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オフィス

『虚無感』・・・今の現代人にはこの言葉が当てはまるらしい

それもそうだ、今まで気にも止めていなかったが周りの大人を見れば

その言葉が容易に当てはまる。


毎日毎日、朝6時に起きて朝食をとり、身支度をして家を出る・・・

電車に乗って新聞を見て、芸能人の婚活情報やら隣の国がどうたらとか

どうでもいいような内容が、あたかも大げさのように取り上げられている。

会社、電車、帰宅、上司、部下、出勤、・・・・・この繰り返し・・・

終わらない螺旋状。終わりが見えない螺旋状・・・。

さぞうんざりだろう。彼らは社会の歯車でしかないのだから・・・。


当たり前だろう?1億人以上いる中一人一人丁寧に扱うなど不可能だ、

彼らは既に『消耗品』なんだよ。巣から落ちた雛鳥はもう2度と戻れない

そしていつしか彼らは『虚無』の存在となってしまった。


僕らはこの現実が既に見えている、何も大人に限った事じゃない。

毎朝6時に起きてどうでもいいニュースを垂れ流しながら頭が冴えない

状態で朝食を摂る。学校に行けば聞きたくもない誰かの噂話を聞かされる、

それに笑って相槌を打つ。昨日の番組がどうとか、放課後どうするとか、

まるでゲームのNPCの用にあらかじめ用意されたシナリオがあるように・・・


別に楽しいことがなかったと言うと嘘になる。

校庭に野良犬が迷い込んできたり、教師のカツラ疑惑がバレたりと

楽しいことや面白いこともあった。


だがそれは毎日繰り返されるほんの稀な一部分でしかなくて、それ以外は

なんも変哲もないただの日常。これまた終わりが見えない。

人は物心ついた頃から既にこの現実に気づいていた、

ただ認めたくなかったのだと思う、だから人は今ある現実を楽しいことや

面白い方向に進めようとする・・・。

しかし、それも毎日繰り返せば『虚無』になる・・・。

『終』など知らない、知ってしまえば『終焉』となるからあえて耳を塞ぐ

実に滑稽だ・・・



朝の日差しが顔に当たって皮膚を通しても目が覚めてしまう、

だけどこれのおかげで毎朝僕は目が覚める。自然の目覚まし時計か・・・

どうりで一日の生活のリズムがみんな一緒なわけだ、


「ふわあぁぁぁっ・・・・」


みっともない大口を開けて欠伸をする。


「・・・もう一睡だけ・・・」


ま、登校時間まであと一時間ちょいあるし・・・


「おーい!いつまで寝てるの!遅刻するわよ!」


母さん何言ってんだろ・・・一時間も有余があるのに・・・あれ?

秒針が進んでない・・・ちょっとまって・・・


「今・・・何時だ?」


やばい、やばいやばいやばい!遅刻か!?

リビングの時計はあってるかな・・・

急いで階段を降りる。この家の階段は割と斜面が急だから危ないが

今はそんなこと行っている場合じゃない・・・!


「母さん今何時!?」


母「7:30、あんたいつまで寝てるの!」


「目覚ましが壊れてたんだってば!電池買っといてよ!」


今日に限って壊れるとは・・・ついてないな。


母「あんた今日から新学期じゃない!」


そんなのわかってるよ一々言わなくても・・・


母「最近夜遅くまで起きてるから悪いのよ!そもそも早く寝れば

 寝坊なんてありえないのよ」

 

こっちは遅くまで勉強してるのに!勉強しろって言ったのは母さんだろ


母「全く、高校生にもなって遅刻なんて、ねえ!あなたからも何か言って

 くださいよ!」

 

母はすぐ父に助け舟を呼ぼうとする癖がある

 

父「ああ・・・・」


こんなふうに関係ないように振舞う、典型的な『見て見ぬないふり』だ


母「もう!あなたは毎日毎日家庭の事をみないでなんなんですか!」


父「わかったよ・・・。秀一、程ほどにな」


母「あなたそれだけ?秀一は今一番大事な時なのよ――――――」


我が家はいつもこんな感じだ、数年前まで『熟年離婚』という単語を

耳にして僕には関係ないと思っていたが、今じゃ他人事じゃなくなった

母さんは何かと僕らにヒステリックを起こして迷惑だ。

対照的に父さんは家庭に興味がなく、僕としてはありがたかったりする

母も母だが父も父だ、子供の前でみっともない喧嘩はしないで欲しい。

だけど僕はこの二人によってうまれ、秀一(しゅういち)という名前で

海城(かいじょう)家の一員となった。いずれは両親のようになる

と思うとなんだかいたたまれない気持ちになる。


『ニュースの時間です、先月から調査を進めている連続失踪事件の

 真相は未だに不明で、行方不明者の消息はまだ見つかっておりません。

 警察は連続誘拐事件の可能性を考え現在調査を進めております―――』


母「秀一、最近物騒だから遅くならないうちに帰ってくるのよ」


秀「ああ、わかってる。じゃあ行ってくるね」


玄関に向かおうとしたとき・・・


母「あ、そういえば秀一宛におかしな手紙が届いたわよ?」


おかしな手紙?このメール世代に手紙、しかも僕あてに?

手紙には『秀一様』と書かれていた・・・


秀「ん~なんか気持ち悪いから捨てといて、いたずらっぽいし」


母「わかったわ、遅くならないで帰ってきなさいね」


秀「わかった、じゃあ行ってくる。」


ドアノブ手を掛けた瞬間背筋に悪寒が走った・・・

なんだか言葉では言い表せないような気持ち・・・

これを開けるといつもの日常には戻れなくなるそんな気持ち・・・

『アリス症候群』を思い出させる視界の感覚・・・


ガチャリと音を立てて玄関のドアを開けた。







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