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5.A brand new communication.―2


 坂月に、ソーサリーの今の説明は理解不能だった。当然である。他国後で真意を伝えられたも同然、坂月には理解できない。

 はぁ、と嘆息を蒔いて、坂月は「よし」と自身を奮い立たせる。覚悟し、必要以上に辺りを確認し、ユイナを僅かに越えて、坂月はソーサリーに上体を近づけて、囁くような声で言う。

「ちょっと話し、聞いて貰ってもいいか?」

 坂月の怪訝そうな表情にソーサリーは思わず首を傾げるが、拒否の色は見せなかった。僅かな時間を置いて、首肯。「何だ?」

 承諾を得た坂月は再び辺りを確認して、視線を戻し、言う。

「ソーサリー、お前、予知アクセスにどれくらい時間がかかる?」

「俺は遅いからな。一つ見るのに十分は掛かる。自宅に篭ってでもなきゃできない。……それがどうした?」

 答えは早かった。ソーサリーの答えに坂月は一瞬の考える様な間を空けて、問い直す。

「一瞬で終わる事なんてないよな?」

 坂月の突然な問いに、ソーサリーは思わず眉を顰めて顔を近づけた。「何を言っているんだ。一瞬で予知アクセスを終える人間の話しなんて聞いた事がない」

「だよな」

「あぁ、そうだ」

「…………、」

 二人の顔はその間を三センチ程しかあけていない。そんな間に沈黙が数十秒。互いに赤面でもしそうなモノだが、二人はそれぞれ思う事に集中しているのか、そんな事にはならなかった。

 暫くして、坂月が視線をソーサリーへと確かに突きつけて、言う。

「俺、予知アクセスが一瞬で出来るみたいなんだ」

 ユイナへと聞く前に、すぐに問う事の出来るアカシック・チャイルドであるソーサリーへと、坂月は告白し、問うたのだった。

「……、何を言ってるんだ」

 更に眉を顰め、ソーサリーは近づけて顔を引いて、強めの声色で押し付けた。だが、坂月は怯む素振りも見せない。

「本当なんだ」そう言って、先程、あった事を覚えてる限り正確に、ソーサリーに説明した。そんな信じられるようで信じられない坂月の告白を聞いたソーサリーは視線を落として、手を顎に沿添え、考えるようにブツブツと何かを呟き始めた。

 頭上にクエスチョンマークでも浮かびそうな表情で坂月は首を傾げてソーサリーの返事を待った。そして、

「会って間もないが、嘘を付くタイミングでもないしな……」

 そう言って、ソーサリーは提案した。「俺が今から言う情報を予知アクセスして検索してくれ。それで、判断しよう。そのほうが確かだ」

 ソーサリーの提案に坂月は素直に頷く。そうして、あっという間の時間が過ぎた。




「……本当に、一瞬、だな」

 ソーサリーは思わず目を見開いて、驚愕を口にした。

 たった今、ソーサリーは坂月の予知アクセスを見た。それは本当に一瞬だったのだ。目を閉じた次の瞬間には、目を開けて現実へと意識を戻したのだ。

「やっぱり……。なぁ、これって……?」

 坂月の弱々しい問いにソーサリーはしっかりと首肯。そして、力強い、確信を得た声色で落す。

「異常だ。こんな事例は見た事も聞いた事もない。勿論、予知アクセスで情報を得た事もない」続けて、「ついでに言えば、俺がクラックで得たリストにも、お前についてそこまで書いて等いなかった。これだけ異常であれば何か一つでも記述が在って良いモノだろうが……」

「うーん……」

 複雑な何かが坂月の心中で渦巻いて血のように張り付いていた。ただ、今まで適当に生きてきただけの人間が、漫画や小説の主人公の如く異質で、強力な能力を得てよいのか、と思わず頭を抱えてしまいそうになる。

 そんなこんなで時間はあっという間に過ぎ、出発から大よそ一時間後。三人を乗せた飛行機は目的の国の空港へとタイヤを下ろしたのだった。

 まだ、ユイナは目を覚まさない。



   5




 して、アルファから離れたガンマという国へ無事到着した三人。ユイナは未だ目を覚まさないため、坂月が背負い、飛行機を出たのだ。

 空港を歩く二人と未だ意識の戻らない一人。

 とりあえずどうするか、と坂月が問うて、ソーサリーが、とりあえず空港から出よう、と提案した事でとりあえず空港の出口を目指す事となる。

 だが、その時だった。未だユイナが目覚めないこの悪いタイミングで、『彼等』は現れた。 

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