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3.in the end,we dare to runaway.―2


「!?」

 言葉に、条件反射で視線を送った坂月。一瞬の内の光景。襟詰の制服の腰にぶら下げられる、『銃』を見つけた。

 それを見て、思う。そもそも何故、殺さず、同行なのか。エラーなんて未知の何かを作り上げ、未来を予知するという異質な能力を持つ異端者を、生かし、連行する理由は見つからなくもない。だが、世界が滅ぶかもしれないという状況で、原因たる彼等を殺さない道理はない。殺して、脅して、全てを白状でもさせればよい。全滅でもさせればよい。そうすれば、解明するかもしれないし、最悪、次の目標ターゲットに移る事も出来るだろう。

「ッ!!」

 坂月は目覚めたユイナを一瞬手放し、転がるようにしてDF連中に飛びついた。それはもう、無我夢中で、考えなんてなかった。ただ、坂月は飛びついたのだ。

「おぉ!?」

 突然の出来事に、訓練に訓練を積んだDF連中も反応しきれなかったか、坂月の突撃を素直に受止め、転がってしまった。

 即座に他の二人が転がり、がんじがらめになった坂月とDFメンバーを助けようとするが、その足は抑止された。

「動くなよ!」

 そう叫んだのは坂月だ。そして、その右手には――銃が握られている。

 当然、撃ち方も大して分かりはしない。だが、それでも、力になった。

 坂月はDFの上に馬乗りになった状態からゆっくりと立ち上がり、空いた左手でユイナを手招きして近くに導く。当然、そこにDFの手が伸びようとするが、坂月の牽制で動きは止められる。

 どうやら、DF連中は、二人を殺す気がないらしい。その証拠が、今の事情だ。二人とも銃を手にし、坂月を脅せばよいというのに、そうしない。訓練されたDF連中はそれくらいの判断が出来るはずだ。だが、そうしない。故に、そうと考えられる。

 坂月はユイナを手元に手繰り寄せるように肩を抱くと、一緒に、数歩下がる。

 そして、ユイナにだけに聞こえるように小声で、呟く様に言う。

「助かった」

 対してユイナは首を振るって、言う。

「ううん。助けられたのは、私」

 そして視線は上がる。

「下がれ」

 勢いのままに坂月は吐き出すように言う。と、坂月から銃を奪われたDFの一人がゆっくりと下がりだす。そうして、DF連中は三人、並んだ。

 場の雰囲気は当然、騒然とした。野次馬連中は喧騒を生み出し始め、辺りの雰囲気は異質で、不気味な物となっていた。

 DF連中の動きを見張りながら、坂月とユイナは下がり始める。すると、野次馬連中は坂月の持つ銃に恐れを成して自ずと二人の退路を開いてしまう。

 そうだ、それでいい。緊迫した状況の中で、考えが上手くまとまらない程に興奮してしまっている中で、それでも、坂月は場が上手く動いてくれた事に感謝した。

 野次馬が作った退路を完全に出たところで、坂月は右手に構えていた銃をDF連中から僅かに離れた位置へと放り投げた。カラン、と音を発てて数回バウンドした銃は近未来化され、軽量化された感覚をその場に伝えた。

 そして、無数の視線を無視して、坂月達は即座に走り出した。今度もまた、坂月が先導するが、先程以上の心配はなかったのだった。




    2




 恐ろしい光景が坂月達を襲った。戦車が出動し、DFの追っ手の数も恐ろしいまでに増した。

 そんな逃走劇をアカシック・チャイルドの能力でぬらりくらりとなんとかかわしながら、坂月達はなんとか逃げ続けていた。それで分かったのは一つの事実。追っ手側にアカシック・チャイルドはいない、という事。だが、そんな事実は今の坂月達には大した事ではない。

 暫く逃げ続け、暫くの時間、休息の時間が取れると、二人は町外れの廃墟でやっとの休憩を得た。

「今のうちだよ。予知アクセスしようか」

 呼吸も落ち着かないまま、ユイナは言う。ユイナもまた、焦っている様だ。どうしてか、坂月は分からない。だが、確かにソレを感じ取った坂月は、素直に頷く。そして、瞼を閉じる。

「始める」

 そう言って、坂月は集中した。

(…………、)

 すると、だ。

「ッ!!」

 坂月は一秒経たない内に、目を覚ました。

(早い……!!)

 ユイナはそのあまりの速さに驚愕するが、坂月本人は、その異常さに気付いていないようだった。それよりも、と言った具合に、坂月は目を見開き、驚愕の表情を浮かべてユイナと向かい合う。

 そして、宣告するように言った。

「これから、マジでヤバい事になるじゃねぇか……!」

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