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寝取られRPGゲームに転生ました〜NTRフラグをへし折り、推しカプのハッピーエンドを目指します!  作者: ましかり


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誘拐

 不穏な噂がある関所を通り王都へ向かうのか? という話し合いは、すんなりと決着がついた。闘技大会へ出たいと思うカイト本人が、サリーナやアデラ、シルトが危ない目に合うのを許せず、一度村へ帰ろうと言ったからだ。


「もしかしたら闘技大会が始まる前にまともに戻るかもしれないだろ? 俺とレジナルドだけこの村で待機して、問題が解決したらサリーナたちを迎えに戻ろう。もし参加に間に合いそうなら参加して、駄目なら諦めればいいだけだしな」


「そうだね。闘技大会に参加できなくてもいいなら急ぐ必要もないし、関所が安全になってから王都に向かえばいいかな」


 原作ゲームにおいて闘技大会はカイトが勇者として名を挙げるために必要なイベントだ。しかし、レジナルドの目的は推しカップルを守ることで、原作通りにすることではない。


 シルトの時は、彼女の不在が大きな戦力ダウンに繋がるため出会いまで誘導した。闘技大会の名声が無くなるのは大きな影響が出ると考えられるが、それよりもカイトの思いがレジナルドの中では優先される。


「私も賛成。闘技大会は残念だけど、せっかく教えてくれたんだし、わざわざ危ないところを通りたくないもん」


「そうですね。噂が本当だったら何をされるかわかりません。カイトさんが良ければ私たちは助かります」


 サリーナやアデラのホッとする様子を見て、その判断は正しかったと彼らは感じた。


 そうと決まれば後は警告通りに女性陣が宿から出ないようにすれば良い。買い出しにはカイトかレジナルドのどちらかが出て、夕食を宿の食堂で食べる。


「お手洗いに行ってから戻ります」


「わかった。先に行ってるね」


 食事を終え、部屋に戻る前にアデラが離れる。彼女だけでなくカイトたちも思い込みがあったのだ。建物の外に出なければ危険は無いのだと。


 レジナルドですら関所に行かなければ大丈夫だと思っていた。原作でこの村で起こるイベントはないのだからと。原作ゲーム通りに進むはずがないと理解したつもりで、本当の意味で理解出来ていなかったのだ。


「……アデラ、遅くない?」


「俺、見てくる」


 暫く経つがアデラは部屋に戻って来ない。まさかという思いが湧き上がり、レジナルドは勢いよく立ち上がると部屋を飛び出す。


 廊下を走り、トイレにたどり着くも人の気配は無い。その足で食堂へと向かう途中、彼は宿の奥さんが入り口にあるカウンターにつっ伏しているのを見つける。


 おかしいと感じ近づくと彼女は寝息を立てているのがわかる。カウンターには書きかけのメモだけでなく、倒れたカップから水がこぼれており、レジナルドには急に眠りカップを倒した光景にしか見えなかった。


「あの、大丈夫ですか!? 何かあったんですか!?」


「ん、あ……っ、私……はっ!?」


 大声で語りかけながら肩を揺らすと、彼女がゆっくりと意識を取り戻す。しかしある程度覚醒したところで肩を跳ねさせ、椅子を倒す勢いで立ち上がる。


 そして直ぐ側に居たのがレジナルドだとわかると、彼女はとても慌てた様子で彼に掴みかかった。


「アンタ、アデラちゃんたちは無事かい!? 関所の連中が突然宿に来て、奥に入ろうとしたから止めようとしたけど、眠らされてしまったみたいなんだよぉ!」


「っ! アデラがいないんです……」


「ああ、なんてことだい……」


 レジナルドたちは知らないが、村に到着し宿へ入った後、えらい美人が来たと村中で噂になっていた。それを耳にした村人の中に、関所から甘い汁を吸っている者がおり、噂を関所の者に伝えたのである。


 女好きの貴族が話を聞けば連れて来るよう命じるのは当然のことで。関所の兵士は同僚の魔法使いを引き連れ宿を訪れると、逆らいそうな宿の女将に眠りの魔法をかけた。


 そして偶然にもトイレから出てきたアデラがひとりなのを良い事に、眠りの魔法をかけて連れ去ったのだ。


 レジナルドが宿の外に飛び出し、周りを見渡すも、既に外は薄暗くなり始めており、村人がまばらに歩いているだけで、アデラや兵士は見当たらなかった。


「直接さらいに来るなんて有りかよ……!」


 自分の見通しが甘かったと後悔しかない。この世界はゲームではないのだから、フラグ管理などあるはずもない。


 善人の善行も悪人の悪行も、原作にイベントがなくともおこるのだと思い、治安の悪い関所に近いこの村の中では警戒しなくてはならなかったのだ。


「……このまま飛び出すわけにはいかないか」


 カイトたちに無断で行く事は出来ないと思い、走って部屋に戻るレジナルド。非常に慌てた彼の様子に、誰もがただ事ではないと感じ、その口からアデラが関所に連れ去られたと聞けば騒然となる。


 そんな中、彼は外していた軽鎧を着用していく。それが何を意味するのかわからないはずもない。


「まさかひとりで行くつもりじゃないだろうな。助けに行くなら俺も協力するぞ」


「……その意味、わかってる?」


「そっくりそのままの言葉を返すぜ。関所にアデラを取り戻しに行くつもりなんだろ」


 どんな理由があれど関所を襲って許されるはずもなく、事が露見すれば確実に罪人という扱いになってしまう。そうなれば闘技大会に参加どころか冒険者登録もできず、生涯王都に入ることが叶わなくなる。


 更にアデラを攫ったのは貴族。平民レジナルドひとりを斬り捨てても如何様にも隠蔽できる権力を持つ存在。


『お貴族様に逆らうな』


 そんな事は平民の子供ですら知っている。


「結婚したばかりでもアデラは俺の嫁だ。だから俺が行くのは当たり前だよ。でもカイトたちは違う……こんな危険に巻き込めない」


「ずっと一緒に居る幼馴染だろう! たったひとりで行かせられるかよ!」


「それでサリーナさんを巻き込むのか? カイトが幸せにしないといけないのはサリーナさんだろう。危険な橋を渡るのは俺一人で十分だ」


 レジナルドからすれば、推しカップルを罪人になるかもしれない行動に巻き込むなんて、とんでもない事という認識しかない。


 確かにカイトたちが居れば大いに助かるだろう。それでも自分が彼らの平穏を壊す要因になりたくなかった。


 それにどこまで通じるかわからないが、原作知識で関所内の構造をレジナルドはある程度知っている。一人の方が動きやすいという考えもあった。


「レジナルド君。勝手に私を理由にしないでくれるかな?」


 怒りを多分に含んだ声音に、レジナルドの肩がはねる。彼が声がした方を向けば、腕を組んだサリーナが怒りに燃える瞳で睨むように見据えていた。

明日も17時

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