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伯爵令嬢はチート転生者  作者: 猫柳 鉄平
第一章
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誘拐2

 手首足首が縛られ、声も思うように出せない。何より目隠しで周囲の状況がわからないのが痛い。いきなり男達に襲われて油断した……というか軽くパニックになっていたというのが正しい。私に睡眠魔法が効かなかったのは術者よりも私の方が上位にあったからで、声が出なくとも無詠唱で対応できたはずだった。まさか海外の犯罪映像の様な手口で襲われるとは思ってもいなかった。後悔しても遅いので、とにかく一刻も早くハルを探して合流しよう。


 周囲状況を探るため<広域スキャン>の魔法を無詠唱で使ってみたけど魔法が発動しなかった。なぜだ?!深呼吸を繰り返して落ち着け、落ち着けと心の中で唱える。息を吸い込むと埃っぽい砂っぽい匂いがしていて、寝かされているところは恐らく石とかレンガとかの感じがする。よくよく耳を澄ませばどこからか複数のすすり泣く泣き声や話し声が少し反響して聞こえる。馬車や外ではなく建物の中に居ることは明白だ。


 私は何度も床に顔を擦りつけ目隠しをずらす事に成功した。擦りつけたところがヒリヒリする、たぶん擦り傷になっていると思う。目を開けると地面に描かれている模様がうっすらと光っており、私は光の中に居てこの部屋が鉄の扉で閉ざされた3畳程の広さであることが分かった。ぐぐっと体に力を入れて上半身を起こすと、地面の模様が魔法陣であることがわかる。この部屋に居るのは私一人で、ハルは居ない。高慢ちきでもハルは6歳の幼女なので早く助け出さないと、と焦る。


 私はハルの事が苦手だ、だけど苦手なだけで彼女の不幸を望んでいるわけではない。性格の不一致でお互い干渉しないのがベストだとは思うが、彼女は家族で妹で年上の私が助けなければいけない。私は彼女の姉なのだから――。


 目が見えるようになったので今度は手首の縄を外しにかかる、これも傷は負ったものの無事に外す事が出来た。

縛った奴は素人だったのかな?

続いて目隠しを完全に取り、口、足首の拘束も外す。やったー私は自由だー!と両腕を上げて”やったー”ポーズをしていると、ギギギと重たい音を立てながら扉が開きフード付のローブを纏った細い男が部屋に入ってきた。知らない男にはしゃいでたのを見られた。恥ずかしいのでやり直しを要求したい!今直ぐにだ!!


「ふむ、起きたかね。さてさて君は一体何者かな?」

「……」

「君は私の魔法に掛からなかった。少なくとも私と同等かそれ以上の魔法の素質を持った者、もしくはある種の魔法を無効化する道具を持った人物ということになるが、道具を持たせるのなら君と一緒に居た身なりの良いお嬢ちゃんが持っているべきだ。さて君は一体何者だ?」


 男は私の拘束が取れていること意に介さず饒舌に語りだした。フードで表情は良く見えないが、ここは何かしら答えて情報を引き出すのが正解……か?


「だたの護衛よ。それよりもお嬢様は無事かしら?」

「ほぉ、君はお若いのに護衛とは素晴らしい。くっくっくっく、その若さで私と同等もしくは私以上であるなら、護衛と言う立場も理解できる」

「質問には答えたわ、こっちの質問にも答えていただけるかしら。お嬢様は無事?」

「ああ、無事だとも。傷一つ無いさ今は。しかし、わからないな。何故君はそこまであのお嬢ちゃんの事を気にする?お嬢ちゃんは君の事を疎んでいたではないか」


 男の口がニヤニヤといやらしい笑みを浮べているのが見えた。試着室での会話を聞かれていたのか、舌打ちをせざる負えない。ただ、会話の内容から姉妹とはばれていないようだし、ハルも今のところ無事のようで一安心。


「私とお嬢様は血の契約で結ばれているので、疎まれていようが関係ないわ。さて、おしゃべりはこの辺にしてお嬢様を助けに行きたいのだけど、そこをどいて下さいませんか?」

「残念ながらそれは出来ないな。第一この部屋では魔法は使えないし、君の様な少女が魔法無しで私を出抜けるとでも?」

「ぷ、アハハハハハハ!貴方面白いな。その台詞はフラグ立ちすぎで笑うしかないんだが」


 私は男を見ながら前髪を頭の上へ掻き揚げる。男の台詞が面白すぎて素を出してしまったけど、知り合いの居ないこの場所で演じる必要もないと気がついた。男は私の変貌に驚いた様子だったが、特に動く様子は見せなかった。


「この部屋では魔法が使えないってさ、ねぇそれ本当?本当なの?誰が決めたの?この魔方陣で魔法を封じてるとでも言うの?所詮結界や魔方陣なんて魔力の許容量オーバーで壊してしまえば意味ないでしょ?世の中に絶対なんてないんだよ。奇跡は起こらないから奇跡って言うんだよ。ううん、知らないけどきっとそう!!大体にして拉致った相手にペラペラと情報吐き出してどうすんだよ。馬鹿なの死ぬの?自分が強者だと勘違いしてる上から目線の気持ち悪い言い方も気にくわねぇし子供(ガキ)だと思って油断してんじゃねーよ、このヒョロ男が!!暴風よ全てを飲み込め、竜巻!!!」


 私は両手を魔方陣に付け、今までで一番魔力を込めて魔法を放った。

エミルのストレス発散のターン。

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