表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
26/26

8.epilogue.




8.epilogue.




 戦争を見た。スキルと呼ばれる魔法紛いの光景を見た。そして、未来を見た。

 

 時に、預言者オラクルと呼ばれる世界最強の力を持った人間がいた。彼は『歳を取らない』という設定がなされたこの世界ディヴァイドで、唯一年を取る人間だった。故に、不自然に思われないために、預言者オラクルは姿を隠し、長い年月を掛けて預言者は秘匿な存在となった。例えるならば殺し屋か。影で暗躍する、力を持つ者。

 そこまでの存在に預言者オラクルがなるには、長い年月を必要とした。歳を取り、死に向かう身体を自らの力で干渉し、若返らせ、預言者オラクルは長い、通常ではありない時間を生きた。生きていた。

 数々の予言を残し、恐ろしい力で革命までをも起こした。預言者オラクルが、この世界にもたらせた影響は数多い。

 預言者オラクルが本名を捨ててから、どれくらいが経っただろうか。余りに長い年月を行き過ぎたか、さすがの彼の能力も、衰えを見せ始めていた。機微なモノだが、衰退の始まりだ、と預言者オラクルは感じていた。ここまで――何百年、何千年と――持っただけ、素晴らしい、と彼は頷くだろう。

 干渉の力による若返りも最期と決めて、預言者オラクルが自身の終焉を決めてから、数十年後。死の直前で、彼は知る。

「来たか……」

「おう」

 預言者オラクルの前に、漆黒の勇者が現れた。勇者の現れ、つまりそれは――世界の終焉の始まり。

 時が、来たのだ。余りに良いタイミングで。最期、と決めた最期の、もう二度とリピートする事のない人生で、預言者オラクルの旧友との約束を果たす時が――。


 別の世界に移動し、その存在が数字の羅列によって組み上げられたただのデータだとしても、預言者オラクルは、『坂月は』、自身を人間だと信じている。ユイナも、ソーサリーも、そして勇者も、その仲間達も。全員が、確かに個々の意思、自我を持つ人間だ、と。

 故に、既に機械に支配された現実を知っても、預言者オラクルは諦めない。

 予知し、助言し、助け舟を出す。ユイナが、そうしたように、今度は彼が、その立場に立つ。


 例えばこんな話。

 ただ強いだけの傭兵が、在り得ない死者に目を付けられ、世界を救う物語を紡ぐ話。

 例えばこんな話。

 ただ強いだけの傭兵が、世界を救う勇者となり、助言を貰う話。

 例えばこんな話し。

 勇者に助言した人間が、過去に、世界の滅びと共に全てを失った話。

 例えばこんな話し。

 勇者に助言した人間が、全てを失って尚、進もうとした勇者の影に隠れたとあるお話。


 人それぞれ、例え、どんな目立たない人間にも、その人生ストーリーがあるのだ。

 

 そして第二の人生ストーリーを、坂月明人は預言者オラクルとして進む。




(完)

伍代ダイチです。最後まで読んでくださった方はありがとうございました。お疲れ様です。

空想科学祭FINAL参加作品、ディラック・アーカイブス。期限ギリギリの完結、申し訳ないです。

SF作品ともいえないような駄作で申し訳ないです。作品の構想を練る時間がなく、実はこの作品は外伝の様な位置につけてあります。ですが、一応、これ単体でも読めるように書いたつもりです。どうでしたでしょうか。

書き直したい気持ちで一杯です。期限内投稿の難しさを痛感したような気がします。

これからも頑張りますので、どうか他の作品もよろしくお願いします。


(跋)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