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伯爵令嬢はチート転生者  作者: 猫柳 鉄平
第一章
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舞踏会3

「ヴォルスト嬢、楽しんでいらっしゃいますか?」

「はい、お招きいただきありがとうございます」


 第三王子のカイシュに話しかけられたので笑顔で対応していると、


「あの、エミルちゃん。この前は迷惑かけちゃってゴメンなさいっ!」


 カイシュの後ろに居たビッチちゃんが一歩前に出てペコリと頭を下げると、カイシュとギルバルトは頭を下げたままのビッチちゃんを微笑みながら見ている。しかし「ちゃん」付けって友達扱いなのだろうか?


「ビ……シルタット様、あの件はもう済んだ事ですからどうか頭を上げてください」

「そぉ?ありがとっ!あ、私のことはリスティでいいですよ?」


 私の言葉にガバっと凄い勢いで上半身を起こしニコニコとしている。この態度は計算だったりするのだろうか。愛称で呼ぶくだりさらっとは無視してみた。


「リスティもう気が済んだだろ?」

「うん!」

「じゃ、次は俺と踊っていただけますか?」


 頬を染めたギルバルトがビッチちゃんをダンスに誘うと、ビッチちゃんはチラッとカイシュを見てからギルバルトの手を取って輪の中へ入っていった。おい馬鹿共!カイシュを置いていくな!!

横目でカイシュを見ると熱の篭った視線でビッチちゃんを見ている。この隙にとカイシュからスッと離れようとすると、クルッと振り向いたカイシュが「残されてしまいましたね」と話しかけてきた。「そうですわね」とも言えず微笑んでいると、それまで遠巻きにしていたご令嬢達がカイシュに群がってきた。私は寄ってきたご令嬢達の後ろに流されてる風を装って移動し、人の影に隠れるようにして反対側の壁際へ移動した。





「……ふぅ」


 ビッチちゃん達との遭遇から5曲以上経ってもレイン兄様が戻ってこない。流石に退屈してきたのでちょっと外にでも出てみようかなと考えていると、ざわざわと人の声がこちらの方に近づいてきた。人の声の方を見てみると第一王子が周りを見渡しながらゆっくりと歩いていた。第一王子アルシェイド22歳は、肩の下まであるサラサラな金髪と翡翠色の瞳で、カイシュが絵本の王子様ならアルシェイド王子は恋愛ゲームに出てきそうな美形の王子様といった感じだ。

美形鑑賞とばかりにジッと見ているとアルシェイド王子と目が合ったような気がした。これはコンサートでアイドルと目が合ったような気がするやつだろうなと思っていると、アルシェイド王子は時折立ち止まって周りの人と話しつつもゆっくりとこちらへ向かってきている。アルシェイド王子とは面識もないし私に用があるわけがない、恐らく対角線上にいる誰かに会おうとしているのだ。と、そう思っている時期が私にもありました。



「失礼、エミル=ヴォルスト嬢でいらっしゃいますか?」


 すっと影がさして顔を上げると目の前には、キラキラとした笑顔のアルシェイド王子が立っていた。アルシェイド王子が私に話しかけた事により周りがざわっとした。


「はい、お初にお目にかかります。ヴォレスト伯爵家ゲオルグの娘、エミルでござます」


 驚きのあまり間を空けてしまったが、慌てて答えて礼をする。


「ああ、良かった。間違っていたらどうしようかと思ったよ」


 笑顔を崩さないまま胸に手を当てて”ほっ”としたようなポーズをしたアルシェイド王子は少し腰を屈めて「踊っていただけますか?」と私の前に右手を差し出した。断るわけにもいかないので私は引きつりながらも「喜んで」とアルシェイド王子の手を取り、エスコートされながら会場の中央で踊る事となった。


「初めまして、急に誘ってしまってすまなかったね」

「いえ、光栄でございます」

「ははは、迷惑だったかな。引きつった笑顔で”喜んで”なんて言われたのは初めてだよ」


 ダンスを始めて早々にアルシェイド王子が話しかけてきた。もしかすると話すためにダンスに誘ったのかもしれないが、もっと目立たない方法は無かったのですかね?しかもさり気に皮肉を言うあたり、なんか面倒くさい人かもしれない。


「実はね、君に興味を持ったんだ」

「は、はぁ……」

「ああ、恋とかじゃないから安心してほしい。君の魔力というか魔法に興味を持ったんだ」

「魔法……ですか?」

「そう、魔法。ハインツ学園からの報告書を読んだんだ。トルネードを連続で使える魔法使いなんて滅多にいないからね。それに誘拐犯達を片付けてしまうなんて驚いたよ」


 なんでアルシェイド王子が学園からの報告書を読んでるの?とかなんで誘拐事件の事を知っているの?とか疑問しかないが、アルシェイド王子は気にした様子もなく話しを続ける。


「あー、なんでそんな事を知ってるんだって顔をしているね。優秀な魔法使いの情報は把握しておかないと、先に誰かに取られると困るからね」

「そ、そうですか」

「そうなんだ。報告書を読んでから君の事を調べてね。ここ数ヶ月で面白い事になっていたから話してみたいなと思っていたんだ。カイシュが君を招いてくれて丁度良かったよ」


 アルシェイド王子の話を聞いてると青田買いの対象として見られているらしい。確かに学園で能力が高い人は王宮を始めとした国の機関で働く事が多い。にしたってアルシェイド王子自ら選ぶ必要は無いと思うんだけど。

遅くなり申し訳ないです。


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