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――そうか、異世界転生したんだったら魔法が使えるのかもしれない。


しかし、魔力とはなんぞや。

まあ、試しに魔力ってやつを感じてみようと、

何となく呼吸を整えてみた。

ヨガの呼吸法プラナヤーマを意識してやってみると、

胸の奥からバクバクといつもと違う、けれど、何かの流れを感じた。

いつもはただのリラックス法だけど、今日は胸の奥がバクバクと――


うん、明らかに違う。

血管の奥が熱いような。

初めて感じる、

これ、絶対普通じゃない。


魔力ってものが全然わからないけど、なんか全身の血管をドバァって何かが吹き出てくるような。

すごい。すごい感じのやつ。語彙力死んでるけど。

でも使い方が全然わからない。


「目指せ!自称異世界チート魔法使い、49歳だ!」


と、自嘲気味に口に出してみる。

まさかアラフィフのままで、老眼で、腰痛持ちで、異世界に立っているなんて。


「......まぁ、どうにかするしかないか。なるようになれってやつだよね。」


そうと腹を括ったならとりあえず、衣食住の確保だ。

元来が、我が道を行くポジティブシンキングの持ち主である。


死ぬときはどぶの中でも前のめりってね。

......いや、どぶの中ならさすがに仰向けがいいかな。


ありがたいことに太陽はまだ結構高い位置にいるから、

暗くなる前に夜を過ごす場所を決めるのが先決かな。

そのあとは、食材を探さないと。人はこの辺に住んでないのかな。

あれこれと、頭の中で考えながらなんとなく拓けていそうな場所を目指して歩きだしてみる。

あ、そういえば裸足だった。でも意外と痛くない。

この森の土壌優しすぎる。

時々、犬モンたちに「いい隠れ家知らない?ここ掘れワンワン的なことできる?」などと話しかけて歩くこと、体感として1時間くらいか。


「あ、ここ空気がおいしくて気持ちがいい!」


なんかいい感じの場所に出た。

ちょっと小高くなった丘で、近くに小川が流れていて、

透き通った水がキラキラと光っていて現実世界じゃ見たことないくらい澄んでいる。

昔から、こういう場所に丸太のログハウスを建てて、ウッドデッキがあって、

家をぐるっと囲むように柵で囲んで、ドッグランが併設されている家に住みたかったんだよね、私。


そうだった。

ここは異世界で、多分魔法が使えて、私はチートな主人公。(多分)


やってみようかな。


魔法なんて要はイメージ。

イメージを具現化するだけ。

……そうだ、私は妄想を生きがいにしてきたような女。

想像力なら自信ありだ!伊達に長年生きちゃいないし!


「よし......いくぞ……私の長年の夢……!」


私は丘の上で仁王立ちになり、胸いっぱいに異世界の空気を吸い込んだ。

小川がキラキラしてるし、風はサラサラしてるし、

なんかもう背景が完全に“主人公補正”かかってる。


ぶっちゃけ、行ける気しかしない。


「魔法なんてイメージ!イメージを具現化するだけ!

いける、私ならいける......!」


そして、私は天に向かって両手を突き上げた。

胸の奥の何かがドクンと跳ねた。


「ミサヲホーム!!」


......その瞬間。


大地がブルッと震えた。

小川の水面がビクッと跳ねた。

鳥が「えっ、ちょっと」みたいな顔で飛び立った。


そして——

ドォォォォン!!

地面から巨大な丸太がロケットみたいに飛び出してきた。

「え、、ちょっ、待っ、勢い強くない!?

私そんなに“ログハウス建てたい熱”出してた!?」


もちろん出ていた。積年の願いが。

恐ろしいほどに。


丸太たちは勝手に空中で整列し、

「はいはい、ログハウスね、了解了解。かしこまりましたかしこ~」

みたいなノリで組み上がり始める。

カンッ、カンッ、カンッ!

木槌を打つような音まで聞こえてくる。


(いや、大工さんいないのに何の音よ!)


「あの、ウッドデッキも......お願いしようかな......?」


控えめに言ったつもりなのに、

地面がまたブルッと震えた。

ズザザザザッ!!

家の周りをぐるっと囲むように、

木材が高速スライドしてデッキを形成。


「ちょっ、速い速い速い!

これ施工じゃなくて召喚の速度だよ!?」


なんだか調子に乗ってきて、


「せっかくだし、ドッグランも作っちゃおうかな?」


って、まずは柵を作ろうと思ってたのに、

白い木の柵がビョンッ!ビョンッ!と跳ねながら地面を突き破るように生えてきて、

最終的にやたら立派なドッグランが完成した。

芝生はふっかふか。

広さは......なんか......サッカー場?いや、メンテナンス大変じゃないか?


「いや、私そんなに犬飼う予定ないんだけど!何匹飼えっていうんじゃ!

この広さは規格外すぎるでしょ!」


でも、風が吹くと芝生が波みたいに揺れて、

ちょっと感動してしまった。


辺りを覆う魔法の光がふっと消えると、

そこには私の理想を120%盛ったログハウスが建っていた。


「......いや、すごいけど......

ミサヲホームってそんなに強力な呪文だったの......?」


若干引いている自分がいる。

長年の夢が、ほんとに形になってしまった。


「......まあいっか。異世界補正ってことで!」


ちょっと、色々と思うところはあるけど、

とりあえず、今夜の寝床は確保できたようだ。


みんな、母ちゃん頑張ったよ!





ミサヲでログハウスって。


明日も少し更新します!

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