2話 俺の2歩目
前もって設定とか話やら考えるべきでした。考えながら書いてます
あああああああもう!どんだけ歩いても着かん!ショウシン遠い!あれから歩いて三時間は経とうとしている。時計がないから余計につらいよ。ショウシン小国まで地図でみるとあとちょっとのところだと思うんだけどさ。未だに地平線がみえたまま。なんのアクションもなくサビーヌを開けてから四時間!歩き続けてなにもなし!お小水では初めて見るガールズデリケートゾーンに興奮しすぎて白い布を大量に消費してしまったし、今じゃただの赤い布となっている。まぁ、減るもんじゃないが。裸を見たらどうなることやら。もし息子がいたとしたら姿勢良く起立しているところですよ。
「こりゃ、まいったな。でもまだ気力じゅうぶ、、、ん?」
目の前の草がカサカサ動いているのに気づいた。
心臓が高鳴る。ここにきて初めての未知。
「だ、誰かおられるのでしょうか?あのぉー?私ですね、正蔵っていいます。しゃべれますか?喋れる人であって欲しいのですが?」
まず言葉が通じるかどうかすらわからないが、話しかけることにした。カサカサカサカサ動いていた草がスッと動きを止めた。草の高さは俺の腰ほど。俺の身長が175にたいして草は約100ってところか。だとすると相手は立位であった場合、、、人ではない。子供だといいのだが、子供が1人でこんなところにいる可能性は低い。俺は緊張している。手に汗がすごい。つまり手汗をかいている。足汗もすごい。
「反応がないな、ということはそこに依然存在するんだな?よしよし、かかってこいよおら、情熱的にこいよぉ...」
一歩踏み出す。カサカサしない。もう一歩踏み出す。カサカサしない。カサカサ地点からこちらの距離は、約10歩。ん?まてよ。俺は今おなご。身長はいくつあるのだろうか。ステータスには記載がなかった。先ほど175と言ったが、もしかするともっと低いかもしれない。その場合この草はもっと低い。子供の可能性はほぼ0か。やばい。ちょーやばい。ここはファンタジーの世界、魔物ってこともありえる。武器は、、白い布か。こいつで締め上げるしかない。それより中高とやってきた柔道。いや、難しいだろう。ここまで身長さがあると投げるのは困難だ。ならば、うん。ならば、あれだ。そう、あれなら。やばい。なんもない。
思い切って走る!走って蹴り上げる。そうする。俺は今までどう生きてきた?ホットに生きてきただろ。だったら、大胆に攻めねばなるまい、そういうことも大事だってバイト先のコンビニの店長も言ってた。コンビニの店長は大胆な生き方とは言えないが。
「おらららららららあああああああ!!」
雄叫びをあげ走る!時間距離約2秒!
「あん、、、!」
引っ掛けた。足をくじいた。歩けばよかった。痛かないけど。なんだろ。イタイ。
「グルルゥ、、ガゥア、、」
やばいやばいなんか聞こえた、ガキの頃近所の犬に噛まれる寸前に聞いた唸りに良く似ているこれはやばい本能が「これヤバめっすね、逃げたほうがよくないっすか?」って言ってる。
だけど見たい!草以外の生きているものを見てみたい!やっと起こったアクション!この世界に来て初めての生き物。第一生物。
でも生きねばならぬ。一度は死んだ身。生きねば。
「キョオオオオオオオオオエエエエエエエ」
俺は走った。ただただ走った。陽が沈みかけ、夕焼けを見た。小焼になるところも見た。それほど長い時間走った。死に物狂いに走った。夜になったがまだ走った。多分メロスより走った。あいつはダメだ。何度も休んだもん。盗賊に襲われても俺は逃げて走ると決めた。メロスなんかより立派に走ってみせる。目的は達成される。あの犬のような唸り声を上げる生物から逃げるというよりなにか違う何かが俺を衝きあげる。疲れを知らない俺は韋駄天。そう思いながらただただ走った。
そして夜が明けた。
彼方に壁が見えている。んだ?ありゃ。もしかして、城壁てきなあのー、街を囲ってる壁てきな何かじゃないか?
