プロローグ
ネット小説初投稿です。
よろしければ読んでください。
誤字誤用修正 17/01/20
相場貴也の人生は波乱に満ちていた。
だからと言って災難や不幸にまみれた人生ではない。
どちらかというと幸福な人生といっていいだろう。
人によっては順風満帆、勝ち組、リア充などと呼ばれるだろうがどんな人も苦労しているものである。
人の人生、本人しかわからないことなどいくらでもあるのだ。
貴也は某有名自動車会社、工場勤務の父と専業主婦の母の元に生まれる。
兄一人、妹一人、隣家に同い年の幼馴染と幸せな幼少期を過ごした。
将来はサッカー選手になるんだと、毎日、泥だらけになりながら幼馴染と遊んですごしていた。
小学校に上がり、初めての挫折。
幼馴染の超人的な運動能力と10年に一人と言われるサッカーセンスを目の当たりにしてプロサッカー選手になる夢を諦める。
この頃から自分には運動神経が皆無なんだと誤解して一切のスポーツと関わりをもたなくなる。
ちなみに貴也の運動能力は平均以上。
努力を続ければプロは無理でも名門校でレギュラーを張れるくらいにはなれたのではないだろうか?
しかし、諦めというか切り替えの速い貴也は
「運動ができないなら勉強すればいいじゃない」
と言ってさっさと見切りをつけて勉強を始める。
天性の記憶力と要領の良さをいかんなく発揮し、学力はみるみる上昇していく。
中学時代
漫画やアニメ、ライトノベルに嵌まる。
厨二病を患いかけたのだが、隣に重度の厨二がいたため、その痛々しさを目の当たりにし、何とか黒歴史を作らなくて済んだ。
その痛々しい幼馴染。
サッカーだけは続けていたみたいで、女子にキャーキャー言われている。
「グレート サンダー トルネード シューーーーーーート!!」
「「「「「「「「「「キャ~~~~~~~~~!!!!!!」」」」」」」」」」
オタク、キモとか言ってる女の子がこれはないんじゃないかなあ。リア充死ね。モゲロ!
高校時代
幼馴染と決別するため、サッカー部のない超有名進学校に入学する。
奴はバカなのでこの学校の願書さえ出せないだろう。
別に嫌いじゃないよ。
どちらかといえば好きだけどいつも一緒は正直ウザい。
そろそろ独り立ちしてもいいんじゃないかな?
と思っての行動だ。
だが、奴はそんなに甘くなかった。
入学式の壇上、新入生総代の挨拶をしているのは奴だった。
なんでも、学校に直談判したらしい。
あれよあれよという内にサッカー部設立。
近隣の有望サッカー選手もこぞって集まってきて強豪校の出来上がりだ。
学校関係者曰く、そんなに金をかけないで宣伝効果が期待できる部活を創れるなんてラッキーとか……
もう、溜め息しか出なかった。
これから、また、あいつに振り回されるのかとガックリ来ていたのだが、少し事情が変わった。
奴がユース日本代表に選ばれてしまったのだ。
その後は合宿や遠征などで忙しく飛び回り、挙句、プロ契約が決まり、日本全国を駆け回っている。
それでも高校には在籍しているみたいで、たまに補習に現れては貴也に纏わりついてくる。
何か微妙な心境なのだが、たまのことなので優しくしてやろう。
別にデレてないからね!
大学時代
狙っていた大学の工学部に進学、上京する。
夢はガン○ムを創ること!
まあ、受験の息抜きで見たら嵌まっただけなんだけど
全シリーズ完全制覇したけど!
何日も徹夜して一気見したから、風邪ひいて受験前日まで寝込んだけど!
マジで危険だ。
危うくもう一年受験生をしなければいけないところだった。
息抜きはほどほどに。
そんな訳で優雅な一人暮らしがスタート!
えっ、幼馴染?
なんでも海外移籍が決まったらしい。
うん。凄いね。
でも、あんなの海外に出しちゃっていいの?
サッカーは凄いけど、他はまるでダメだよ。
日本人のイメージダウンになるよ?
そんなことを考えてたら、飛び込んできた。
誰が助けて、ドラ○もんだ。
また、厄介ごとを持ってきやがって。
同人仲間が脱税(本当はただの申告漏れ)で捕まったらしい。
友達の税理士と弁護士を紹介して解決したら、オタクに懐かれた。
そして、そいつの周りでは似たようなトラブルがいろいろあるらしい。
ああ、うぜえ。まとめてかかって来いやあ!!!
