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伯爵令嬢はチート転生者  作者: 猫柳 鉄平
第一章
29/31

病院棟にて

 カイシュは主に心の傷、ギルバルトは主に体の傷でうちのチームの訓練は2日休みになった。ギルバルトの傷は私が思っていたよりも酷かったみたいで、ビッチちゃんが何度も足を運んで治したとロン先生から聞いた。


「訓練ということはわかっていましたか?」

「はい、もちろんですわ」

「チームメイトとして、お互いどの程度の力があるための訓練だったと言うことは?」

「わかっていますわ」

「先ほどお伝えした通り、殿下はともかくギルバルトは酷い怪我でした。リスティさんがいなければ数箇所切断しなければならないほどでした」

「……」


 そして訓練の休みの最後の日、ロン先生に呼び出された私はこうして小一時間ほどお説教を受けている。


「貴女は魔力の制御ができていなさすぎます。これからチームで戦うにおいて、仲間を巻き込むような事は避けなければなりません。わかりますね?」

「制御が甘かったことについては申し訳なく思いますが、自分や仲間を攻撃魔法で巻き込むようなことはありませんので、ご心配には及びませんわ」

「以前から不思議に思っていたのですが、それはどうゆうことですか?」

「どうゆうことかと言われましても、そうゆうものですので」


 ロン先生が興味津々と言った感じで聞いてくるが、これからギルバルトのお見舞いにも行かないといけないので、さっさと切り上げよう。


「ロン先生申し訳ございませんが、これから予定がございますので本日は失礼させていただきますわ。魔法のお話でしたらまた今度お願いいたしますわ」

「……わかりました。いいですかくれぐれも魔法の使用について気をつけてください」

「はい、失礼いたします」


 生徒指導部屋から退出して治療棟へ向かう。治療棟は学園の敷地内にあり、病院とほぼ同じ内容の建物で多人数部屋と個室があり入院可能だ。ギルバルトは個室に入院中である。

 

 ギルバルトの病室前で息を整えノックをしてから許可を得て入室すると、ビッチちゃんがいた。


「あ、エミルちゃんだ!ギルのお見舞い?」

「ええ、大怪我をさせてしまったようで、リスティさんにもご迷惑をお掛けいたしました」

「ううん、気にしないで!もう完治してるしあたしはもう行くねっ」

「リスティ、お前のおかげで助かった。……ありがとな」

「えへへー。二人ともまた明日ね!バイバーイ!」


 ビッチちゃんの去り際にギルバルトが頬を染めながら声を掛ける。乙女かっ!!ビッチちゃんはいつもの軽い様子で颯爽と去っていった。残された私とギルバルト。気が重い。


「……あの、怪我が酷かったようで申し訳ないですわ」

「別に……」


 ビッチちゃんが居なくなったからか、私と話すのが嫌なのか、ツンモードに入ってしまったギルバルトだが、対私では通常運転なので気にせずあの話に決着(ケリ)をつけてから退出しよう。


「もう完治されたようですけど、宜しかったらこちら召し上がってくださいませ」

「ああ」


 お見舞いに持ってきたお菓子をギルバルトに渡す。


「それと、少しお話がしたいのですが宜しいでしょうか?」

「何だ?……婚約のことか?」

「ええ、そうですわ。ギルもお聞きになりました?」

「聞いたも何も、婚約が成立しなかったことに対して父上から怒られたからな」


 バツが悪そうに顔を逸らすギルバルト。

ん?なんで婚約不成立で ギルバルトが怒られてんだ?断ったのは ヴォルスト家(うち)だからギルバルトには何の関係もないような……。


「あの事故のことはお気になさらないで下さいと何度もお伝えいたしましたし、責任を取ってもらうようなことではございませんわ。由緒正しいグローグ家の方がそう簡単に由としないと言う事もわかりますが……」

「……最初は事故の責任だった。階級も釣り合っていたしな。だが、お前が魔法使いとして優秀だと父上は判断し、グローグ家の血筋に加えたいと考えたのだろう。体裁も整えられるし、優れた魔法使いを家に迎えることができるからな、まさか断られるとは思ってなかったのだろう。俺がもっとお前の気を惹いていれば、と」

「まぁ、それはそれは……」


 災難でしたな。上流階級って能力とか血筋とか、とても面倒だと思うのは根が庶民だからか。

だけど私は何不自由なく育ててくれた家=父には恩返しの意味で従うと決めているから、父が婚約を受け入れていればギルバルトと結婚する未来があったと思うと複雑な心境である。


「でもこれでギルはフリーになったわけですし、私よりも相応しいお相手がきっといらっしゃいますわ。例えば光魔法の使い手とか」

「なっ!!」


 思い当たる相手が居たのかギルの頬に赤みが差した。わっかりやす、わっかりやすすぎるわ!!


「ふふ、まぁ頑張りたまえよ少年」


 私がバシッと肩を叩くと、ギルは目を見開いてこちらを見る。私は口の端だけを上げてニヤリと笑い、退室の挨拶をして病室を出た。

短い割りに時間が掛かりました。

申し訳ないです。

師走はあまり更新できないかもしれませんが、できる限り書いていきますのでよろしくお願いいたします。

12/9追記、活動報告書きました。

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