表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
寝取られRPGゲームに転生ました〜NTRフラグをへし折り、推しカプのハッピーエンドを目指します!  作者: ましかり


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

10/42

彼女と始める物語

一話更新

 カイトたちとの飲み会をした翌日、レジナルドは村を出るための準備に奔走していた。


 既にカイトから話があったようで、自警団長に退団の話をするとすんなり話が通る。微妙な表情で退団届けを受理する彼に、原因の一員であるレジナルドが聞くのも悪いと感じ、頭を下げて詰め所を出た。


 カイトの父は、いつか息子カイトが村を出ると言い出す気がしていた。親の贔屓目が入っているかもしれないが、自警団員で終わるには勿体ないと感じさせるモノを秘めていると思っていたからである。


 しかしそれが幼馴染サリーナを連れて、とは思っていなかった。責任もってサリーナを守りますと、彼女の両親に誓った息子の横顔を思い出し、にやけないよう我慢していたから彼は微妙な表情をしてのだ。


(次にカイトが帰ってくる時には、孫が生まれているかもしれないな……)


 原作ではカイトが出奔し、サリーナが追っかけるため、両家は話し合いをするどころか喧嘩してしまう。本来ではなかった話し合いが発生した結果、両家のあいだで『サリーナはカイトの元へ嫁いだ』という認識に一致した。


 それは当人たちにもしっかり伝わっている。幼馴染から恋人をすっとばして夫婦になるのなんて抵抗が生じてもおかしくないのだが、カイトが大好きなサリーナは大歓迎であり、幸せそうに微笑む彼女を見ればカイトも否と言うはずもない。


 そんな訳で朝一番に村中を、カイトとサリーナが結婚して村を出る、という話が駆け巡った。当然、レジナルドの耳にもその話は入り、推しカプの婚姻に喜んだのは言うまでもないだろう。その噂のお陰で剣乙女シルトが救い出された話はほとんど埋もれている。


 もしかして自分レジナルドはお邪魔虫なのでは? と思わなくもないが、レジナルドは冒険者活動をするのなら戦力が必要だと思うことにした。


(さてあらかた終わったから……アデラの家に行くか。きちんと別れの挨拶をしておかないとな)


 前日、飲み会へ行く前にアデラへ無事に帰ったと伝えたが、その時に改めて時間が欲しいと言われている。彼女の用件が、小鬼の巣へ行く前夜に話したお付き合いの話ではないかと、なんとなく想像はつく。


 小鬼の巣へ行く前は言えなかったが、旅立ちが確定した今なら断る理由をはっきりと言える。既に噂話がアデラの元に届いていれば説明も楽だ。


 遠距離の連絡手段が手紙くらいしかないこの世界で遠距離恋愛は難しい。きっと彼女もわかってくれると、レジナルドは考えていた。


 アデラの家に着いたレジナルドは、彼女に部屋へ通される。彼女の表情は前日と同じ好いた人へ向ける明るい笑みのままで、彼はまだ旅立ちの話を聞いていないのではないかと思う。


「好きなところに座って。飲み物を持ってくるから」

「いや、すぐにでも話して帰るよ。アデラ、俺は」

「カイトたちと村を出るんでしょう? だからちゃんと話したいのよ」

「……わかった。なら待ってる」


 村を出るを知ってなお話したいと言うのであればレジナルドも応じる他ない。丸テーブル脇にある椅子に座る彼の前に、戻ってきたアデラがコップを置くと、自分の椅子を動かしレジナルドの隣に座った。


 それがぴたりと肩が触れ合う距離だったため彼女の長い赤髪が肩にかかり、彼は少しだけ身を引く。不満げに見上げる眼差しがあざとくも可愛らしく、胸元が緩いワンピースから見える谷間から目をそらしたレジナルドは、頬が赤くなるのを自覚する。


「距離、近いんだけど。……話しにくいだろ」

「そう? 私は気にならないけど。さっ、お話しよっか。レジナルドの話を聞かせて」


 すっと細くなる瞳の奥から並々ならぬナニカを感じ、彼はゴクリと喉を鳴らす。それでも決めた事だからと己を鼓舞し、口を開く。


「アデラも聞いた通り俺はカイトたちと一緒に村を出て冒険者になるつもりだ。だから俺はアデラと付き合えない。……ごめん」

「私が村に残って欲しいって言っても?」

「あぁ。俺はカイトたちと一緒に行きたい。これまでずっと組んできた戦友たちだから」


 視線を合わせたままレジナルドは本心を言い放つ。推しカプを見守りたいという始まりの動機は不純だったが、今は共に成長してきた幼馴染という絆がある。確かにアデラはとても魅力的だが、どちらかを選ぶのなら付き合いの長いカイトとサリーナだ。


「ま、当たり前よね。森で助けてもらうまで、私とレジナルドは顔見知り程度だったもの。もっと前にレジナルドが良い男だって気づいてたら違ったかしら」

「どうだろうな。でも今、もしもの話を考えても仕方ないだろ」

「そうね。だから私がレジナルドたちに付いていこうかなって」

「……は?」


 思わず目を見開き、口を開けて惚けてしまうレジナルドを見つめるアデラの口調こそ軽いが、表情は真剣そのもので冗談を言っているように見えない。呆然とする彼に畳み掛けるよう彼女は言葉を続ける。


