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第百十話 あいつまでやって来たので無双できない

今日は夕方に更新出来そうにないので昼更新です。

申し訳ありません


 そんなひと騒動が落ち着いたころ念願のヘリが到着した。

 思ったより早い到着に貴也は空を見上げながらヘリの出迎えに向かっていると


「あれ? なんでドアが開いたんだ」


 着陸態勢に入ったヘリのドアが開きだした。

 貴也達の間に何かトラブルでも起きたのかと緊張が走る。


 そして、キラリと何かが光った。


「なんだ、あれ?」


 貴也がそう呟くと同時に何かが急速に近づいてくる。

 貴也は咄嗟に身体強化魔法をかけていき臨戦態勢に。


 暗くなって視界が悪く何が起こっているのかわからなかった。

 だが、魔法で加速した世界の中で貴也は何とかそれを捕らえた。

 貴也は素早く身を躱す。


 知覚加速に素早さUPの魔法をかけていたから何とか避けられたがそうでなければ直撃していたことだろう。

 それは風切り音をあとに残して地面に激突、小さな穴を残して消えた。


 一体、何が起こってるんだ。

 あれは公爵家のヘリで間違いない。いきなり味方に攻撃されるいわれなどないのだが……


 そんなことを考えていると急に後ろから殺気を感じた。


 貴也は自分の感覚を信じて横に飛ぶ。

 すると、さっきまで自分がいたところを何が凄いスピードで通過していった。

 そして、貴也はその姿をきっちりとらえていた。


「なっ、スラリン。貴様、なぜここに」


 そう攻撃してきたのはスラリンだった。

 スラリンは着地するとこちらに振り返り、ぽよぽよ跳ねている。

 どこにでもいるようななんの変哲もないスライム。

 癒し系のカワイイ動作なのだが、長い付き合いなので貴也にはわかる。

 あの跳ね方は怒っている時の跳ね方だ。


 あれ? なんで怒ってるの?


 そう思うが、怒ったスラリンを宥めるのは容易ではない。

 それを経験で知っている貴也は身体強化魔法を次々にかけていく。


 スラリンは既にDクラスの実力はあると騎士団長さんが言っていた。

 はっきり言ってスライムの実力ではない。


 バルトなどは本気でスラリンの解剖すら考えていた。

 ちなみにスラリンは特殊個体だったという結論で落ち着いている。

 あとはスライムは成長する前に死んでるだけで育てれば強くなる説なんかもあった。

 バルトは今、十数体のスライムを飼っているらしい。

 まあ、カワイイからいいのだが……閑話休題。


 話が逸れたがスラリンは強いのだ。

 油断や手加減など出来る相手ではない。

 そうはいってもスラリン相手に本気で攻撃など出来ない。

 だから、まずは説得を試みる。


「スラリン。落ち着け。なにを怒ってるんだ」


 突然始まった。スライムとのバトルに周囲は愕然としていた。


 そして、スラリンの形状が変わる。

 頭頂部が尖っていき、らせん状の溝が、そして、全身が金属のような光沢を持ってくる。

 あれは土魔法の応用なのだろうか?


 ちなみにスラリンの魔法の才能は破格だ。

 カインの農業を手伝っていたので水魔法と土魔法をすごい勢いで習得していた。

 最近では騎士団の連中が面白がって風魔法や火魔法も教えていたから、その辺も習得済みだろう。


 技術面では同等でも魔力容量が少ない貴也には魔法戦は不利なのだ。

 そんなことを考えながらも油断せずにスラリンを観察する、貴也。


「しかし、あの形状……もしかして」


 そして、その理由に思い至った。

 貴也はすぐに横っ飛びで回避する。

 スラリンは回転しながらこちらに突っ込んできた。


「やはりドリルか!」


 一撃目は何とかかわせた。

 だが、スラリンは地面に着地するとそのまま地面を掘り進めて姿を消す。


 貴也は目を閉じて気配を伺う。

 既に日が落ちてあたりは暗い。さらにスラリンは地面の中だ。

 見えない相手に逆に視覚は邪魔になる。


 そして


「そこだ!」


 貴也はバックステップ。

 右から迫る弾丸のようなスラリンを回避した。

 高速回転するスラリンと目が合った。躱されると思ってなかったのか驚愕の色が伺える。

 まあ全部、気のせいだけど。


 そして、今度はタダ躱すだけではなかった。

 貴也は魔力で手を覆い。回転するスラリンを触れるか触れないギリギリのところで掴む。


「受け流すは螺旋の動き」


 これもクロードに教えた貰った技の一つだ。

 スラリンの進行方向をずらしながら、身体を軸にして回る。

 そして、スラリンの進行方向をさらに捩じるようにして地面に向ける。


「柔よく剛を制す。これでおしまいだ!」


 スラリンは地面に一直線。

 そして、残ったのは穴だけだった。


「しまった。地面に叩き付けてもドリルで穴を掘られるだけだった」


 全く詰めの甘い貴也だった。

 しかし、調子に乗った貴也はそんなことは気にしない。


「ふふふ。だが、貴様の動きはすでに見切った。お前など怖くない!」


 そう言い切る貴也に地面を潜って態勢を整えたスラリン。

 スラリンは貴也の正面に現れて再度、突貫してくる。


「正面からだと、スラリン。血迷ったか。その攻撃は効かんと言ったではないかああ!」


 もう、どこの悪役かと言わんばかりに叫ぶ、貴也。ノリノリである。

 そんな貴也に向かってスラリンが迫り、貴也は身体をずらして、先程の防御を再現しようとした。


 しかし、どさりと大きな音が響く。


 倒れたのは貴也だった。


「なに。その技は超電○スピンだと」


 それだけ言い残して貴也は気を失った。

 そんな貴也を見下ろしながらスラリンは『きゅきゅきゅ~~!』と勝鬨を上げる。


 スラリンは彼の身体の上でぽよぽよ跳ねる。


 そして


「うがががががっがが」


 時折、電撃を放っていた。

 今回の勝負はスラリンの完全勝利だった。


いつもお読みいただきありがとうございます。

最近出番のなかったスラリンの再登場です。

今作のメインヒロインはもしかして彼かも知れない。

もしかしてこれもツンデレ? BL展開? なのだろうか。

これからもよろしくお願いします。

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