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寝取られRPGゲームに転生ました〜NTRフラグをへし折り、推しカプのハッピーエンドを目指します!  作者: ましかり


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ポーション作りと新たな挑戦

一話更新

 宿に到着したレジナルドたちは、自分たちが借りる部屋へと戻った。村を出るときに準備した彼女の荷物は、関所へ向かう際に持ち出しておいたため、ポーション作りに必要な道具はひと通り揃っている。


「今更だけど、ポーション作成って部屋を汚さないのか? 汚しすぎると最後に清掃費とか修繕費とか取られる可能性があるぞ」


「下級と中級のポーションなら大丈夫よ。匂いが強すぎる材料も使わないし、作業時間も長くないから、最後にちゃんと換気すれば匂いが染み付いてしまうこともないわ。本格的な調薬をするなら私の実家みたいな作業室が必要になるけど」


 アデラが丸テーブルの上に道具を並べていき、それをロニは興味深そうに見つめる。ごく普通の農家生まれの彼女はポーション作成の道具を見たことがないが、すり鉢のような一部使ったことのある道具も含まれているのを知り、少し安心感を覚える。


「やっぱり作業室、欲しいよなぁ。俺も錬金具を作る時にあった方が都合が良いし」


「なら将来、家を買う時はそうしましょ。大きな家が必要になるからたくさん稼がないといけないわね」


「お金はあるに越したことはないしな。……俺は邪魔にならないよう見てるから、気にせず頑張ってくれ」


 アデラとロニの邪魔にならず、しかし何をしているのか手元がはっきり見える場所にレジナルドが座る。ひと通りの工程を見ておけば、後で再現できるだろうという意図があった。


「それじゃあロニちゃん。早速ポーションを作ってみましょう」


「よ、よろしくお願いします……!」


「そんなに緊張しなくても大丈夫よ。ポーション作りはレシピ通りにすれば大失敗なんてしないから。お菓子作りのようなものよ」


「……そう、なんですか?」


「ええ。もっと肩の力を抜いてやりましょう。まずは下級のレッドポーションからね。お手本をみせるわ」


 レシピ通り、お菓子作り、という耳馴染みのある言葉にロニが目を瞬かせる。彼女の緊張する様子は、自分が初めてポーション作りに取り組んだ時にそっくりで、父母も同じような気持ちだったのかもしれないと笑みを浮かべる。


 アデラがロニの前に置いたのは円錐の形をした器具で、その中には青い石が入っている。円錐の頂点には小さな穴があり、どう見ても石のが大きく、どうやって石を中に入れたのかわからない作りをしていた。


「これはポーションのベースになる液体が固形になったものなの。魔力を込めると液体に戻るんだけど、込める魔力の強さで濃度が変わるから、作るポーションに適した強さにする必要があるわ。下級だと、これくらいで」


 真剣な眼差しでアデラの作業を見つめるロニの前で、器具内に薄い青色のベース液がゆっくりと満たされていく。


 そのあいだに赤い葉の薬草を細かくちぎり、すり鉢ですり潰す。それをベース液と共にフラスコに入れ、火をつけたアルコールランプの上で加熱していく。


「薬草とベース液の比率も大切ね。ベース液には薬草の力を引き出す作用があるから、多すぎても少なすぎても駄目なのよ。加熱中はこうやって魔力を注ぐ……これもベース液を作る時と同じくらいね」


「……ポーション作成ってたくさん魔力を使うんですね」


「そうね。だから薬師になる人は魔力の量に自信がある人が多いわ。魔力さえあれば属性魔法の素質がなくてもなれるから、ロニちゃんもなれると思うわよ」


「私が、薬師に……」


 信じられないと言いたげにロニは首を横に振るが、彼女を見つめるアデラの眼差しは温かい。剣乙女に覚醒してから、彼女はシルトやロニの魔力の保有量を何となく察せるようになっていた。


 アデラはシルトが剣乙女の祖たる『原初の白』だと知らない。だが彼女から感じる魔力の質は高く、本能的に格の違いを感じている。


 しかしロニの格は自分に近しく、そのお陰か彼女の保有する魔力の量もなんとなく感じる事が出来た。高価な物ほど作成に魔力を大量に使うが、ロニの魔力量なら余裕をもって作れると断言できる。


 農作物を作るのも必要な仕事だ。しかしロニほどの魔力があって、それを活かすこと無く一般人として生きていくのは勿体ないと感じたがゆえに、アデラはロニにお手伝いを頼んだのだ。


 とはいえ、答えが直ぐに出るような話ではない。アデラは彼女の前で作業を続ける。


「沸騰したら布で濾す。これはポーションに薬草の葉が入らないようにするためね。後は冷まして、ポーション専用のガラス容器に移し、専用のコルクで蓋をする。ちゃんと規格のサイズがあるから、このあたりの物は薬師で買うのがいいわね。……はい、これで完成。どう? 下級ポーションはそんなに時間がかからないでしょう?」


「……はい、思っていたより短かったです。でも、魔力の使い方が、ずっと難しそうでした……」


 ロニの魔力を扱う技術は素人同然である。


 剣乙女だとバレないよう、一般人として生きてきた彼女に訓練の経験などあるはずもなく、アシホルの元では虚ろのまま本能に任せて剣乙女の力を振るっていただけ。


 精密な操作など一度も経験がなく、それゆえにアデラが息を吸うかのごとくポーションを作るのを見て、ますます尊敬の念が強まる。同時に自分なんかが本当に薬師になれる可能性があるのだろうかと疑ってしまう。


「初めから上手くできる人なんていないわよ。私だって、これを何個も駄目にしたわ」


「アデラさんも、ですか……?」


「ええ。レジナルドだってたくさん失敗しているはずよ」


 ベース液を作る機材を軽く小突きながらレジナルドに話を振れば、彼も隠すこと無く頷く。


「失敗は数え切れないよ。だから成功するまで失敗を繰り返して練習するんだ。失敗は成功の母、と言う人もいるぐらいだしね」


「失敗は成功の母……いい言葉ね、それ」


 レジナルドの脳裏に思い浮かぶのは、『麻痺』の札を作るまでの試行錯誤。とにかく試行回数を多くし、自分が信頼できると思うまで作り続けた記憶は、辛くもあったが楽しくもあった。


 つい転生前に知った偉人の言葉を口にしてしまったが、アデラは納得するように頷き、ロニもまた心に刻むよう頷いている。心の中で偉人に謝りつつも、彼女たちに響いたのなら良かったと彼は思う。


「ベース液の石は値段も安くて練習によく使われているの。ロニちゃんさえ良ければ、薬草をすり潰すだけじゃなくてこっちもやってみない?」


「……はい。是非、お願いします……!」


 はっきりと頷くロニの前向きな姿勢に、レジナルドとアデラは微笑んだ。


 彼女はもう虚ろな瞳で、言われるがままに力を使う女の子ではない。新しく明るい未来に瞳を輝かせることができる女の子なのだ。

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