「きたああああああああ!オラオラオラオラオラオラ!待ってろショウシン小国ぅうううう!」
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「おい、交代の時間だ。代われ」
ショウシン小国の兵は二時間おきに見張りを交代する。敵国から襲われた時、すぐに壁を高くできるようにだ。
ショウシン小国は世界一の防御壁を持っている。外交のルートを狭め、信頼おける国としか貿易しない。小国にして、唯一の中立国。軍事力も小国とは思えないほどレベルが高いとされている。推測にしかならないのは今までショウシン小国と"戦う"ところまで持ち込ませた国が存在しないからである。その強さも全て、王の「他国怖いから、国大事よマジで」の精神によるもののおかげである。
「おう、ありがとよ。にしても平和だなこの国は」
「あぁ、そうだな。王様様だ。攻める国もなけりゃ、攻められることもない。平和が一番だ」
「それにしたって刺激が足らないぜ?兵だってこの国じゃ尊敬されないしよ。給料泥棒ぉーとか言われちまう始末だ」
ぁぁぁぁぁぁ
「そりゃ笑えるな。これでも国の中じゃそこまでいい給料とも言えないんだがなぁ、でも悪い国じゃないよ。人柄も悪かないし、スラム街もほとんどない。自警団もない国なんてうちくらいなものだろう」
ぁぁぁぁぁあああ
「おい、なんか聞こえねぇか?小せえが雄叫びみたいな声がする気が、、」
「ん?そんなことはないが。刺激を求めすぎじゃないか?」
ぁぁああああああああ
「いや!確かに聞こえる!サンゲン原の方だ!」
「ああ!俺にも聞こえた!サンゲン原方面に国はないぞ!どこからきた!?」
「まさか、山越えてあのサンゲン原を進んできたのか!?バリオサウスから仕掛けてくるってのか!?」
「落ち着け、とりあえず見てみる。《視力操作》《生物探知》あれは軍じゃない。1人の人間だ。走ってくるぞ!速い!なんだあれは!?」
「お前が落ち着けって。にしても馬鹿みてぇに速いな!身体強化魔術でもあそこまで走れるのは限られるぞ!脚力増加しても体力持たないし、体力増加しても魔力持たないし、あっぱれだ」
「馬鹿!呑気に評価してる場合か!すぐに上に伝令しろ!俺の隊が迎え撃つ」
「了解、大事にならねぇように隠密に頼む。叫び声は消えたが、こっちに来て雄叫びあげられちゃみんなびびっちまう」
「分かった。少数精鋭で臨む。やむ負えん場合のみ戦闘にかかる」
門の前に出ると、先ほどよりは遅いがすごいペースで走ってくる女が見えた。隊列を組み迎え撃つ準備はできている。油断はない。魔術で拡声を施し声をかける
「そこの婦女子!止まりなさい!」
ピタッと止まると、こちらを観察するように睨みつけてくる。やはりやばいやつかもしれない。服装がまず変だ。綿のような青いズボンになにやら文字の入った絹のように白い服、あれは肌着か?背負っている茶色のバッグは普通のようだ。しかし、美人だ。睨みつけられるとゾクっとする。あいつはヤバそうだ。
「我々はショウシン小国の第3部隊属第2小隊である。私の名はオーランド・ウェルニッケである!両手を挙げ、ゆっくりこちらにきなさい!」
ハァハァハァ、近づくとわかる。すごい威圧感だ。まだ数キロ離れているとはいえ、間近にみたら気が保たれるか不安なほどだ。
「あのぉー?すいませんけどー?まだ距離あるんでペース上げてもいいですかねぇ?」
ひぃ!?話しかけてきた!?落ち着け、ただ話しかけてきただけではないか。あれだけ早く走る女だ。ペースを上げるとなると凄まじいスピードでくるのではないか?いや、だが、今のペースで来られても昼になってしまう。
「そこまでゆっくりじゃなくていい!早く来い!い、いや!早いはダメだ!ゆっくりこい!」
うまくまとめられない!なにをそこまで緊張しているのだ!逆に怪しまれてしまったではないか!だが、あのスピードは脅威だ。脅威なのだ!
「小隊長、なにをそんなに恐れているのです?報告は聞きましたが、ただ奇声を発して走ってきた1人の女でしょう」
「奇声を発しながら凄まじいスピードで走る女を警戒しない方がおかしいだろ!警戒は解くなよ」
こちらに着いた時、私はただ呆然とするのであった。
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「あああああああああああああああああああああ」
走れ!風のように正蔵!いやいや、ペースを落とせ正蔵。そろそろ道に出る。歩こう、どうやら道はあの壁に続いているようだ。
「はぁはぁはぁはぁ、いつまででも走れそうだ。なんかこの身体やばくねぇか?半日以上ずっと走り続けてもこの体力。息はそれなりに上がるけどランニング程度だ。でも、犬コロてき何かからは逃げれたし、地図を確認してもあれがショウシン小国で間違いないな」
細かいことは気にしない方がいいって馬面の芸人も言ってた。あいつ同世代なんだよな。弟と同い年だっけか。まぁいい。とにかく向かおう!おおお、ワクワクしてきた!
