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伯爵令嬢はチート転生者  作者: 猫柳 鉄平
第一章
16/31

家族会議

※9/20誤字修正

 えーこれより第一回家族会議を始めます。

参加者は、父ゲオルグ52歳、母クララ41歳、長男ジーク25歳、次男アルスレイン17歳、次女エミル13歳で、ジークの嫁と子供達は無関係なので欠席、長女メリファー20歳は他家に嫁いでいるため欠席、三女ハルティア6歳は幼いので欠席。欠席と言っても知らされていないだけだが。


 誘拐事件が片付き屋敷に戻ったところ早々に呼び出されて、家族の一部と物々しい雰囲気で机を囲み、誘拐事件の事をざっくりと説明したところだ。相変わらず父と兄は鋭い眼光をこちらに向けている。


「エミル、お前は私に魔法は使えないと言っていたではないか!」

「魔法を使えないと言うのは、嘘ですもの」

「兄に向かって、嘘をつくとは何事だ!!」


 しれっと嘘をつきましたと言うと兄は馬鹿にされたと思ったのか手を机に叩きつけながら怒鳴った。いやいやいや、そんなに怒るポイントはなかったと思うんだけど、どこが逆鱗に触れたのか全く以ってわからない。 


「兄さんそんなに怒らなくてもいいんじゃない?エミルが魔法を使えたお陰でエミルもハルも助かったんだし」

「アルスレイン!お前が甘やかすからエミルが調子に乗るんじゃないのか!?」

「ジークお兄様、私はレインお兄様に甘やかされてなんかいませんわ。何が気に入らないのかわかりませんが、レインお兄様に八つ当たりはやめてください」

「ジーク、少し黙っていろ」


 話が進まないと思ったのか、父が兄を黙らせる。父は鋭い眼光をこちらに向け衝撃の一言を放った。


「それで、お前は”誰”なんだ?」

「あなた誰はないでしょう?エミルじゃないの。ボケるにはまだ早いわよ。うふふ」


 父の言葉に、即座につっこみを入れる母。ボケてるのは母の方だが、さらにつっこみを入れる気はないのであえて無視する。父の一言に兄とレイン兄様はハッとしてこちらを見ている。

父は気づいていたのだ、私の中身が以前と違う事を。


「お父様、私は貴方の娘エミル=ヴォルストですわ。私が以前と違う事は認めますが、呪いで頭がおかしくなったわけでも、悪霊に取り付かれたわけでもございませんわ。そうですわね例えるなら、紅茶がティーカップに五分の一の分量が入っていていたとします。後から紅茶が五分の四注ぎ足されると、ティーカップの中は紅茶で満たされることになりますわね?ティーカップに五分の一の紅茶が入っていようが、カップ一杯の紅茶が入っていようが中身は紅茶で変わりありませんわ」

「つまり、カップはお前の体、紅茶は心というわけか」

「話が早くて助かりますわ、お父様」

「しかし、元に入っていた紅茶と後から注ぎ足された紅茶、銘柄が違えば味も変わるな」

「これはこれは、手厳しいですわね。まさにその通りですわ。真実を話しますと、私は先日学園で頭を打ちましたわ。その時、前世の記憶を思い出したのですわ」


 父は相変わらずの表情でこちらを凝視しているし、母は話の流れについてきていないようだ。2人の兄はポカーンとしている。口は閉じた方がいい、イケメンが台無しだ。前世とか電波だと思われても仕方ない。


「前世と言いましても本当に前世なのかはわかりませんし、証明する手立てもございませんわ。ただ…そうですわね、この世界にはない知識を私は持っているということになりますわね。尤も前世では一般人で頭も悪く、専門職でも無かったので専門的な事を聞かれてもわかりませんわ」


 私は営業スマイルで話す。父の表情からは何も読み取れないので言葉を続ける。


「お父様、私はエミル=ヴォルスト、貴方の娘です。この一点は疑いようも無い事実ですわ。例え銘柄の違う紅茶が混ざり合ったとしていても、最初から入っていた紅茶がなくなったわけではございません。今はブレンドされたエミルという紅茶が存在しているのです。私の希望としては学園卒業後にエミル=ヴォルストは事故死。その後他国で暮らそうと思います。私はまだ子供ですし学園卒業までは面倒を見ていただけると助かりますわ」


 私は座ったまま父に向かってペコリと頭を下げると、レイン兄様は「どんなエミルでも僕の妹に違いないよ」と頭を撫でてくれた。レイン兄様が神対応過ぎて泣きそうだ!泣かないけどね。


「父上!まさかこの様な戯言を信じるおつもりですか?大体学園卒業までは面倒を見ろなど都合が良すぎる!」

「出世払いで宜しければ卒業した後にお支払いしますわ。お金を稼ぐ方法なんていくらでもありますもの」

「では、その金を稼ぐ方法を言ってみろ!」

「自分の手の内を見せる馬鹿がどこにおりますの?」

「なんだとっ「ジーク」」

 

 ガタッと椅子から立ち上がり、大げさなアクションでジークが突っかかってくる。そんなに私が気に入らないのか?!

兄は父の一言に口を閉ざして椅子に座りなおした。父は徐に口を開くと、


「話は分かった。私はエミル(お前)を自由にする気は無い。この家のため、敷いては国のためその身を捧げてもらおう」

「わかりましたわ。お父様がご存命の間はご意向に従います」


 と、事実上の逃がさない宣言をされたところで、第一回家族会議は終了となった。

どこで間違ったのか上手くいかないものだ。

見ていないようで意外と見ていた父ゲオルグ。

どうでもいい情報:父は魔力持ちです。

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