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伯爵令嬢はチート転生者  作者: 猫柳 鉄平
第一章
27/31

事前訓練01

 今日から実習に向けた事前訓練が行われる。2限目までは通常の授業で、3~7限間が選択授業のところ訓練に当てられる。


初日の今日はチーム内での1対1の戦闘訓練で、個人の戦闘スタイルによりチームの陣形や連携に生かすため個々の力量を測るのが目的だ。


 戦闘の前にチームメンバーは名前で呼ぶことになった。戦闘中に長ったらしい名前や敬称を言っている余裕はないので、当然と言えば当然か?王子を呼び捨てでいいのかとは思わなくもないが、チームメンバーの特権ってやつなのだろう。そんな特権いらないから他のチームに入れてほしい。


「と言うわけで、私のことはカイと呼んでください。ギルバルトはギルでいいかな?」

「いい」

「私ことはリスティって呼んでねっ」

「……僕はクリスでいいよ」

「エミルと呼んで下さいませ」


 ぺこりと頭を下げる。正直なところ戦闘中は令嬢口調を保てる気がしないが、できるだけ頑張ろう。続いて戦闘系統の確認だ。


「私は剣と魔法を半々位で使えます。得意属性は風です。知らないエミルのために言いますと、昨年の模擬戦ではクラス1位でしたし、魔力量もかなり高いですね」


 王子の自慢キタコレ。ゲーム風に言うとアタッカーかな?


「俺は剣と盾がメインだな。魔法は身体強化位しか使わない。魔力量もそんないねーし」


 ギルバルトは脳筋ですねわかります。どうみてもタンクです本当にありがとうございました。


「次は私ねっ!光系魔法と回復魔法と結界も張れるかなっ」


 ビッチちゃんはヒーラー。頭弱そうだけど魔力管理とかできるのかどうか。


「……僕は、炎と土が得意。接近戦は……苦手」


 ショタは魔法系アタッカーか。


「私は……剣を少々とメインは魔法になると思いますわ。回復魔法は苦手ですがそれ以外ならそこそこ使えると思いますわ」

「エミルちゃんはアルシェイド様を結界で守ってあげたんだよね?だから結界魔法も得意だと思う!」

「ええ……得意かどうかはわかりませんが、使うことはできますわ」


 ビッチちゃんが得意気に補足してくれたけど、その場に居なかったショタ以外は知ってるから!そんなに張り切っていってくれなくてもいいから!!


「系統的に似ている私とエミル、リスティとクリスが戦うのが良いと思うがどうだろうか?」

「賛成ですわ」

「私もいいよー!」

「……うん」

「ギルは、私かエミルの勝った方と戦って欲しい」

「わかった」


 私VSカイシュの戦いは屋外の戦闘場でロン先生監視の下行う。ロン先生は今日も麗しいですね見た目は!

戦闘ルールは、剣は木製を使用すること、相手を殺さないこと、ギブアップもしくは戦闘不能で勝敗を決める。もちろん魔法は自由に使用可能である。

戦闘開始位置に私が向かおうとすると、ロン先生が「手加減してください」と小声で言ってきたので、軽くうなずく。


 私とカイシュが戦闘開始位置に着くと、ロン先生がカウントダウンを始めた。


「戦闘開始まで、5、4、3、2、1、始めっ!!」


 ピーッと戦闘開始のホイッスルが鳴り響く。


「紅蓮の炎よ焼き尽くせ<ファイヤー>」


 小手調べに初級魔法を放つとカイシュのいた場所から炎が吹き上がるが、あっさりと避けられてしまった。座標固定魔法は広範囲や罠でもない限り避けられやすい。続けて<アイスランス>や<ファイアーボール>を放つも避けられてしまう。対魔法使いとの戦闘は訓練でやりなれているのかもしれない。

私が放った魔法を避けながら接近戦に持ち込んだカイシュが切りかかってきたのを剣で受け止める。重いっ!体重差なのか男女の力の差なのか、レイン兄様よりも重いかもしれない。腐ってもエリートな王子様ってことか。


「<エアハンマー>」

「うぐっ!」


 カイシュの剣を受け止めた状態のままカイシュの腹に魔法を叩き込むと、カイシュは2m程後ろに吹き飛んだが何のダメージも受けていないようだった。ふむ?何か違和感を感じる。


「風の刃よ、切り裂け!<ウィンドカッター>」


 カイシュが魔法を放ってきたので、身体強化魔法<マッスルボディ>と速度上昇魔法<クイック>を自分に唱えて<ウィンドカッター>を避ける。その流れでカイシュの脇腹に斬りつけると、バシッという衝撃と共に剣は何かに弾かれた。……これは守護系の結界的な?いやいやいや、そんなのかかってたら戦闘訓練にならないじゃないか。そら模擬戦闘で1位にもなるわ。この結界をなんとかしないとダメージ与えられないもんよ。


「その結界。ずるいんじゃありませんこと?」

「王族に与えられる結界ですから、ずるくはありません。持っているものは使わないと無意味ですから」


 持ってるものは使うっていうのはわかるけど、時と状況を考えて欲しい。結界は王族を守るために体の周りに張られていて、外の攻撃から王族を守るアイテムか魔法がかかっているのか……。

あれ?じゃあ私がシャンデリアからアルシェイド王子を守らなくても勝手に助かったんじゃないか疑惑。と、それはさておき、私が勝つためにはあの結界をなんとかしてからじゃないとダメってことか。面倒くさい。


 切りかかってくるカイシュの剣を受け流しながら、カイシュに向けて<解析>の魔法を発動させるとネックレスが魔道具(マジックアイテム)で装備者の魔力を利用して結界を張っていることがわかった。ネックレスを壊すか、魔力をなくすかの2択っぽいぞ。戦闘中に小さいネックレスを壊すなんて面倒なので、私はカイシュの魔力を奪うことにした。


「フッ……!」


 解析結果に夢中になっていると、頭上で息を吐く声がした。慌てて上を見るとカイシュは大きく剣を振りかぶり、そのまま下へと振り下ろした。木製の剣同士がぶつかり激しい音を立てる。なんとか受け止められたようだ。そのまま剣を外側へずらし、払うと同時に私は自らの剣から手を離し、カイシュの両腕を掴んだ。


「<魔力奪取>」

「うぁああああああああぁぁあ!!」


 カイシュに<魔力奪取>の魔法を掛けて魔力を奪うと、カイシュは苦痛からか悲鳴を上げる。なんとなく魔力が流れてきているのがわかるので、ちゃんと魔力は奪えたようだ。


「どりぁあああ!!」


 私は拳を振り上げるとふらふらになっているカイシュの顔を殴り、そのまま地面へと叩きつけた。身体強化と速度上昇様様です。止めの魔法を使おうと口を開いたときにピッー!とホイッスルが鳴った。


「そこまでです!リスティさん、殿下の治療をお願いします」

「はぁーい!まっかせて下さいっ」


 ロン先生が試合終了を合図し、ビッチちゃんがカイシュの治療にあたる。ちょっと強化した女子に殴られた位だから怪我は大した事ないと思うよ。魔力はほぼ0になるまで奪ったから何時回復するかわからないけどね。

強化されてるので殴った手は傷めていません。

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