とかやってたら、税理士、弁護士コンビが悪乗りして集まったオタク連中と会社を設立。
何故か社長になっていた。
社会人時代
22歳の春を迎え、大学を何とか留年せずに卒業。
社長業と学業の両立はなかなかきつい。
今では時代の寵児とかIT界のカリスマとか呼ばれている。
「俺は何もやってないのだが……」
そして、晴れて卒業が決まった時、貴也は全社員を集めてこういった。
「俺はガ○ダムを創りに行く!」
その日に社長を辞任した。
某有名工作機械メーカーに入社が決まっていたのだ。
ふう、これで平穏な毎日が送れる。
というわけで○ンダムを創るために配属された部署はロボット開発事業部。
ここではなにをやってもいいと言われている。
逆を言うとやることは決まってない。
あれ? もしかして間違えた?
ここのトップは技巧の錬金術師と言われる職人。
ありとあらゆる機械を使いこなし、作れないものは新たな機械を創ってでも作り上げる凄腕。
ただ、自分の腕にしか興味なく。
下は育てない。
次の人のために図面は書かない。
同じものは作りたくない
というわがままっぷり。
しかも事務仕事は一切できない。
やらないじゃなくて出来ない。
もう何なのこの人。
こんな人がトップなので他の人も頭がおかしく、そして、天才ばかり……
えっと、転属願いってどこに出せばいいんですかね。
その5年後
「出来ちゃいましたね」
「そりゃできるだろう」
そびえ立つ全高15mのガンダ○。
人間努力すればなんでもできるものだ……
って、できるか!
なんだよ。これ! 夢じゃないのか?
天才集団は本当の天才集団だった。
あの手この手でやる気を掻き立て働かせた。
褒めて、宥めて、すかして、脅して、蹴って、殴って、首絞めて、刺して、吊るして、自己規制、自己規制。
そしたら、出来てしまった。
国内、海外問わず、何十社というメディアがそろってのお披露目。
世界初の搭乗型大型人型汎用ロボット。
走り、飛び、綾取りをする姿は世界の称賛を浴びた。
一年後、ダウングレードした市販機の量産の目途もついた。
3年後には世界各地で貴也たちが作ったロボットがみられるだろう。
と思ってたら、ロボット開発事業部が海外資本に売却された。
ニート期
会社を辞めた。29歳独身。
これからどうするか……。
特許関連の諸々を放棄させられ、退職金と合わせてかなり纏まったお金が手に入った。
以前、立ち上げた会社が上場したとき売った株の金と足せば一生遊んで暮らせるだろう。
悪い時は悪いことが重なるもので幼馴染が乗った飛行機が墜落事故を起こしたことを知った。
幼馴染の死体だけが見つかっていないらしい。
捜索も打ち切られ行方不明のままである。
もう、何をする気も起きなかった。
田舎に籠ってスローライフも良いなあ。
今時、ネットがあれば娯楽には困らないし、山奥にでも行かなければ通販でなんでも買えるだろう。
自給自足は無理だけど、一人暮らしが長かったから自炊はできる。
マジで引き籠りしようかなあ。
なんて考えていたら、大学時代に行きつけだった喫茶店のマスターに呼び出された。
無言で制服を渡され、なぜかウェイターをやっている。
その半年後、マスターが急死。享年105歳。
って歳初めて知った。
元気良すぎだろう。
寝てた時、心筋梗塞の発作が起こりそのまま亡くなったらしい。
死に顔は穏やかだったと聞いている。
今度こそ、田舎にいこう!
と思っていたらマスターの息子さんに騙された。
そして、なぜか息子さんの経営する高級フランス料理店でギャルソンの仕事をしている。
「大臣、今日のお食事はいかがでしたか?」
「ああ、ここはいつ来てもいいね。最近、いろいろあって気が滅入ってたんだよ。いい気分転換になった」
なんでも、彼の所管している省庁で巨額贈収賄が発覚、それが官僚のトップまで波及していた。
なんでも大臣とその官僚は折り合いが悪く、大臣側からのリークでこの問題が発覚したのではないかとまことしやかに囁かれている。
そんな渦中の人がこんなところにいていいのかな?
と思わなくもないが、顔には出さない。
愛想笑いを浮かべながら車までお見送り。
すると……
耳を劈くタイヤの空回りする音があたりに響いた。
黒い物体が猛スピードでこちらに迫ってくる。
「大臣!」
SPが飛び込んできた。
逃げなくちゃ。
貴也は思いっきり横っ飛び、
だが、そちらには大臣が!
大臣は恰幅のいい方でそれはそれは大きい方なのです。
大臣は貴也がぶつかった衝撃で転がり、反動で逆に飛ばされた貴也の視界は真っ白に染まった。
目の前には車のヘッドライト。
ああ、死んだなと目を瞑る貴也。
そして、彼は異世界へと転移するのである。
えっ、転移ってどういうこと! 死んだんじゃないの!
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