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第百三十二話 頼もしい助っ人が登場するが無双できない


「本当に無茶するわね」


 流石の優紀も呆れていた。


「でも仕方ないだろう。オレがナイト種を倒すにはあの方法しかなかったんだから」


「別に倒す必要なんてなかったのよ。ある程度、戦えるところを見たら、わたしが倒すつもりだったんだもん」


「って、そういうことは早く言えよ」


 貴也は顔を顰めながら傷だらけの腕を持ち上げる。


「うわああ。痛そう」


 眉をしかめる、優紀。

 そんな彼女を睨みつけながら声を上げる。


「そう言うのは良いから早く治療してくれよ」


「これ、傷口を洗わないと」


 そう言いながら優紀が水魔法を唱えようとしたところだった。

 傷口のところに水が流れて汚れが洗い落とされる。


「「誰だ!」」


 二人が周囲を見渡す。

 すると


「えっ? スラリン?」


 貴也の背負っているカバンから当然のようにスラリンが現れた。

 そして、ピョコピョコ跳ねている。

 この跳ね方は機嫌が悪い時のものだ。


 だが、そんなことはどうでも良い。

 貴也は怒りながら


「お前どこに行ってたんだよ! いるなら早く出て来いよ」


「キュキュ?」


 いきなりの逆切れにスラリンが頭にハテナマークを浮かべていた。

 絶賛混乱中である。


 ふふふ、流石に単細胞生物。

 こちらが予想外の反応を示せば対応できないのだ。


 多分、スラリンはまた置いていかれたことに怒っているのだろう。

 現に貴也はナイト種との戦闘が始まるまでスラリンのことなどすっかり忘れていた。


 しかし、それをバカ正直に話す貴也ではない。

 ここはお前がカバンにこっそり忍び込んでいるのはわかっていたんだ。

 そして、貴也がピンチの時に颯爽と現れてくれると信じていた。


 というストーリーを頭の中で立てる。


 うん。責められるはずなのにいつの間にかこちらが責めている。

 なかなかいい戦法だ。


 だが


「何言ってるのよ。あんた、スラリンがいるなんてちっともわかってなかったじゃない。スラリンのことを知ってたら真っ先に応援を頼んでたでしょ」


「くっ、優紀の癖に」


 優紀に作戦がバレて軽く額に汗を掻く、貴也。

 そこで自分が騙されていたことに気付いたのかスラリンがピョコピョコと跳ねている。


 うん、ここ跳ね方は怒りのボルテージが上がっている時だ。

 ここは


「ごめんなさい」


 素直に土下座する貴也だった。


 頭の上でピョコピョコ跳ねる、スラリン。

 どうやら機嫌は直ったようだ。


 スライムの跳ね方でその感情を判断する貴也にはスライム検定一級くらいくれてもいいと思う。

 まあ、そんな資格ないのだが……



「まあ、そんなことは置いておいて」


 貴也は素早く気持ちを切り上げて立ち上がる。

 頭の上でピョコピョコ跳ねるスラリンは気にしない。


「スラリンがいるならナイト種との戦い方も違ったのに」


「え? そのスライムがいたからってどうにかなるの?」


「お前、スラリンの実力を舐めてないか? こいつならナイト種くらい一人でも――」


 そうだ。

 スラリンなら数にもよるがナイト種くらい倒せるんじゃないだろうか? 

 身体能力は魔法を使う貴也より上だし、なぜか魔力容量も高い。

 魔法も難なく使いこなすし……


 あれ? スラリンってもしかしてB級、下手するとA級魔物なんじゃないのか?

 疑問が浮かんだが頭を振って忘れることにする。


「スラリン一人でも何とかなりそうだけど。こいつが毒にどれだけ耐性があるかわからないからなあ。やっぱり二人で戦うことにするよ。一度実戦で試してみたいところだけど」


 貴也は前の扉から感じる気配に息を飲む。


「どうやら、そんな悠長なことを言ってられないようだな」


「そうね。クイーンなら玉座でデーンと構えてればいいのに」


 貴也達の視線はナイト種の糸と瓦礫によって封じられた出口に向いていた。

 そして、出口を封じていた瓦礫が弾けるように取り除かれた。


いつもお読みいただきありがとうございます。

これからもよろしくお願いします。

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