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第百五十四話 テンペストの想いを聞くが無双できない



「怒鳴って悪かった。そうだな。お前もそう思うか」


 その声には全く力がなかった。

 信じたくないと思ってはいるが、神の眷属とってもこの期間は長かったのだろう。

 彼も否定しきれないのだ。


 貴也はなんと労えばいいのかわからなかった。

 というか貴也の言葉など彼にとっては何の慰めにもならないだろう。


 そう思って気持ちを切り替える。

 ここはドライに情報収集だけに努めよう。


「何か心当たりでも?」


「……」


 貴也の問いに重い沈黙が流れる。

 そして、テンペストは一度、目を瞑り、天を仰いでから話を続けた。


「やはり、同胞に生命を奪われたのが堪えたのではないだろうか。同じ破壊神様から分かたれた者達。諍いはあっても信のおける家族なんだ。そのような者達に殺されれば、しかも、こぞって狙われたら。その心痛はあまりある。あの方は本当に優しい方だったから」


 遠い目をして何かを思い出すようにしている、テンペスト。

 そこには深い愛情が籠っていた。

 きっと主の過去の姿でも思い浮かべているのだろう。


 貴也は人間味のあるテンペストの態度を意外に思いながらも……


 意外?


 なんで意外なんて思ったんだろうか?

 そうだ。こいつらは神であり、人のようだが全く別の存在。

 その精神性が全く異なっているのは色々な伝説や短いとは言えテンペストとの会話で十分実感していたこと。


 確かにテンペストには人間味を感じる部分はあった。

 だが、それはこの世界に長い間いたことで生まれたものかもしれない。


 白という存在は神が神としてこの世界に顕現していた時代の存在だ。

 きっと龍たちよりずっと神に近い精神性をしているのだろう。


 そんな神が自分の境遇に嘆き、復活するのを拒むだろうか。

 そんな時だった。

 テンペストが縋るような思いをこぼすように語りだす。


「だけど、わたしは信じている。あの方はわたしを――いや、この世界を見捨てられない。きっといつかは再臨されてこの世界を導いてくださるだろう。それにな。たまに白様の暖かい力を感じられる時があるんだ。同胞達は懐かしむ思いが見せる幻覚だというのだが、我にはそうとは思えないんだ」


 そんな彼は凄く優しい目をしていた。

 貴也はそんな彼に複雑な感情を覚える。

 同情、羨望、憐憫……。


 そんな時だった。

 貴也の頭にある考えが浮かんだ。


「もしかして……」


「なんだ?」


 貴也は何かを呟こうとして止めた。

 それに気付いてテンペストが声を上げるが貴也は首を振る。


「いやなんでもない」


 貴也は自分の思い付きを「あり得ないな」と首を振って否定した。


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