しばらく道なりに進むとなにやら仰々しい連中が待機していた。西洋の甲冑みたいなのを着込んで立っている。あれは槍かな?映画で見たことあるわあんなの。
「そこの婦女子!止まりなさい!」
なんか言ってんな。後ろに誰もいないし、俺のことかや。
とりあえず止まった方がよさげか。
「我々はショウシン小国の第3部隊属第2小隊である。私の名はオーランド・ウェルニッケである!両手を挙げ、ゆっくりこちらにきなさい!」
あんま大きい声出すなよ聞こえてるよ。小隊ねぇ、軍みてぇななりしてるし、そうだわな。オーランド・ウェルニッケねぇ。脳みそみてぇな名前だな。とりあえず指示には従っておこうか。怖いし。いざとなれば走って逃げよう。
ゆっくり進んでいく。でもまだ、全然遠いんだけど。これじゃいつまでたっても着かない。
「あのぉー?すいませんけどー?まだ距離あるんでペース上げてもいいですかねぇ?」
「そこまでゆっくりじゃなくていい!早く来い!い、いや!早いはダメだ!ゆっくりこい!」
言ってることめちゃくちゃだなあいつ!警戒してんのかしてねぇのかわけわからんやつだな。
そろそろ全体像も見えてきたな。隊長っぽいのが1人とあと同じような奴らが5人ってところか。
少しずつ距離が縮まっていく。顔がはっきりしてきたな。あいつがオーランドか。顔色めちゃんこ悪いやんけ。大丈夫か?周りの男たちはだらしねぇ顔してんな。
目の前に来ると自分が小さいことに気づいた。オーランドはとても大きい。見上げる大きさだ。俺の頭の位置がちょうど胸ってところか。
「お前はどこから来た!なぜサンゲン原からやってきたのだ!」
「いや、気づいたらあそこの真ん中にいてさ。目的もないし、とりあえずここが一番近ぇってことできた!ってとこっすね」
言葉に詰まってるな。なんか変な説明したかな。異世界から来ましたーって言った方が怪しまれると思ったんだけど。
「じ、じゃああの奇声はなんだ!あのスピードといい何者だ!そうだ!身分証を見せてみろ!」
奇声、、、ごめんなさい。聞こえてると思わねぇじゃん。確かに今の俺は驚くほど体力があるけど、足が速いわけでもねぇし、傷つくわぁ、、。んで身分証ね。身分証身分証。あー、あのステータスの紙、、ではないわな。
「身分証、持ってねぇっす。すんません」
すごい顔してる!やばい!周りは変わりなくだらしねぇ顔してっけど!どうしよ、まずいのかなぁ。
すると門から1人の男がやってきた。オーランドと同じような格好してんな。
「おい、オーランドいつまでやってんだ」
「チェス、こいつやはり危ないやつだ!」
チェスっていうのか、あんまり身長は高くねぇな。俺よりちょっと高いくらいか。
「危ないやつ?遠くから見た時はヤベェやつだとは思ったが、いやー、べっぴんさんじゃねぇか!スタイルも抜群にいいな!身長もたけぇし、尻も出てて色っぺぇな!んが、おっぱいはどこ置いてきたんだ?」
身長高いってことは、やっぱり生前と同じくらいなのだろうか。ってことはオーランドでかっ!2メートルあんじゃねぇのか!あとやっぱり、容姿はよくしてくれたんだな。よかった。
「おっとこりゃ失礼失礼、急な無礼お許しください。貴女の美しさに舞い上がってしまいまして。私の名はチェス。チェス・ブローカと申します」
そういうとチェスは深く頭を下げた。2人して脳みそみてぇな名前だな。言語野コンビだな。うん。
「えーっと、チェスさんとオーランドさん。初めまして正蔵っていいます。佐々木正蔵です」
「んんん?すまないが名前のところがよく聞き取れなかったんだが?もう一度いいかい?」
「だから!佐々木正蔵!」
「難しい発音だな。一切聞き取れねぇわ。貴女はどこの出身でらっしゃるのですか?」
聞き取れない??どういうことだ。あ、まさかショー・ゾゥサ・サキって名前使わなきゃダメってこと?あーーあんまりだ!クソみてぇな名前つけやがって!本名と無理やりこじつけなくても新しい名前よこせよ。
「すいません。ショー・ゾゥサ・サキっていいます」
「ショー・ゾゥサ・サキちゃんね。ってことは、東の国の方かな。ミドルネーム入りの名前なんてあの国しかないな。こんな遠いところまでご足労様です」
よしきた!
「はい!東の国出身なんですが、何者かにさらわれてしまって、気づいたらサンゲン原の真ん中に放置されていました。このバッグ以外すべて剥がれてしまって、、、」
泣き落としさーーくせんやで。とりあえず自分の現状がわからない今!できることはこれくらいしかねぇ!
「そりゃ災難でした。では身分証もお持ちでないんですね。おい、オーランド!こんなかわいそうな子をあんな厳しい声で叱りつけて、さいてぇだなてめぇは!」
「お前も見たろ!あのスピードは異常だ!しかも近づいてくる時の威圧感は半端なものではなかった!こいつは只者じゃない!国に入れるべきではないぞ!」
このデカ物はクソだな。警戒心Maxやんけボケ。ショウシン小国はやはり小心者が多いのか。それに比べてこのチェスさんは優しいのぉ。
「聞き分けのない同僚ですまねぇ。正規の手続きさえすればこちらで保護は可能です。さ、こちらへ」
デカ物は後ろでぶつくさ言ってやがるがとりあえず中に入れそうだ。異世界初めての国ショウシン小国。どんなところやら。
やっと国入ったよんよん