【連載版•後日譚】完璧な婚約者ですか? そんな人より私は地味な従者を愛しています
こちらは【連載版】完璧な婚約者ですか? そんな人より私は地味な従者を愛しています。の最終話以降の後日譚となります。
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〜①継承されたノイズ〜
ボクの名前は、ルーク・ジュニア、七歳。
父上と母上の愛の契約によって、公爵家は『ノイズを排除しない、最も確かな安定』という奇妙な秩序を維持している。
しかし、その秩序の中で、ボクは『次期公爵としての育成マニュアル』に従い、極めて論理的に育てられた。
「ジュニア、貴方の今日の『クレヨンによる感情的支出』は、『父上の書類への加筆』に限定し、『家具への加筆』は『財産への無駄な減価償却リスク』が発生するため、厳禁と言わざるとえません」
父上、ルーク公爵は、今も丸メガネと地味なグレーの制服を着用し、ボクの行動を『データ』として記録している。
ボクは父上の前では、常に冷静で完璧な後継者を演じているが、母上、アメリア公爵夫人から受け継いだ、『予測不能なノイズのDNA』が激しく脈を打っている。
ある日の朝。
ボクは、父上の『業務遂行マニュアル(最新版)』を借りて、自分の将来の計画を練っていた。
ジュニアの計画書より抜粋:
• 項目1: 朝食のメニューは栄養価とカロリー効率を重視する(感情的嗜好による選定は厳禁)。
• 項目5: 一日の『ノイズ』発生源は母の『予測不能な抱擁』のみに限定する。
ボクはマニュアルに則り、完璧な朝食を摂ろうと食堂へ向かった。しかし廊下で母上に鉢合わせする。
「ジュニア、おはよう! 今日は『朝の愛情注入業務』の時間よ!」
母上はそう言うと、ボクを力強く抱きしめた。
それはボクの『完璧な業務』を妨害する、予測不能なノイズだ。
抱擁から解放された瞬間、ボクの丸メガネのフレームが歪んでいた。そして制服のポケットから、昨日、父上に報告書を提出する予定だった『領地農業の生産性向上レポート』が、ぐしゃぐしゃの状態で飛び出した。
「あ、あわわ……ごめんなさい! ジュニア、パパの大事な書類がママの『過剰な愛情業務』でぐしゃぐしゃになってしまったわ!」
母上はすぐに謝罪するが、ボクは父上の視点からこの事態を分析する。
――『業務上の損害』は発生したが、『母の愛情というノイズ』は、僕にとって『最も必要な栄養素』である。
『項目101』の適用により、損害はゼロと判断。
ぐしゃぐしゃの書類を拾い上げ、母上に向けて、父上そっくりの地味で事務的な微笑みを向けた。
「母上の『感情的貢献度』は最高評価です。ただし、『書類の耐久性向上に関する業務改善案』を本日中に提出してください」
ボクは完全に二人の血を受け継いでいる。
〜②公爵家の末っ子と『論理の限界』〜
父上の完璧な論理と母上譲りのノイズは、学園でも発揮されることになる。
ボクは学園の成績で常にトップだった。
しかし体育の時間では、『予測不能な動き』を繰り返し、チームの『非効率な敗北』を招く、『最悪のチームメイト』でもあった。
ある日、ボクは友人の『恋愛相談』を受けた。
「ジュニア、オレ、隣のクラスのミリーに告白したいんだ。成功率はどれくらいか、データを出してくれないか?」
ボクはすぐに彼の過去の行動、ミリーの趣味、そして二人の性格の類似度などを分析した。
「論理的に判断します。貴方の告白の成功率は、15%です。『感情的動揺』による失敗リスクが高すぎるため、告白は『延期』が最善の業務遂行です」
友人はボクの冷静な分析に深く落ち込んだ。
――ボクの分析は正確だ。予測に従えば彼は傷つかずに済む。
その時、ボクの頭の中に父上の『業務遂行マニュアル』にはない、母上の言葉が響いた。
『ルーク様、愛とは予測不能なリスクを自らの意志で引き受ける最も確かな契約です』
友人の顔を見た。
彼の目には、かつて父上がマリアンヌ嬢に立ち向かったときと同じ『感情というノイズ』に満ちた熱情があった。
ボクはマニュアルを閉じると、父上が決して口にしないマニュアル外の言葉を友人に告げる。
「成功率は15%です。しかし、『失敗のリスク』は『感情というノイズを生涯の情熱に変換する』ための『初期投資』になり得ます。成功率が低くとも『自分の意志』を最優先するべきです。それがボクの『公爵家後継者としての最終助言』です」
友人は感情的な助言に驚きながらも、勇気を得て告白に向かっていった。
結果は『失敗』。
でも彼は涙を流しながらも『自分の選択』に満足していた。
ボクは、その光景を見て確信する。
『ノイズ』とは単なる業務妨害ではない。それは、『人生を豊かにする最も大切な資産』であり、『感情を排除した論理』だけでは決して到達できない『愛の真髄』であると。
父上の『完璧な公爵家』の規定と、母上の『予測不能な愛』というノイズを融合させ、『ルーク・ジュニアの新しい業務遂行計画』は頭の中で静かに構築する。
ルーク・ジュニアの物語は両親の愛の結晶として、『感情と論理の融合』をテーマに希望に満ちた未来が待っているに違いない。
〜完〜
最後まで読んでいただきありがとうございました!!
親子三代に渡る話を書いてみたいと思い、執筆を書き溜めておりました。無事に終わりホッとする今日この頃ですが、最後にみなさまにお願いです!
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それではまた( ´∀`)ノ




