The holic of ちんあなご
時代は西暦2014年。とある25歳の男はとある魚類の虜となっていた。
生物の名は、チンアナゴ。
ウナギ目アナゴ科チンアナゴ属に属する海水魚である。ボディーは黄色、青、ブラックなどの斑模様で、ブルドックのような顔立ち。だがチンという種の犬に似ている故にチンアナゴと呼ぶそうだ。
先に断っておくが、私はチンアナゴについて日夜研究したり、チンアナゴの生息海域や飼育されている水族館を巡る、いわば『チンアナガー』ではないため、チンアナゴについて質問されても残念ながらお答えできない。詳細はウィキペディアさんや専門家に訊ねると良いだろう。
さて、本題に移ろう。先に述べた通り、男が注目したのは生態等ではなく、『チンアナゴ』というネーミングである。
そもそもチンアナゴに嵌まったのは、ツイッターのフォロワーさんが『ちんあなごちんあなご!』とツイートしたのがきっかけだ。後ほどご本人に訊ねたところ、とある動画サイトで人気の生物であり、それを水族館でお目にかかれて気分が高揚したためという。
なんだろう、この絶妙な響きは。チンチラと聞いても特に何も思わないし、チンがチラリしたところで、同性愛者でない男の私にとってはだからなんだという話だ。
だが何故だろう。チンアナゴとは。チンチラにしろチンアナゴにしろチンには変わりないのに、なぜ頭から離れないのだろう。
暫し私は考えた。チンは言うまでもなく、とある一物を連想させるワードである。だがそれのみでなく、チンアナゴはその和名全てがネタであると、ふとした瞬間に気付いたのだ。
まず、チンに続く『アナ』というワード。近頃では雪を連想させるワードでもあるが、何故か『アナ』は下のネタで使用される場合が多く、私自身にそれが定着していると証明された。
続いて『ゴ』である。一見なんてことのないワードであるが、これは『チン』というワードど組み合わせて初めて効力を発揮するものである。『チンアナゴ』というワードを少し目を離して俯瞰し、更に『アナ』というワードを視角から排除する。すると何故か、とある一物の俗称として見得るのだ。では試しに以下を俯瞰してみて欲しい。
『ちんあなごちんあなごちんあなご!!』
いかがだろうか。これでチンアナゴ以外の何にも見えなかったり、ゲシュタルト崩壊を起こして文字が解読不能となる場合もあるだろう。しかし、これが一物を示すワードに見えた場合は、あなた自身が酷く幼稚で卑猥な発想の持ち主であると仮定できるのではなかろうか。
つまり、この文の筆者も酷く幼稚で卑猥な発想の持ち主であるのだ。チンアナゴというワードに過剰反応するなど、思春期の小学生程度のまま25歳を迎えてしまった大人と言われても、真っ向から否定する気はない。