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第九十五話 津波の対応に大わらわするが無双できない

祝5万PV記念投稿です


「津波です。海が震源なら津波が!」


 貴也の慌てふためきように周りのみんなが戸惑っている。

 それを代表してエドが問いかけた。


「津波というのは何ですか?」


 そうだった。

 この世界というかこの辺りには地震がなかったのだ。

 なら、貴也がこんなに焦って理由などわからないだろう。

 それは理解できるのだが、なんとももどかしい。

 もし津波が起きていたら一刻を争うのだ。


 そう思っても説明しないわけにはいかない。

 貴也は何とか急く気持ちを押さえつけて説明を始める。


「津波というのは海底の地形変動によって起こる波のことです。大きいのになるとその高さは何十メートルになるものもあるそうです。イメージしてください。城壁のような水の壁が海からこちらに迫ってくるんです。それに飲み込まれたら町など綺麗に流されてしまします」


「そんな水龍様のタイダルウエーブのようなことが自然現象で起こるというのか……」


 一人の呟きに皆の顔が蒼白になる。

 なるほど、この世界には神や魔王、龍までいる。

 それらが起こす天災や奇跡を目の当たりにしているからか想像力が豊かだ。

 言葉で説明しきれないと思っていたがすんなりと理解してもらえた。

 ちなみにタイダルウェーブというのは日本語で津波のはずだ。

 なんだか納得がいかない。


「それで対処方法は無いのか?」


「ありません。わたしの住んでいる地域ではとにかく逃げろと言っていました。あとは事前に防波堤を作って置くくらいですね。ただ、水というのはなかなかの重量物です。もろい壁を作っても簡単に打ち砕かれます」


 貴也の言葉に沈黙が訪れる。

 だが、そこに危機が迫っているのなら対策は練らなくてはならない。

 エドは顔を上げて指示を飛ばす。


「沿岸部に通達しろ。早急に高台に避難するように。海側からSS魔物が襲来したことにしてとにかく海岸線から離れさせろ」


「「「「はっ」」」」


 すぐに関係各所に通達が回る。

 この世界での魔物災害は日本の自然災害などより頻繁に起こる。

 住民の逃げる準備は万端なのだ。

 定点カメラの画像を見ると既に避難を始めている人がいる。


 地震発生から1時間は既に経過している。

 専門家でない貴也には到着時間の予測など出来ない。

 それどころか津波が本当に起こるかさえわからない。


 沈黙が非常に重かった。

 そんな中でもエドは対策を考え続けている。


「仕方がない。水龍にお願いしよう」


 エドの呟きに閣僚たちがどよめいた。

 そして、その中の一人がエドを止めに入る。


「ダメです! 津波については不確定情報です。まだ、起こるかどうかも分かりません。そうですね。貴也殿?」


 閣僚の一人が貴也に厳しい口調で確認する。

 貴也としては頷くことしか出来ない。

 それを見て彼はエドに詰め寄る。


「水龍様に頼るのは最後の手段です。公爵様の不在にそんなことをしてはいけません」


「黙れ。領民に被害が出るかもしれぬのだぞ」


 エドの激昂が飛ぶ。

 周囲が静寂に包まれた。


「それを承知で敢えて言わせてもらいます。水龍様との盟約は一度限り、初代公爵が勝ちえたものです。それは今使うものではありません」


 彼は一歩も引かない。

 領民を助ける手立てがあるのにそれを使わないのは彼にとっても苦渋の決断だ。

 だが、起こるかわからないことに最後の切り札は切れない。

 それは確実な災難を防ぐときに使うべきものだ。


 だが、エドにも引く気はないようだ。


「津波とやらは水の壁がやってくるのだろう。水を司る水龍様なら確実に防げる。いまは水龍様にお願いして被害を最小限にとどめる必要があるのだ。ええい、どけ! わたしが水龍様にお願いする」


 エドを押さえつける閣僚たち。

 それを取り巻きどうすればいいのかわからずに立ち尽くす人々。

 クロードは何も言わずに考えている。


 そんな中、貴也が


「その水龍様というのはどこにいるんですか?」


 そんなどうでも良い質問にみんなの視線が集まってきた。

 中には今はそんなどうでも良いことを話している場合じゃない黙ってろ、という強い視線も混じっている。

 そんな貴也の質問に答えてくれたのはクロードだった。


「ここから西にまっすぐ、海岸から10km程離れたところの海底に水龍様の城がある。そこに水龍様はいるはずだ」


「となるとここより震源に近い場所にいるわけですね」


 それがどうしたんだと睨むような視線が多数、貴也に突き刺さっていた。

 それが何とも煩わしく怖かったが、貴也は発言を止めない。


「お願いするか、しないかは別として水龍様に連絡はとれないんですか?」


「それは可能ですが? それがどうかしましたか?」


 毒気を抜かれて先程までの憤りがどこかに行ってしまったエドは首を傾げている。


「地震の安否確認という名目で状況を聞いてみたらいかがですか? 水龍様なら水の変化についてわたし達より詳しいだろうし、城周辺の海底に変化があるのなら把握しているはずです。もし津波が起きそうなら口先で誤魔化して津波を止めて貰うっていうのもありだと思うんですよ」


 全員が口を大きく開けて唖然としていた。


いつも読んで頂きましてありがとうございます。

めでたく5万PV達成です。

長かった。本当にいつ止めようか思うたびに少しずつPVやポイントが伸びてきて

もう少しあと少しと続けてきました。

ここまで続けてこれたのは読んでくださっている皆様のおかげです。

これからもよろしくお願いします。

御祝儀で評価やブックマークが頂けたら幸いです。

それにしても書き溜めがほとんどないのに記念投稿してしまって、ちょっと後悔している作者でした。

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