第百話 龍玉について聞いてみるが無双できない
祝百話目、総合評価300P、ブックマーク百件!!
すげー! 本当にすげーー!
トリプル達成です。
読んでくれている皆さんに感謝です!!
とりあえず、これ以上、地震が起きないことがわかり対策室には安堵の空気が流れていた。あと、龍なんて規格外の存在との交渉が済んで気が緩んでいるのだろう。そんな中でも被害の報告は続々と上がってきている。
予想通りというか、なんというか被害はやはり沿岸地域に集中しているようだ。だが、それも一部の家屋が倒壊したとか、落下物に当たってケガをしたとかその程度だ。幸い、死人や重傷者は確認できていない。
「何とか無事に済みそうですね」
「そうですね。一番問題がありそうだったのは貴也さんの言動でしたし」
エドがジト目で睨んでくる。周囲の人間も同じような気持ちだったらしい。貴也はそんな空気を感じながらも敢えて気付かない振りをする。高度に空気を読む技能を持っている人間はあえて空気を読まないというスキルも持っている物だ。
と言う訳でわざとらしく話題を変える。
「そう言えば最後に言っていた『龍玉』って何ですか?」
エドは露骨に話を逸らそうとする貴也に呆れながらも説明してくれた。
「龍玉とは龍が持つ宝玉です。魂と言った方が良いかもしれません。龍が死ぬと肉体は消え、龍玉だけ残るそうです。それを身体に取り込んだものはその力を得ることが出来ると伝えられています」
「なんだか魔王の欠片に似てますね」
「そうですね。一部の研究者には同種のものだというものもいます」
「それはどういうことですか?」
あくまで言い伝えですよ、と前置きしてエドが説明してくれた。
「嘗て創成神様はこの世界を作り、その弟にこの世界の管理を任せたそうです。ですが、出来たばかりのこの世界はトラブルも多く、その神は一人で面倒を見ることに限界を感じていました。そこで、その神は一計を案じたのです」
そこで一区切り大きく息を吸って
「そう一人で見るのが難しいのなら分担すればいいではないかと。と言う訳で神は自らの身体を七つに分けたそうです」
「えっとバカなの?」
うん、一人で無理なら複数でやるというのは納得ができる。
だからって自分の身体を分けるか?
普通なら誰かに手伝ってもらうのでは?
もしかしてボッチ?
貴也が何を考えているのかわかったのかエドが呆れたような視線を向けてくる。
「不敬ですよ。その言い方は」
まあ、神に対して暴言になるだろう。だけど、普通に考えて異常である。そんなことを出来るのもスゴイが、まず、普通の人間なら思いつきもしないだろう。
その神が特殊だったのか
神とはそう言う思考をするものなのか
そんな不穏なことを考えている貴也をエドがたしなめる。
「こんなことを考える神はそのお方だけです。どうやら神の中でも特殊な方だったそうです」
エドはため息交じりにそう言っていた。
貴也は納得して先を促す。
「それでどうなったのですか?」
「最初は上手くいっていたそうです。元々神の力は強大過ぎて仕事に対して過剰な能力を持っていましたから。それは七分の一になっても同じです。つまり一気に労力が七倍になったわけです」
「愚策と思いましたが意外にいい策だったんですね」
「そうですね。ただ、良いことも七倍になれば悪いことも七倍になるわけですよ」
エドが重い息を吐く。
「その神様は何というか不器用な方でして、そもそも世界を管理するような細かい仕事には不向きだったんですよ。もう創世記は破壊と再生の連続だったそうです」
貴也は顔を覆っていた。なんだか落ちが想像できた。
「それでどうなったんです」
「七つに別れた神がそれぞれ上手くいかないのを他の者の所為だとケンカを始めましてね。一体が消滅。その他の六体も満身創痍だったそうです。結局、創成神様がこの世界が崩壊しそうになっているのに気付かれて争いを止めたそうです」
「それでその神様はどうなったんですか?」
「はい。罰としてトカゲの姿に魂を封じられました。それが龍です。龍玉はその神様の魂だと言われています」
なるほどね。確か魔王の欠片は邪神の魂を七つに分けて封じたものだったはずだ。龍玉も似たような物だったわけだ。ていうか、この件があったから邪神を倒して封じるときに七つに分けることを思いついたのかもしれない。
「となると龍玉を七つ集めれば神になれるんですか?」
「いえ、一つは自分同士とのケンカで消滅していますから七つ揃うことはありません」
「それは不幸中の幸いと言うべきことなんですかね」
「う~ん。どうなんでしょう。ただ言えることは一つでさえ魔王の欠片を越えるとんでもない物だと言っておきます」
「ちなみにその神様ってなんの神様なんですか?」
「破壊神だそうです」
ガクリと肩を落とした貴也。
創成神あなたはいくら弟だからと言ってなんて人、いや神に、この世界の管理を任せたのか。
一度適材適所という言葉を教えてやりたいというものだ。
そんな不穏なことを考えたのが神様に届いてしまったのか、室内に警報が鳴り響いた。
「報告します」
血相を変えて一人の職員がエドの前にやってくる。エドはすぐに表情を改め報告するよう促す。
「バルデス山脈の鉱山で崩落事故が発生。現在調査中ですが、多数、生き埋めになっているそうです」
場が騒然となった。
周囲の人間が慌ただしく動き出す。
「現地との直通ラインを引け。即時、情報の共有化を。鉱山管理部、土木管理部の部長及び技術系の責任者をここに集めよ。軍部は土系魔導士を招集、現地に直ぐに飛べるように手配。先行で誰か現地に――」
そう言って周囲を見渡す。
そして……
「貴也さん、行ってもらえますか?」
エドと目が合った。貴也は黙って頷いた。
一難去ってまた一難。
どうやら貴也が休ませてもらえる日は遠いようだった。
祝百話です。
短いようで長かった。百話ですよ。百話。
こんなに続くとは思ってなかった。当初の予定では70話くらいだったのになぜだろう?
それに総合評価300Pにブックマーク100件のおまけつきです。
やっほ~~!
それに記念すべき百話目です。
でも、百話目なのに説明回というか次の話へのつなぎ回というのはなんだろう。
まあ、この作品らしいと言えばらしいというべきでしょうか。
と言う訳で感謝というか記念というか明日も投稿します。
一週間くらい連続投稿したいのですが書き溜めがないので断言できません。
とりあえず明日は投稿します。
皆様これまで読んで頂きましてありがとうございました。
まだまだ続きますがこれからもよろしくお願いいたします。