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寝取られRPGゲームに転生ました〜NTRフラグをへし折り、推しカプのハッピーエンドを目指します!  作者: ましかり


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VS誘拐犯

一話更新

 お互いの姿を視界に映した彼らは同時に駆け寄り、抱きしめ合う。軽鎧の肌触りが悪いとか、下着姿のままだとか、そんな細かいことを気にせず、ただただ無事を喜ぶ抱擁だった。


「良かった。見つける事ができて……。自分で逃げようとしていたのか?」


「ええ。運良く薬を取り上げられてなかったから。レジナルドが助けに来てくれるまで何処かに隠れていようと思って」


「夜に外に出るのは危ないからな。それで正解。さっさと逃げよう。アデラは服を着てくれ」


「りょーかい! ならもうメイド服は要らないわね」


 ぱっと離れたアデラが、脱ぎ捨ててあったワンピースを身にまとう。無事な姿を見ることが出来た安心からか、少しだけ余裕の生まれた心が彼女のメイド姿を惜しいと感じてしまう。


 それは本当に些細な落胆で、はたから見ればわからないはずだが、アデラは彼の気落ちに気が付き。


「ふぅ〜ん、メイド服、好きなんだ?」


「……なんのことかなー」


「うふふっ、また今度、ね?」


「まぁ、うん。この話は後にしよう」


 誤魔化すように咳払いをするレジナルドが、着替えを終えて頷く彼女の手を取る。きゅっと握り返してくる温かな手を左手で握り返し、右手の冷たい槍をいつでも牽制に向けられるよう握り直して部屋を出る。


 誰にも遭遇する事なく廊下を走り抜けた先、一階へ下りる階段の有るホールで、彼らは兵士二人と魔法使い一人の一団と鉢合わせをしてしまう。


 レジナルドにはわからないが、眠らされる前に顔を見たアデラは、その一団が宿で自分を攫った者たちだとすぐにわかった。


「この人たちが誘拐犯よ!」


 アデラを守るように背中に隠すレジナルドの前で、魔法使いの男がニヤリと笑う。


「見ろ。やはり俺の言った通りだろう。地下が陽動で、目的は女を奪い返すことだとな」


「流石はアシホレ様!」


「その智謀の素晴らしきこと。お父上も鼻が高いことでしょう」


「そうだろうそうだろう……おい男。よくもこんな騒ぎを起こしてくれたな?」


「原因はそちらだろう。俺の妻を攫っておいてよく言うものだ」


 威圧的な態度で睨みつけてくる魔法使いにレジナルドが睨み返す。下っ端の兵士たちの口ぶりから彼が貴族で、関所の責任者の血族だとわかるが、ここまでくればもう誰が立ち塞がろうと関係ない。


 投降しても、敗北し捕まっても、結末は同じだろう。こんな大ごとを起こした平民は死罪以外ありえない。であれば気に入らないあいてにへりくだる必要もないのだ。


「無礼な男だ。身の程を知らんとみえる。貴様のような凡愚に勿体ない女だとわからんのか? 貴種の情けをくれてやろうというのだから、黙って女を差し出していればよいものをーー」


「言いたいことはそれだけか? ならば退けっ!」


 時間は敵の味方。そう判断するレジナルドは〈身体能力上昇〉の魔法を己にかけ、話の途中にもかかわらず猛然と前に出る。


 貴族という身分に守られ、ろくに反抗されたことのない魔法使いの男、アシホレの反応は鈍く驚いた表情で身体をのけぞらせてしまうも、彼のお付きの兵士二人がレジナルドの前に立ちふさがった。


「無礼者めっ!」


「アシホレ様! この男に目にもの見せてやってください!」


 性根は腐っていても貴族の付き人をしているだけあり、兵士の片割れはなんとかレジナルドの鋭い突きをいなし、横払いを槍で受け止める。


 その隙をつくように、もう一人の兵士がレジナルドに突きを放つも、容易く防がれるどころか直ぐに反撃され、慌てて防御する有り様だ。


 レジナルドと兵士二人。槍の腕の差は歴然であり2対1でなんとか持ちこたえているという様子で、このままアシホレが加勢しなくては兵士たちが負けるという事態が想像できるほど、レジナルドが優勢であった。


 速く、鋭く、隙らしい隙の見当たらない立ち居振る舞いは、アシホレに自分の魔法が当たらないのではと思わせる凄みがあり、兵士と戦いながらも一挙一動を探られている感覚に背筋が凍る。


(なんだこの男はっ!? いや、待て。くくっ、ならば避けられないようにすればよいのだ!)


