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伯爵令嬢はチート転生者  作者: 猫柳 鉄平
第一章
8/31

実家

短いです。

 馬車での旅を終え無事に実家に着いた。

父が領主を勤めるウルメルク領は比較的王都に近い。特に目立った特産品は無いが、王都への宿場町が点在し農業地帯もある。日本で例えるなら埼玉県が近いと思う。


 何度か経験しているけど、やっぱり馬車での移動はお尻と腰にくる。求む振動軽減。

セシリアの手を借りて馬車から降りる。そのまま屋敷へ向かうと使用人と執事のグレゴルが出迎えてくれた。


「お帰りなさいませ、お嬢様」

「ただいま戻りましたわ。お父様とお母様にご挨拶したいのだけど……」

「申し訳ございません。旦那様と奥方様は領地の視察へ出かけておりまして、後数日でお戻りになられます」

「そう、ありがとう。ではジークお兄様はいらっしゃるかしら?」

「はい、ジーク様は領主代行として執務室にいらっしゃいます。お取次ぎなさいますか?」

「ええ、お願いするわ」

「かしこまりました」


 当家で長年執事として仕えていてくれるグレゴルと話、兄に取次いでもらうことになった。うちでは家族であっても自分で呼びに行くことはない。

貴族でも仲の良い家族ならありえるかもしれないけど。

時間がありそうだったので自分の部屋に戻り着替えて、お茶を飲みつつ兄との面会を待つ。2時間ほど経った頃扉がノックされ、セシリアがグレゴルを出迎える。


「エミルお嬢様、ジーク様が応接室にてお会いになるそうです」

「伺いますわ」


 私はグレゴルの後に続き、私の後ろにはセシリアが続いている。応接室に到着するとグレゴルが挨拶をして扉を開けてくれた。


「ジークお兄様、ただいま戻りました」


 室内に入り扉が閉まるのを確認してから、兄に挨拶をする。


「ハッよく戻ってこれたな愚妹」


 兄はソファーに座りながら両腕を組み、半笑いで馬鹿にしているかのように話しかけてくる。実際馬鹿にいているしいつものことだ。


「ジークお兄様には大変ご迷惑を「全くだ!!」」

「殿下や騎士公爵、次代の宮廷魔術師、光の巫女と問題を起こすなど何を考えている!!」


 兄に食い気味で遮られた。恐らく学園での断罪イベントの事を耳にしたのだろう。ちなみに光の巫女はビッチちゃんの事である。平民だけど力が強いから神殿預かりで巫女という事になっているらしい。


「私は問題になるようなことは何もしておりませんわ。かの方々の勘違いに巻き込まれてしまっただけですの」

「ハン、お前に問題があろうがなかろうがどうでもいい。俺が言っているのはお前を中心として殿下方を敵に回すような騒動がおき、それが噂として広まっていることを問題としている!」

「申し訳ございません」


 貴族は名を汚されるのを何よりも嫌う。兄を見る限りは体面第一といっても過言ではない。


「全く、美しくない外見に加え、この様な問題が起きてしまっては政略結婚にも使えない。なぁ無能な妹よ。お前がメリファーの様に美しく、花の様に微笑む少女だったらこの様な事は起きてなかったな」


 私は自身のこめかみがピクリと動くのを感じた。兄が言うメリファーは20歳になる私の姉のことだ。姉は母と同じミルクティ色のふわふわとした髪に水色の瞳。姉が微笑むと回りの男性陣は目尻が下がりだらしない顔になる。それくらい美しい淑女で人妻。


 王都の貴族社会では、女性は明るい色の髪が好まれ美しいとされているので、私の様な濃紺色の髪はあまり好まれない。この髪色は父からの遺伝なので100%私のせいじゃないし、私自身は顔の造形も相まって弓道少女の様な凛した感じに見えるから気に入ってる。どうでもいいけど嫌味言うなら眼鏡かけてくれないか。その方が客観的に見て萌えるから。本当どうでもいいけど。


「申し訳ございません」


 私は機会のように口先だけの謝罪を繰り返す。こうなった兄には何を言っても無駄なのは、学園に入るまでの12年で分かっていた。


「フッ、学園に入って魔法は使えるようになったのか?」

「いえ、残念ながら」

「魔力があっても魔法が使えないとは、努力が足りていないのではないか?」

「申し訳ございません」


 さらっと嘘をつく。魔法が使えるようになって道具にされるのは真っ平ごめんだ!本当ストレスがマッハすぎてブチキレそうなんだけど、誰か助けてくれないものか。

しかし、ヒーローは現れず解放されるまでの間、兄の嫌味を右から左に受け流す作業をした。




 解放された頃には夕方になっていた。しにたい。

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