「冒険者ならポーションが必要でしょ。私がいればレジナルドたちはポーションを格安で使えるようになるわ。材料さえあればいくらでも作れるもの」

「う……それは良いかもしれないが……」


 消耗品類の出費を抑えるに越したことはない。かといって使い惜しんで倒れては元も子もない。潤沢なポーション供給が冒険者にとってどれだけありがたいかは明白である。


「ポーションが余るようなら売ればいいし。レジナルドたちが魔物を狩って稼ぐあいだ、私はポーションを作って稼ぐわ。ちなみに、帳簿だってつけれるわよ」


 聞けば聞くほどメリットしかない。自分にできる事、できない事をしっかり認識し、足手まといにならないよう立ち居振る舞いができると話す提案力と感じる彼女の本気さを前にし、レジナルドは反論ができなかった。


「どう? 連れてってもいいなって思えてきた?」

「……おじさんとおばさんにはなんて説明するんだよ」

「あら、私が根回ししてないとでも? お父さんもお母さんもレジナルドと一緒なら良いって」

「そこまで本気なのかよ……」


 ドヤ顔で胸を張るアデラにレジナルドはどんな反応をしていいのかわからない。好意は嬉しい。しかしアデラを連れて行くという事は、彼女を娶る事を意味するのだ。


 小鬼の件があるまで疎遠な関係だったのに、とつぜん結婚するなんてあまりにもお互いのことを知らなすぎる。アデラと同じ熱量を返せる自信が今の彼には無い。レジナルドにできるのは、誠意をもって本心を話すことだけである。


「……アデラが付いてきてくれるメリットはわかった。正直居てくれれば助かし、見た目だって可愛いと思う。だけど今は、アデラと同じ気持ちを返せない。それなのに結婚なんて不義理すぎて出来ないよ」

「結婚してから育む愛もあると思うけど……。可愛いとは思ってくれてるんだ」

「俺には勿体ないと思うくらいにね」


 嘘偽りのない心からの言葉に頬を染めるアデラはとても愛らしい。だからこそ彼女には自分よりも相応しい相手がいるのでは、と思えてしまう。


 闘技大会が開かれる王都は人口が多く、原作でも様々な寝取られイベントが発生する物騒な町だ。平穏な村で暮らす方がアデラの為、とも。


 しかし脈アリと感じたアデラの攻勢は止まらない。身を乗り出し距離を詰め、両手で彼の手を包み込む。柔らかくも温かな手の感触に、レジナルドが言葉に詰まる。


「結婚じゃなくて婚約なら? 期限は闘技大会が終わるまで。レジナルドが私に惚れたら結婚して、そうじゃないなら村に帰る。どう?」

「……それは、いくらなんでも俺に都合が良すぎる。利用するだけして村に戻されたらどうするんだ」

「そう言う人は、そんな事しないわよ。私も無理を言ってる自覚がない訳じゃないし……」

(自覚はあるんだな……)

「あ、その顔! しょうがないでしょ! こうでもしないと置いて行かれちゃうんだから! 言ってるでしょ、本気だって!」


 更に顔を赤くしたアデラからは懸命さがはっきりと伝わってくる。前世を含め、こうも本気に人を好きになった事があっただろうか、とレジナルドが心の内で自問すれば、答えは否であった。


 しかし推しを守るため幼少期を努力に捧げた彼は、アデラの本気を尊いものに感じた。切り捨てるのでなく、自分も歩み寄る努力をすべきではないのかと、そう感じたのだ。であれば中途半端は良くない。


(結婚から育む愛、か。育んでみよう。俺なりのやり方で)


 ぎゅっ、とレジナルドが手を握り返す。ハッとするアデラに彼は負けたよと呟く。


「まずはカイトたちを説得するところから。許可を貰ったらおじさんとおばさんに俺から話すよ」

「レジナルド、それって……!」

「一緒に行くなら責任を取らないとね、うわっと!?」


 いきなり抱きついてくるアデラをレジナルドはしっかりと抱きとめる。感極まり言葉が出ない彼女は、しばらくの間抱きしめ続け、少しだけ落ち着いてから身体を離し、弾けるような笑みを浮かべた。


「ならすぐに行きましょ!」

「俺が説明に行くから、アデラは旅の準備をして欲しいかな。出発は明日だからもう時間もないし」

「あ、そうよね……。わかったわ」

「何を準備するかはわかる?」

「ええ、王都は何回か行った事があるから大丈夫よ」

「それは心強いね。俺たちは王都に行ったことがないから」


 椅子から立ち上がり、部屋を出る準備をしながら話すレジナルドの後ろをアデラがついて歩く。彼女の部屋を出て、玄関を開けたところで、彼は服の背中を引かれ振り向くと、背伸びをしたアデラの唇が唇に触れ、軽いリップ音がなった。


「レジナルド、いってらっしゃい」

「ーーいってきます」


 はにかむアデラが魅力的すぎて、レジナルドが耳まで赤くなる。ストレートな愛情表現が嬉しくて、早くも彼女の思いを受け入れて良かったと感じてしまい、我ながら現金だと内心で苦笑いをするが、同時になんとしてもカイトたちを説得せねばとも思える。


 もっとも驚きはすれど反対されるような事もなかったが。むしろサリーナにいたっては同性の仲間が増えると喜んでいるくらいだ。シルトの反応は薄く、カイトたちが喜んだので何も言わなかった。


 しかし無事にアデラも仲間に入り安心する一方、気になるところがあるのも事実。自分が原作に与えた影響の大きさを改めて実感する。


(どんどん原作からかけ離れていくな。でも俺は死にたくなかったし、アデラを死なせたくなかった。だから後悔はしていない。……これからもカイトとサリーナ、それにアデラのために寝取られフラグを全てへし折るぞ)


 サリーナを優しげな笑みを浮かべ見守るカイトの傍で、レジナルドは改めて決意を固めるのだった。

ここまでが序章。


明日も17時

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