ほどでしかないのだが……
そうだ。
ルビーアイのことトパーズホーンに聞いてみたらいいんじゃないか?
えっと、トパーズホーンの連絡先は……
あれ? 無いじゃん。
そうだった。愛称で登録してたんだ。
あの時はその名前で揶揄って遊んでたから
えっと何だっけ?
マリ? サリー?
ああ、思い出せん!
そうだ。優紀に聞けばいいじゃん。
なんて現実逃避気味に場違いなことを考えていたがそんな貴也をエドが引き戻した。
「貴也さん。いい加減、書状の中身を確認していただけませんか?」
どうやらエドは貴也の混乱より書状の中身が気になるようだ。
まあ、それはそうだろう。
魔王ルビーアイの城はタイタニウム領内にある。
まあ、城の周りは魔王の独立領になっているので正確には領内ではないのだが、取り囲んでいることに違いない。
そして、相手は最古の魔王である。
もし機嫌を損ねて攻撃でもされた日には……
まあ、ルビーアイは魔王の中でも穏健で知られているし、歴代の公爵と良好な関係を築いている。
貴也が多少やらかしたとしても大事にはならないだろう。
って言うか、やらかしてねえし。
大丈夫だよね?
日頃の行いに自信のない貴也だった。
そう言う訳で震える手で貴也は書状の封を切る。
そして、中身を見てしばし黙考。
書状をエドに渡した。
「これは招待状ですか?」
エドの言葉に貴也は頷いた。
そこに入っていたのは一枚の紙。
内容は貴也を魔王城に招待するということだけだった。
一体どうして呼ばれたんだろう。
こういう時は呼ぶ経緯とか目的とかも書いてくれる物じゃないんですか?
混乱しながら涙目でエドの顔を見る。
「これ断ってもいいですかね」
「そんな訳ないでしょう」
エドのツッコミが思うのほか速くて貴也は苦笑していた。
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