 あくどく笑う彼が杖を向ける先はレジナルドなのだが、魔法を放つ際にセオリーとされる狙う目標の中央を向いていない。


 そう。彼の狙いはレジナルドではなかった。


 レジナルドの背に庇われているアデラ。これかれ放つ魔法を避ければ彼女に当たるという射線を選択したのである。


「避けてくれるなよぉ、男ぉ!」


「レジナルドっ! 魔法使いがっ!」


 意図を察し、目を見開くレジナルドの前で、アシホレは己の才能を惜しげもなく披露する。


 彼の持つ属性魔法の素質は〈風〉。その中でも更に才能のある者しか扱えない〈雷〉という希少な属性魔法を現すよう、杖の先に黄金色が集まった。


 避ければアデラに命中するとわかっていて、レジナルドに避けるという選択肢はない。来たる衝撃に備え、自分を射抜こうとする輝きを見据える。


「雷による裁きを受けるがいい! 〈ライトニング〉」


「が、あぁ……っ」


「レジナルド!!」


 杖から放たれる雷は、一瞬でレジナルドに着弾し、その身を焼く。〈身体能力上昇〉のお陰で生身よりマシだが、身体の表面だけでなく内側も焼く雷に、彼の口から苦悶の声が上がる。


 身体を硬直させるレジナルドの反応を前に、アシホレの口が弧を描き、その隙を待っていたとばかりに兵士二人が踊りかかった。


(勝ったぞ!!)


 アシホレは知っている。雷属性が戦士殺しと言われている理由を。雷に打たれた戦士は、身体が痺れてしまい正常に動けなくなると。


 動けないどころか武器すら持てない戦士など、なんの脅威にもならない。後は下っ端兵士たちが取り押さえるのを眺めているだけだと、そう思い嗤う。


 しかし、鮮血を撒き散らしたのはレジナルドでなく兵士たちだった。


 雑に飛びかかった隙をつくように、レジナルドは痺れを感じさせない、雷が命中する前と同じ鋭さで槍を突き出し、軽鎧の隙間かつ槍を持つ兵士たちの利き腕側の肩を刺したのだ。


「「ぎゃああぁぁっ!?」」


 槍を落とし、床に両膝をつく兵士たちの頭部を、レジナルドが容赦無く槍の柄で殴り倒す。苦しむ彼らを横目に、アシホレに向かい更に前へ。


「馬鹿なっ!? 何故動ける!? 効いているはずだ!!」


 レジナルドの命中した部位は、軽鎧が壊れ、下の肌が黒く焼け焦げていた。致命傷とは言えないが、ダメージは確実で、身体が痺れていないはずのない酷い痕にもかかわらず、彼はまともに動いている。


 正しくは無理やり動かしているのだが、アシホレにはそれがわからない。レジナルドは正常に動かない身体を、魔力で補強し、固め、操っているのだ。


 言うなれば〈身体能力上昇〉から派生した新たな魔法〈身体操作〉。筋肉のスジが痺れようが、千切れようが、強引に戦い続ける泥臭さの極みのような魔法である。


「ーーっ!!」


「ひっ、うごぉ!?」


 痺れているため言葉を発せないまま、レジナルドの槍がアシホレの頬を殴打する。無様に吹っ飛んだ彼は、そのまま壁に激突し、尻を突き出すという情けない格好で床にずり落ちた。


 意識を失ったのかピクリとも動かない彼へ、念押しとばかりに『麻痺』の札を尻に貼る。ビクンビクンと震える様を見て、ようやく溜飲を下げるレジナルドにアデラが駆け寄る。


「っ、酷い怪我……手当てをしないと」


「いや、そんな暇は無さそうだよ」


 支えようとするアデラの肩を押さえたレジナルドの視線の先。一階から階段を登ってくる三つの足音を聞き、彼は警戒を強めのだった。

ボスラッシュ

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