第百二十八話 デッドリ―ポイズンスパイダーに噛まれて無双できない
10万PV記念投稿です。
これからも宜しくお願いします。
「ああ、もう面倒くさいなあ」
貴也は剣を持って蜘蛛に斬りかかっていた。
さっきから引っ切り無しに襲ってくる。
大きさはバスケットボール大のものから体長一メートルを超える大型のものまで。
木の上からや地を走ってなどいろいろなところから跳びかかってくる。
通常種のデッドリーポイズンスパイダーは知能が低いのか攻撃手段が単調なので貴也でも対処できた。
クロードに指導されて気配探知の訓練を受けていたのが功を奏している。
飛び出してくるのがわかれば力も防御力も高くない蜘蛛は容易に倒せる。
跳んでくる軌道上に剣を出すだけで倒れていくのだから楽なものだ。
あの地獄の特訓も無駄じゃなかったんだなあ、なんてことを考えて身体を震わせる。
思い出しただけで気絶しそうだ。
そんな時だった。
「貴也! 危ない」
完全に油断していた。
あまりにも簡単に倒せてしまうので作業のようになっていた。
だから、今までにない攻撃パターンに対応できなかった。
そう糸だ。
蜘蛛なら糸くらい吐くのが当たり前なのにそれに頭が回っていなかった。
ねばつく糸が足に巻き付き貴也を縫い留めた。
貴也は慌てて引きちぎろうと力を入れるが、糸は強靭でビクともしない。
それどころか動くたびにねばつく糸が絡みつき貴也の動きをさらに阻害する。
これはまずいと思ったときには遅かった。
目の前に蜘蛛の牙が
貴也はなんとか身体を逸らして躱そうとする。。
だが
「痛っ」
動きを制限された状態では躱しきれなかった。
左手に一筋のキズが走り、血が滴っている。
「貴也、大丈夫!」
一刀のもとに蜘蛛を切り捨てると優紀が駆け寄ってくる。
「ああ、少し痛むが大したことはない。悪いけど治癒魔法をお願いできるか」
真っ赤に染まる左手を見て優紀の顔が青く染まっていく。
「ダメ、先に解毒しないと。解毒せずに治癒魔法を使うと毒の周りが早くなるの」
「じゃあ、解毒してくれ」
「症状がわからないと解毒できないよ。もう爪なら足の場所から毒の種類がわかるのに、牙は全ての毒を生成できるから厄介なのよ。だから牙の攻撃だけは受けないでっていたのに」
そんなこと聞いてないよ、と思いながらも必死な優紀の姿を見ていたら反論できなかった。
「ねえ、なんか症状出てない。だるいとか、痺れるとか、息苦しいとか? 血は止まってるよね」
「症状? 特にないぞ」
「そんなわけないわよ。デッドリーポイズンスパイダーの毒は猛毒よ。麻痺毒なら一滴で象ですら動けなくなるんだから」
「マジか」
貴也が驚愕の事実に驚いていると優紀は傷口に唇を近づけていく。
「何するんだよ」
貴也は傷口に優紀の口がつく前に頭を掴んで引きはがす。
「もう! 毒を吸い出さないと危ないの!」
「そんな強い毒を吸いだしたりしたらお前が危ないだろうが」
「わたしは毒に強いから大丈夫よ。多分」
そう言って再度口をつけようとする優紀を払いのける。
「多分じゃダメだろうが。ったく。……って言うかオレなんかピンピンしてるんだけど?」
「ホントだ。おかしいわね。デッドリーポイズンスパイダーの毒って即効性のものばかりのはずなのに?」
「もしかして毒が効いてないんじゃないのか?」
「そんな訳ないわよ。そんなの免疫力Aぐらいじゃないと無理よ」
免疫力?
あれ? なんか聞いた覚えが……
「あっ、そうだった。オレ、免疫力がスゴイ高いって言われてたんだ。毒やら病気に滅多にかかることはないから心配するなって。確か免疫力Sだった。ケイオスドラゴンのカオティクブレスでも状態異常にならないかもって」
優紀がガクリと項垂れていた。
貴也はポリポリと頬を掻いて笑っていた。
いつもお読みいただきありがとうございます。
10万PV達成しました。
トップの人達は一日で稼ぐ量かも知れませんがわたしにとっては大記録です。
これも読んでくださる皆様のおかげです。
本当にありがとうございます。
これからも頑張りますので宜しくお願いします。
でも勢いで投稿してしまってまたストックが無くなってしまった。
書き溜めが無くなるタイミングでこういう節目がやってくるのはどうしてだろう?