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――それよりここどこなの?
本当に転生したの?どんな世界線?
......っていうかパンイチならぬ毛イチってなんなの私。
というか本当に転生とかあるのーーーーー!!!!
はい、やっと精神状態がこの場所まで追いついてきました。
やばい。
焦る。
50歳目前にして本気で焦る。
ちょっと一旦落ち着きたい。
深呼吸したけど無理。心臓がドキドキしてる。
そうだ、もふもふ吸わせてください。
そうです、そこのあなたです。
とりあえず、一番近くにいた犬モンに顔を埋めて吸わせてもらった。
はあ、香ばしいこの香り落ち着く......。
――犬モンたちに毛皮をかけてもらい、
なんとか上半身だけは守られたものの――
(いや、これ......下半身どうしよう。
半裸のおばさんとかまじで害悪しかない。人と出会ったらピンチだよ。)
アラフィフの羞恥心、というより危機感が襲ってくる。
そんな私の心を読んだかのように、
一匹の犬モンが「わふっ!」と短く鳴き、
森の奥へダッシュしていった。
「え、どこ行くの?待って!飼い主連れてきますとか無理!人はまだまずいって!」
(数秒がやたら長い。これ心臓に悪いって。)
風が数回周りの木々を撫でて通り過ぎた後――。
さっきの犬モンが戻ってきた。
口に何かをくわえて。
布だ。
いや、服であってくれ。(願望)
うーん、辛うじてワンピースに見えなくもない。
「え、ちょっと......これ、私に?」
犬モンはドヤ顔で尻尾をぶんぶん振る。
完全に「母ちゃん。これだろ、これが欲しいんだろ。」の顔。気のせいかもしれないけど。
広げてみると、膝上15センチ。
もう長年マキシ丈だったから逆に新鮮というか、いやかなり恥ずかしい。
ところどころ破れているけど、
ダメージ系だと思えば......まあ、いける。
「......ありがとう。ありがとう犬モン!私、犯罪者になるところだったよ......」
テンションがバグって思わず涙ぐむ私に、
犬モンたちは「わふわふ!」と任務完了とばかりに誇らしげに吠えた。
(いや、あなたたち......天使過ぎるでしょ?)
服を着てみると、ちょっとだいぶ丈が短いけど、
毛皮よりは断然文明的だ。
転生の神様は雑だったけど......犬モンは優秀すぎる。
本当に感謝しかない。
っていうか、何度も言うけどこれ異世界転生確定ですか?
どっきりチャンピオンとかじゃないよね?
優勝でいいから、タッタラ~って看板もって誰か来て!お願い!!
タッタラ〜、は無しよ。
毛イチはヤバいね。




