0話 俺の道程
とりあえずこれだけ。
他の作者すげえよな。一万文字とか余裕で書いてるよね!
その集中力というかなんつうかとにかく書いてみてわかったわ!
すげえ!
俺は昔からハツラツなやつだった。
いっつも笑顔で、人一倍元気で、挨拶だって町一番の大きな声だ。
風邪とは縁がない丈夫な体で、その分飯だって半端じゃあねぇ量を喰ったよ。
怪我の一つでもしてみろ。これが男の勲章だってみんなに自慢してまわったもんだ。
中学になるとみんなクールなやつが好きになった。
俺はいつだってホットなやつだったが、クールに憧れることもあった。
だから俺の中でクールの象徴である図書委員になった。
本を読む俺、実にクールじゃないの。
それからしばらくしてライトノベルってのにはまったよ。
読みやすくて、なにより気に入ったのが、自分じゃない人間になれるってところだ。
もともと国語は好きだったがこんなにファンタジーな世界は初めてだった。
脳筋な主人公!頭がいい魔法使い!妖術を使う陰陽師!心優しい治癒師!出癖の悪りぃ盗賊!
いやぁ憧れたね。ラノベの中の俺はいつも輝いていたさ。
話を戻そうか。
俺は高校生になった。
ホットな俺は、そう、うざがられた。
ホットなやつはまぁ暑苦しいことこの上ないわな。
クラスで浮いたね。ままあることよ。
俺はいらちなやつでさ、悪口とか言われるとけっこう言い返しちゃうのよ。
気にはせんのだけど、溜まりに溜まったストレスを爆発させてしまったんよ。
そしたら言われたやつらの言葉は
「なに怒ってんの?きもっ」
俺は怒ることをやめた。怒ることは悪だと思ってしまった。
それ以来怒ることができなくなった。
おっと、関係ねぇな、すまんすまん。
すぐ話が逸れちまってよ。俺の悪い癖だな。
んなこんなで月日は流れて俺も40になった。
高校卒業した俺はフリーターとか大学生とかバンドとか色々やった。
刀鍛冶に修行にもいったし、漆職人にもなろうとした。
どれもね、中途半端よ。うん。
自分に自信が持てねぇのかな。
心が満たされねぇっつうのか、なんだろう。
イエスマンで生きるってのは俺には向いてねぇらしい。
怒れなくなってからよ。感情にストップがかかってるみてぇに、ヤル気とかアイデアとかが全部出てこねぇんだ。思考停止状態だな。
そんな時、事故にあった。
ふらふら走ってる車によ。轢かれたんだ。
初めて入院したよ。人生初!
骨盤と両足が折れちまったらしい。
足はいいんだけどよ、腰がいけなかったな。
骨折っておもしれぇもんで外に血は出てなくても、出血してんだなありゃ。多量出血だってよ。
怖いもんだ。
俺はな、多分だが、その時死んだんだわ。
こうね、命がフッーーと抜けていくのを感じたよ。
その時、ああしてればよかったとか、こうしてればよかったとかそんなんも浮かばんかった。
人生に悔いなんてなかった。
ただ一つ思ったことは、また中学の頃みてぇにファンタジーの世界で仲間と暴れたかったなぁってな。
そういや、俺の人生友達なんて1人もいなかったな。
好きなやつはいたけど、顔も忘れちまった。
ん?俺童貞じゃねぇか?
一つだけ悔いが残ったな。
最期くらいセックスしてみたかったぜ。
んで、ここはどこだ。