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第百四十四話 アスカを治療しようとするが無双できない


「これで落ち着いて治療を始められるな」


 貴也は亜種のことを頭から除外してアスカの元に戻った。

 アスカは荒い息遣いで苦しそうに呻いている。

 見ているだけでその苦しさが伝わってきた。


 貴也はデッドリ―ポイズンスパイダーの毒の特徴を思い出していた。

 この蜘蛛の魔物はそれぞれの足に違う種類の毒を持っている。

 それはクイーンやナイト種も一緒だ。

 タダ、上位種は爪でも複数の毒を使いこなすことが出来る。

 それに複合的に使うこともできるのだ。


 それでその毒だが。


 一番前の右足

 身体を麻痺させ動きを制限する毒。

 筋弛緩系の毒で死には至らない。

 ただし、その毒は強力で、一滴でも振れればたちまち全身が痺れて力を入れられなくなり、身動きが取れなくなる。

 デッドリ―ポイズンスパイダーが、まず使うのがこの毒だ。


 一番前の左足

 その毒に触れると神経系に異常を発生する。

 麻痺毒に似ているが麻痺毒が筋肉に作用するのに対してこの毒は神経系に作用する。

 神経の伝達を阻害する働きがあり、毒を受けた場所は動かせないどころか痛みなども感じ無くなる。

 初期症状で目のカスミ、味覚や嗅覚が鈍くなる。

 全身に回ると五感どころか脳の活動すら停止させる。

 ただ、そうなる前に心臓や肺などの主要機関が停止し死に至る。


 二番目の右足 

 血管に作用する毒でこの毒を受けると血管が脆くなり身体中から出血する。

 はじめは皮膚近くの毛細血管が破裂し、血がにじんでくる程度だが、時間が経過すると太い血管なども破裂し身体中から血を流して死に至る。

 

 二番目の左足

 出血毒。

 毒を受けると直ぐに血が固まらなくなり止血することが出来なくなる。

 つまり、この毒を喰らうと掠り傷が致命傷となるのだ。

 また、長時間放置すると皮下の毛細血管から血があふれ出し、止血できないので血の流れが酷くなって死に至る。 

 二番目の右足の毒と同時に食らうとあっという間に死に至る。

  


 三番目の右足

 この毒を喰らうと高熱を発し死亡する。


 三番目の左足

 魔法毒。

 この毒を喰らうと徐々に魔力が減少していき、魔力枯渇で昏睡。

 最終的には死に至る。


 一番後ろの右足。

 デッドリーポイズンスパイダーの毒では珍しく遅行性の毒。

 肺に作用する毒でその症状はまず、毒を受けたところが痺れてくる。

 そして、徐々に肺の活動が低下。

 息苦しくなり最後には肺の機能が停止して死に至る。


 一番後ろの左足

 超即効性の毒で触れると数秒で心臓が止まる。

 毒が効果を現したらもう手遅れである。

 ただし、事前に予防をしておくと効果がある。

 ピンポイントな毒の為、比較的、魔法での防備が有効。

 あと、一般的な神経系の解毒薬を服用しておくと効果を遅らせることが出来る。

 あらかじめ薬を飲んで置いて毒の効果を送らせ、解毒魔法で回復させるのが一般的な対策。


 という八つだ。

 それぞれ特徴の違った毒で対処もすべて違う。


 それで今回のアスカの症状だが


「アスカ。目がかすんだりしてないか?」


「少し」


 呻くようにアスカが応える。

 それを聞きながら貴也は彼女の腕を触る。


 普通なら何らかの反応がありそうだが、ほとんど反応がない。

 時折、彼女の意思とは関係なく痙攣している。


 まずは麻痺だな。

 神経系の方は間違いないけど、筋肉の方も異常が出ているだろう。


 貴也は彼女の身体を観察する。

 すぐに目につくのは……


 皮膚からの出血。

 ケガを負っていないのに血が滲み始めている。

 これは二番目の足の効果だろう。


 タダ、これが血管が破裂しているからか、血が止まらなくて毛細血管から噴き出しているのかはわからない。

 両方の効果なら絶望的だ。


 貴也は彼女の身体に触れる。

 やはりスゴイ熱だ。

 氷で冷やしているが効果があるようには見えない。

 気休めくらいだろう。


 これもデッドリ―ポイズンスパイダーの毒の症状に一致する。

 息苦しそうに喘いでいる姿をみるともしかして肺をやられているのかもしれない。


 あと、魔力だ。

 彼女は魔力枯渇を起こしかけている。

 彼女に聞いてみると魔法の類は使っていないらしい。

 そう考えるとこれも毒の症状に一致する。


 ラストが心臓だが、これは症状が出始めていないことを祈るしかない。


 貴也は優紀からもらった解毒薬をアスカに与えた。

 これが毒なら症状が改善するはずだ。

 貴也は祈るような気持ちで何種類かのポーションを飲ませる。


 だが、この行為が無駄だと貴也は心のどこかで確信していた。


いつもお読みいただきありがとうございます。

これからもよろしくお願いします。

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